皆空の中で...

SWRが3の時,送信電力の25%が損失となるとは言えない

SWRが3の時,送信電力の25%が損失となると言えるか?
                             全体目次へもどるは ⇒ こちら

アマチュア無線家の中に次のように説明する方がいますが正しいでしょうか?
  1_反射率は送信電力損失でない3

次の図-1はモデル図です。 21MHz用ダイポールアンテナとして, エレメントを少し長めにすると
ANT給電点のインピーダンスがZ=77Ω+j65Ωとなり,SWR値は3となります。
  (わずか長くしただけでリアクタンス分が+j65と増加し,SWRが悪化します)
   2_説明用モデル図

次の図-2は図-1のアンテナ給電点と同軸ケーブルの接続点における「進行波電力Pr」と
「反射波電力Pr」そして「ANT側へ進む電力Pant」を図示したものです(図を横にしました)。
          3_ANT給電点のPfPr 2


「ANT給電点」の不整合によって生じたSWR(VSWR)の値を「S」とすると,Pf,Prは次の式で表せます。
      (この式の詳細は「フィーダ-上の高周波電力(進行波と反射波)」 ⇒ こちら を参照ください)

        3‗10wのPfPr
SWR=3の時の「進行波電力Pr13.3w」対する「反射波電力Pr3.3w」が25%となるのです。
              (3.3w÷13.3w=0.25 ⇒ 25%)

次の図-3はこれらを図示したものです。
図の右サイドがANT給電点におけるPf(13.3w)と Pr(3.3w),Pant(10w)の値です。
図の左サイドは「送端A」における送信機出力Ptx(14w),Pf(16.7w)と Pr(2.7w)の値です。
「送端A」にはSWR3状態の同軸ケーブル上の実際のインピーダンスと整合させるマッチング回路があります。
 (整合状態であれば送端Aから送信機側へ反射波電力はもどりません)
     4_ANT電力10Wのエネルギ図2

上の図-3の右側の進行波電力Pf(13.3w)が,左側の進行波電力Pf(16.7w)より小さいのは,
同軸ケーブルの損失によるものです。反射波電力Prも同軸ケーブルの損失で差が生じています。
(21MHzにおける同軸ケーブル5D2Vの標準減衰量(損失)は20m当たり1dbを適用して算出します。)
      (この部分の詳細は「フィーダ-上の高周波電力(進行波と反射波)」 ⇒ こちら を参照ください

次の図-4は,送信機出力電力を10wとした場合です。
図-4のようにSWR3の場合、送信機出力10wのうち,7.1W(71%)がANTへ進む,
即ち,損失は2.9w(29%)なのです。
電力10wが電力7.1wへの減少をdbで表すと「-1.5db」です。同軸ケーブルの損失は
1dbだったのに,1.5dbと増加したのは,SWRによる損失増加分が生じたためです。
    
   5_送信機出力10wエネルギ図2

上の場合の損失29%は「SWR3の時は25%が損失」に近いのではと思うかもしれませんが,
これは上のモデルの同軸ケーブルの規格損失によって,たまたまの値です。

次の図-5は,同じ同軸ケーブル長で周波数を7MHzとした場合です。
周波数が下がると同軸ケーブルの標準減衰量(損失)は小さくなり,20m当たり0.5dbです。
ANT給電点のPfに対するPrの比は2.9w÷11.5w=0.25(25%)と変わりませんが,
送信機出力Ptx(10w)に対するANT電力Pant(8.6w)が86%,即ち,送信電力に対する電力損失は
1.4W(14%)となり,「SWR=3の時,25%が損失になる」・・・とは大きく異なります。
   6_損失が0.5の図2


次の図-6は,同軸(or平行)ケーブルの標準減衰量(損失)が全く無い場合です。
送信機電力10wがケーブル上では,送端A側も,ANT給電点側も進行波電力Pf(13.3w),
反射波電力Pr(3.3w)となりますが.ANT給電点からANT電力Pant(10w)としてアンテナへ
進むため,SWR=3であっても、送信電力の損失は生じないのです。
     7_ケーブル損失がゼロの場合のエネルギ図2

同軸(or平行)ケーブルの規格損失が小さければ,SWR=3でも送信機出力電力の大部分が
ANTへ進み,25%が損失となるような状態は発生しません。

5CFB同軸ケーブルを7MHzでSWR=8で使用したとしても,長さが0.5mと短い場合は,
ケーブルの標準損失が小さいので,送信電力の損失は非常に少ないでしょう。

但し,送端Aにおいて,送信機側とSWRが発生しているケーブル側が完全に整合できている
こと,整合回路の損失が無いことが条件です。

ここまでをまとめると,
(1) SWR3の時,25%が送信電力損失となるとは言えない。
    (この25%はケーブル上に生じた進行波電力Pfに対する反射波電力Prの比です)。

(2) 7MHzなど低い周波数で,標準減衰量(損失)が小さい同軸ケーブルや平行フィーダ)を
   使用するなら,SWRが3でも送信電力の損失は気にしなくても良い。
   
(3) 但し,送端Aにおいて整合を完全にとることが重要です。
  (これは同軸ケーブル上のSWRの改善ではなく,送信機出力を効率よくケーブル側へ
   送り込むことで送信機出力半導体の熱破壊を防ぐ必要があるからです)

144MHzなどで同軸ケーブル5D2VをSWR3で20m使用すると大きな損失が生じ,送信電力の2/3がケーブル上で熱損失となります。
基本的には
   ・ANT給電点におけるSWR値を小さくする
   ・標準減衰量(損失)の小さいケーブルを使用する
ことが重要です。



では,「SWR3の時に25%が反射損となる」とはどのような場合のものなのでしょうか?

次の図-8は送端AとANT給電点の接続ケーブルの長さをゼロにしたものです。
(送信機出力端子に1cmの配線も使用せずANT給電点に接続するようなことはありえませんが・・・)
     10_送端AとANT給電点の距離をゼロm

次の図-8-2は上記を「教科書的モデル」としして表したものです。
実際に左右を接続する配線(伝送路)をゼロメートルにすることはできませんが,教科書ですから
ゼロメートルとし,接続点に整合回路が無いとの条件にすると,
「SWR3の時,75%が負荷へ供給され,25%が供給されない」となります。
     10 理論上の接続図3


周波数を低くして0.1ヘルツ(≒直流)として考えてみると次のようになります。
     11 図11 負荷が同じ時 


     12 負荷が150Ωの時
     周波数が0.1ヘルツでも反射係数Γ(ガンマ)の式は成り立ちますから
     代入すると次のようになります。
               13 負荷が150Ωの時のΓ係数SWR3_2

信号源側のインピーダンス(50Ω)と負荷側のインピーダンスが同じ状態であれば,
負荷側へ0.5wの電力が伝わりますが,負荷側が150Ω(SWR3)の時、負荷へ伝わるのは
0.375w(0.5w時の75%)です。
言い換えると,0.125w(0.5w時の.25%)が信号源から送り出せなかったとも言えます。


    14 負荷が25Ωの時
               15 負荷が25Ωの時 Γ係数SWR2 2

負荷が50Ωの半分の25Ωの時,SWR2相当となり,負荷へは0.44wが伝わります。
伝わらない0.06wは12%相当となり,「SWRが2.0の時11%が反射損失となる」と同等の値を表しています。

ページ頭の「SWR3の時,25%が反射損失となる」は,信号源と負荷が,周波数成によって
負荷インピーダンスが変化しない長さの線で接続されていて,接続箇所に整合回路が無い
場合のものと言えます。 (教科書モデルの場合に言えることですね)。



総目次へもどるは ⇒ こちら


  1. 2017/06/26(月) 14:15:27|
  2. アンテナと整合
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H29年4月期 1アマ試験工学(HZ904)の計算問題の解き方(正答の求め方)

H29年4月期 1アマ試験工学(HZ904)の計算問題の解き方(正答の求め方)
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                 1アマ試験の目次は ⇒ こちら    総目次は ⇒ こちら                
     このページには次の計算問題の正答の求め方をまとめて掲載してあります
       ・HZ904 A-1:電界の強さが零になる電荷の値を求める。
       ・HZ904 A-2:ビオ・サバールの法則を使用して磁界の強さを示す。
       ・HZ904 A-3:静電容量と電荷から回路の抵抗値を求まる。
       ・HZ904 A-4:RLC直列共振回路のコンデンサ容量とQを求める。
       ・HZ904 A-19:電圧反射係数からVSWRを求める。
       ・HZ904 A-20:電離層の高さと入射角から距離を求める。
       ・HZ904 A-24:内部抵抗のある電圧計による測定誤差を求める。
       

                                  合格の勉強方法は ⇒ こちら


【H29年4月 HZ904 A1】

HZ904A1.jpg
この問題はH22年12月,H25年8月,H27年12月に出題されたものを少し変更したものです。
     H22年12月出題と解き方は ⇒ こちら 
     H25年8月出題と解き方は ⇒ こちら, 
     H27年12月出題と解き方は ⇒ こちら,

これらの過去の出題の解き方を参考にすれば解けますが,せっかくですから,解いてみましょう。

     HZ904A1a3.jpg


【H29年4月 HZ904 A2】

HZ904A2 1
この問題は「ビオ・サバールの法則」を知っているか,更に三角関数の計算ができるかを問う出題です。
「ビオ・サバールの法則」はH19年12月に出題されて以来久しぶりです。
H19年12月は角度90度の方向でしたが今回は角度45度なので三角関数の知識が必要です。
正答を求めて見ましょう。

     HZ904A2a2.jpg



【H29年4月 HZ904 A3】

HZ904A3.jpg
電圧と静電容量と電荷の問題は過去から何度も出題されています。
    過去の出題と解き方は ⇒ こちら 。
今回の問題はH27年4月(HZ704 A-4)の出題とそっくりです。(数値を少し変更しただけです)
    H27年4月(HZ704 A-4)の解き方は ⇒ こちら  ですが,ま~解いてみましょうか。

     HZ904A3a2.jpg



【H29年4月 HZ904 A4】

HZ904A4.jpg
この問題も繰り返し出題されています。
   解き方がわからない場合は ⇒ こちらを参照ください。

                       
                    正答は番号2(300pF, Q=11)となりましたか?


【H29年4月 HZ904 A19】

HZ904A19.jpg
この問題も繰り返し出題されています。
   過去の出題と時方は ⇒ こちら へもどってください。
今回の出題は「算術の巧みさ」を試しているような感じです。
   HZ904A19a.jpg
   電圧反射係数とは何か? 実際にはどのような時に使うか?については,
    全体目次 ⇒こちら の中の次のページを開いてみてください。
    項番号:B4.フィーダー上の高周波電力(進行波と反射波)  ⇒こちら 
    項番号:B5.SWR値と反射波電力とアンテナへ進む電力(同軸とハシゴフィーダ比較) ⇒ こちら



【H29年4月 HZ904 A20】

HZ904A20_2.jpg
この問題も繰り返し出題されています。過去の出題と解き方は ⇒ こちら を参照ください。

今回は趣向を変えて3つの方法で解いてみましょう。
【三角関数の式から解く方法】
     HZ904A20a1.jpg

【電離層の高さ・受信点までの距離・臨界周波数の式から解く方法】
     HZ904A20a5.jpg


【三角関数もルートの計算も教わっていない小学生の解き方】
     HZ904A20a3.jpg

以上の3つの方法の中の2番目は電離層の入射角度が不明の時も利用できるので活用範囲が広いです。
3番目の方法を見て 「え~こんなのアリ~??」と思ったでしょう。
出題の図の精度が良い時だけ利用できます。(小学生限定の手段ですね~ HiHi)
但し,試験会場へ小学生用の定規の持ち込み不可ならダメですがね~?(電卓・計算尺はダメですが・・・)

まじめな話に戻ります。
「三角関数の式」と,「高さ・受信点までの距離の式」は異なる式に見えますが同じものです。
前者から後者の式の導き方は  ⇒ こちらのページ へ戻ってください。





【H29年4月 HZ904 A24】

HZ904A24.jpg
この問題は2アマレベルの出題です。
ひまつぶしに解いてみましょう。
     HZ904A24a.jpg


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【感想】
今回の試験問題の中には「算術の巧みさ」を試しているような出題がありました。
その分,前年12月や前年8月より「その分だけ」難しいとも言えます。
試験問題の作成担当の方々は限られた範囲の中で「どのようにして目新しさを出すか」など苦労しているのでしょう。


1アマ試験の目次は ⇒ こちら    総目次は ⇒ こちら







  1. 2017/05/31(水) 16:36:59|
  2.   1アマ_無線工学のコツ
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★ TKA目次2_1アマ試験_無線工学問題のコツ

この目次は第1級アマチュア無線技師国家試験問題(1アマ試験)の易しい解き方の目次です。
     (1級アマチュア試験の無線工学の計算問題の勉強…1アマ試験の勉強方法,攻略,過去問の解き方)
     下のタイトルをクリックすると各ページが表示されます (A1TKA目次2_kota2)
                                総目次は → こちら

各ページはブラウザGoogle Chromeで開いた場合を想定して編集しています。Internet Explorerでは改行位置のずれ等が生ずる場合があります。
---【1TKA目次2(1アマ試験_無線工学のやさしい解き方,コツ)】---
.....1.複数の電池がある直流回路の正答を見つけるコツ 【キルイホッフ法則を忘れた時】
.....2.複数の電池がある直流回路の電圧電流計算問題の正答を見つける
.....3.接地抵抗値の算出問題の正答を見つける
.....4.電流が2倍(1.5倍)となる抵抗値計算問題の正答を求める
.....5.可変抵抗器の抵抗値を算出する問題の正答を見つける
.....6.交流回路の消費電力を算出する問題の正答を見つける
.....7.LCR並列回路の電流を計算する問題の正答を見つける
.....8.CR直列回路の消費電力の正答を見つける
.....9.RLC合成インピーダンスの計算問題の正答を見つける
....10.RL,RC直並列回路の交流電流の計算問題の正答を見つける
....11.2つの電荷からの電界の強さが零になる距離の正答を見つける
....12.平行板電極間の静電容量の算出問題の正答を見つける
....13.電荷と電圧,静電容量の計算問題の正答を見つける
....14.コイルの合成インダクタンスの算出問題の正答を見つける
....15.共振周波数からコンデンサーCの値および共振回路のQの算出問題の正答を見つける
....16.共振時のインピーダンス,L,Cの算出問題の正答を見つける
....17.誘導性と容量性リアクタンスの記述問題でミスをしないコツ
....18.Cの変化量と発信周波数の変化の出題の正答をみつける
....19.時定数の値を算出する問題の正答を見つける
....20.送信電力増幅器の出力電力(デシベル計算をやさしく覚えるコツ
....21.電力増幅器の出力電力,増幅利得を求める
....21-2.電圧増幅回路の利得をデシベルで算出する コツ
....22.オペアンプの電圧利得の計算問題の正答を見つける
....22-1.負帰還増幅回路の出題の正答を見つける
....23.八木アンテナの相対利得を簡易手法で求める
....24.2列2段スタックドアンテナの相対利得の計算問題の正答を見つける
....25.離れた受信点の電界強度の算出問題の正答を見つける
....26.電離層のMUFの算出問題の正答を見つける
....27.アンテナ電流,放射抵抗,放射効率の計算問題の正答を見つける
....28.変調波電圧から変調度を,変調度から波形電圧を算出する
....29.変調度から被変調波電力,電圧を算出する問題の正答を見つける
....30.電信送信電力と電話搬送波電力の比を計算する問題の正答を見つける
....31.変調度100%時の同軸ケーブル最大電圧を計算する問題の正答を見つける
....32.電圧反射係数,反射波電力などから定在波(SWR)の算出問題の正答を見つける
....33.半波長ダイポールアンテナからの受信機入力電圧を算出する出題の正答を見つけるく
....34.電波の強度の安全基準値の算出方法の出題の正答を見つける
....35.国際法規_国際通信憲章・通信条約・無線通信規則の要点

....36.【追加】H25年4月 出題の計算問題の正答を見つける
....37.【追加】H25年8月 出題の計算問題の正答を見つける
....38.【追加】H25年12月 出題の計算問題の正答を見つける
....39.【追加】H26年4月 出題の計算問題の正答を見つける
....40.【追加】H26年8月 出題の計算問題の正答を見つける
....41.【追加】H26年12月 出題の計算問題の正答を見つける
....42.【追加】H27年4月 出題の計算問題の正答を見つける
....43.【追加】H27年8月 出題の計算問題の正答を見つける
....44.【追加】H27年12月 出題の計算問題の正答を見つける
....45.【追加】H28年4月 出題の計算問題の正答を見つける
....46.【追加】H28年8月 出題の計算問題の正答を見つける
....47.【追加】H28年12月 出題の計算問題の正答を見つける
....48.【追加】H29年4月 出題の計算問題の正答を見つける

....補足1: RLC交流回路の電流の j とは何か? その計算は? 足して4かけて5となる2つの数と「 j

....その他1:1アマ試験の勉強方法(1例) 合格へのコツ 残りが少ない時の追込み
....その他2:1アマ試験を晴海の試験センターで受験する方へのあれこれ


今後の予定,
1アマ試験に出題される計算問題のうち,面倒そうなものをとり上げてみました。ご希望があれば他の問題の解き方もトライしてみます。

ご要望などがありましたら,このページの下部右の「コメント」をクリックして書き込んでください。


総目次へもどるは ⇒ こちら 



  1. 2017/05/15(月) 14:01:06|
  2. ★★ 1アマ試験_目次 はこちら
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SE/30修理トライ

2017年4月、Wさんから「Macintosh SE/30の電源ONしてもファンの音がせず,画面も真っ暗なまま動かない」と相談がきました。
                           目次のページへもどるは ⇒ こちら

Macintosh SE/30 は1989年発売のコンパクトMacで,Old Macの中でも多くのMacファンを魅了した名機でした。
1989年から28年経過しているので,定期的なメンテナンス無しでは動かなくなると思います。
最も心配な「3.6V電池の液漏れ」が発生していないか尋ねたところ,「液漏れ無し」とのこと。
電池の液漏れが発生し周辺のICまで及んでいる場合は修理不可能ですが,
それが無ければ復旧する見込み全く無しとは言えないので,修理トライをすることになりました。

当該のSE/30が届きました。
20年前にリワーク新品(新品の部品を集めて組立販売されたMac)として購入したが,
ひと月で起動しなくなったとのこと。
そのまま使用されないで保管されていたようで焼けも少なく外見はきれいです。
      (写真はクリックで拡大します)
   001_SE30前

次は裏側です。なぜか裏側に製品を示すラベルがありません。
純正品は製品のラベルやバーコードなどが貼り付けられているのですがね・・・。
      (写真はクリックで拡大します)
   002‗SE30後
純正品は次のようなラベルが貼り付けられています。
   003 背面の銘板が無い

筐体をあけてカバーの裏側を見ると,次の文字がありました。
この文字から,この筐体は福島県のプラスチック成型メーカで作成されたものです。
純正品でない筐体が福島県で作られたのでしょうか?
当時のSE/30ブームの中で作られたのでしょうか?
      (写真はクリックで拡大します)
   004カバー裏の文字

次はカバーを外した中味です。高圧回路などにほこりが全くありません。
      (写真はクリックで拡大します)
   005カバーを外した

次の写真は取り付けられていたSE/30 ロジックボードです。
心配したリチューム電池(赤色)は液漏れしていませんでした。電池の電圧は完全にゼロでした。
      (写真はクリックで拡大します)
   006ロジックボード


ロジックボードを点検すると,丸く白い電解コンデンサから液漏れがしています。
電解コンデンサC7ははずれて無くなっています。
      (写真はクリックで拡大します)
   007コンデンサーが古い


電解コンデンサC3,C4,C5,C6 の付近は漏れた液でパターンが汚れています。
左上のC7が外れた跡は最も汚れています(早くから液漏れしていたのでしょう)。
      (写真はクリックで拡大します)
   008コンデンサーを拡大1



次の電解コンデンサC8,C9,C10 も液漏れしています。
      (写真はクリックで拡大します)
   009コンデンサ拡大2


次の写真を見てください。電解コンデンサC7がありません。
液漏れでコンデンサの足が腐食して半田が外れてコンデンサがとれてしまったのでしょう。
C7の上側のIC(74LS166)の足が漏れた液で腐食して青錆びが発生しています(嫌な予感)。
これらの写真は無水アルコールを綿棒に付けて漏れた液をふき取った後のものです。
      (写真はクリックで拡大します)
   010コンデンサが無い

次いでアナログボードを点検したら,右上のパターンが茶色変色していました。
(P1コネクターの茶色変色は有名な症状です)
      (写真はクリックで拡大します)
   011パタ-ン焼け

茶色変色部を太い銅線で結びました(熱が銅線を伝わって広がることで焼けが発生しなくなります)。
      (写真はクリックで拡大します)
  012パターン接続


電源ユニットが正常に動作しているか確認します。
次の黄色の部分が電源ユニットからのコネクタです。
      (写真はクリックで拡大します)
   013電圧確認

次は上の黄色部分を拡大したものです。
図に記載のように,電圧が確認できればOKですが,測定した結果,すべて電圧ゼロでした。
電源ユニットの故障です。      (写真はクリックで拡大します)
   014電圧確認2

アナログボードを取り外しました。
      (写真はクリックで拡大します)
   015アナログ基板

アナログボードから電源ユニットを取外しました。
      (写真はクリックで拡大します)
   016電源外したアナログボード

取り外した電源ユニットです。      (写真はクリックで拡大します)
   017電源ユニット

電源ユニットのケースを外して,内部の点検をします。
20年以上経過しているので基盤裏面のパターンと部品の足を新しい半田を追加して再接続します。
この作業は部品の足の数だけ実施するので時間がかかります。
この半田追加作業で電源ユニットが生き返りました(経年で半田クラックが生じていたのです)。
      (写真はクリックで拡大します)
   018電源ユニット内部

上の電源基板にASTEC製造,1986年とある。SE/30用でなくSE用なのかも?
次はSE/30用の純正の電源ユニットです(Appleの銘板があります)。
      (写真はクリックで拡大します)
   18‗純正SE30電源


電源ユニットとアナログボードの修理が終了したので,ロジックボードのコンデンサ交換をします。
次の写真はロジックボードの古い電解コンデンサを取外した後です。
汚く見えますが,これでも無水アルコールで拭いたあとです。
強く削るとパターンが切れるので汚れ落とし作業は細心の注意が必要です。
      (写真はクリックで拡大します)
   019‗C6取外し跡


電解コンデンサC7の上側のIC(74LS166)の足がC7の液漏れで腐食し青錆び状態です(深刻な状態)。
      (写真はクリックで拡大します)
   020‗C2取外し跡 


新品の電解コンデンサを取り付けました。
C6は1μF/50V,他は47μF/35Vです(47μF/16VでもOK)。
足を短くして半田付けする時に基板側のパターンをはがす虞があるため,
やや足を長くして取り付けました。動作的には問題ありません。
IC UB11のPin-7とPin-15を抵抗1kΩでプルアップしました(CPU起動を助ける手法の一つ)。
      (写真はクリックで拡大します)
   021‗C6取付 


全ての電解コンデンサを新品に交換しました。
      (写真はクリックで拡大します)
   024コンデンサ交換終了

電池を単4電池2個で代用して,SE/30の電源をON時したら「ポーン」と起動音がしました。
冷却ファンも回転します。ハードディスクも動作音もします。
正常に起動できなくても「泣きMac (Sad Mac)」の画面が~・・・と期待しましたが,次の画面となりました。
この画面はロジックボードからビデオ信号が出ていない状態と考えます。

筐体側面の再起動ボタンを押すと,アルペジオのメロディが出ます。
アルペジオはハードのエラーが生じたときにMacが奏でる悲しい和音です。

通常ならアルペジオ音と同時に画面上にSad Mac(泣き顔のMac)が表示されますが,
ビデオ信号回路の不良で「泣きMac」が画面に表示されません。
でも,アルペジオのメロディが出るのでロジックボードの一部は正常に動いているとも言えます。
      (写真はクリックで拡大します)
    025‗ラスター画面がでた 

画面が真っ暗の場合は,アナログボードの次の①をテスターの50Vレンジで測定して
マイナス30~40Vの電圧となっているかチェックします。
測定中に画面が明るくなるなら,アナログボードは正常に動作しています。
      (写真はクリックで拡大します)
   026‗画面が暗い時

あるいは,アナログボードの輝度調整用「半固定抵抗器」をドライバーで回転させてみます。
      (写真はクリックで拡大します)
   026明るさ調整 

今回の修理で,次の画面の状態まで回復しましたが,これから先の修理は簡単ではありません。
      (写真はクリックで拡大します)
   027ラスター画面

記載を省略しましたが,RAMの足の清掃なども行いましたが状態は改善できませんでした。
残る修理作業としては,ロジックボードのICの交換,切れているパターンのジャンピングなどが必要でしょう。
この作業にはロジックボードの回路図が必要です。
古いICの動作品を探すこと,部品が入手できてもアナログ基板(積層基板)が非常に古いこと,
スルホールの導通が心配なこと・・・などを考えると大変な作業になります。
そう考えると,ロジックボードの動作品が入手できるまで待つのがベターでしょう。

ロジックボードが正常に動かないため,ハードディスクHDDからOSが読み込めるかどうか不明です。
OS:KT7.1が起動するか確認できません。
また、FDDの書き込み読み出しができるかも未確認です。

内部を点検中に発見したのですが,HDDマウンターとHDDの取付穴が合っていないため,
HDDの固定が片側ビス1つで止められています(本来は片側ビス2つ,計4個で固定)。
リワーク品は,こんな組立で顧客へ販売していたのでしょうかね~。


今回の修理作業はここまでで中止しました。

これから先は,SE/30の修理に詳しい「丸真商店」などへ相談してみる方法があります。
「丸真商店」のSE/30修理のページは ⇒こちら http://www.marushin-web.com/se30_1.html

但し,お店は修理技術と作業時間で生計を立てているのですから,動作する状態へ回復せずとも
相応の技術料がかかると思います。
(病院における末期段階での脳手術のようなもの・・・成功せずとも手術費はかかります)


目次のページへもどるは ⇒ こちら

  1. 2017/05/03(水) 22:00:05|
  2. Old Mac
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5.SWR値と反射波電力・アンテナへ進む電力

SWR値と反射波電力とアンテナへ進む電力(同軸ケーブルとハシゴフィーダの比較)
          (反射波電力は最終的にどのようになるか・どこへ行くのか)
                                    総目次へもどるは ⇒ こちら
.....................このページは次の1~8の中の「5」です。
     ..........1.アンテナと共振周波数
     ..........2.アンテナとインピーダンス
     ..........3.アンテナとフィーダ(給電線)
     ..........4.フィーダー上の高周波電力(進行波と反射波)
     ..........5.SWR値と反射波電力とアンテナへ進む電力
     ..........6.SWRの測定と問題点
     ..........7.アマチュア用SWR計と注意点
     ..........8.同軸ケーブルの長さを調整するとSWRが下がる?

前ページで「アンテナの給電点のインピーダンスがフィーダーの特性インピーダンスと整合していない場合,フィーダ上の進行波電力一部がアンテナの給電点から反射する」ことを書きました。
          前ページ「フィーダ-上の高周波電力(進行波と反射波)」は ⇒ こちら

このページでは「定在波比(SWR)の大きさによって,アンテナへ進む電力がどの程度になるか」を
同軸ケーブルの場合と平行フィーダー(はしごフィーダ)の場合を具体的に計算してみます。
      (まとめは,ページ後半の「ここまでのまとめ」へ進んでください)

次の図 5-1 は7MHz用1/2波長水平ダイポールアンテナへ20m長の同軸ケーブル5D2Vで給電した図です。
アンテナ地上高が12m~14m(3/8波長)の高さではANT中央給電のインピダンスが約90Ωとなるので,その値で計算してみます。
     (公称値75Ωは地上の影響を受けない場合の値です)
ANTインピダンス90Ωへ特性インピダンス50Ωのフィーダで給電するとANT給電点において反射波が生じ,SWRは1.8 となります。
   b01_同軸でSWR1.8の図2
    上図のPtxは送信機の出力電力,PantはANT給電点からアンテナへ進む電力です。

すべてはANT給電点(受端B)での不整合による反射によって生ずるので,この反射点から整理します。
ANT給電点のSWR=1.8, ANT給電点からアンテナへ進んだ電力Pantを仮に50wとして計算してみます。
この点における進行波電力 Pf は前ページの「式4-6」へSWR 1.8 と50wを代入します。
          前ページ「フィーダ-上の高周波電力」は ⇒ こちら
  b02_同軸ケーブル_SWR1.8の説明4
ANT給電点ではSWR=1.8 だったのに送信機近くではSWRは1.7 と低く表示されます。
これは同軸ケーブルの損失がSWRで増加したため,低く表示されたのです。

以上は,周波数7MHz,ANTインピダンス90Ω±j0Ω,ANT給電点SWR=1.8,
同軸ケーブル5D2V長さ20mの場合の値です。
周波数が50MHzと高くなると同軸ケーブル損失が高くなるため,ANT給電点SWR=1.8でも
送信機出力の33%が損失になり,アンテナへは送信機出力の67%が進むとなります。

【SWR=3ならどうなるか?】
アマチュア無線家の中には「 SWR=3なら送信機出力10wとすると,7.5w(75%)がANTから
放射され,2.5w(25%)が反射ロスとなる」と言う方がいますが正しくありません。


SWR=3によって同軸ケーブル上に生ずる進行波電力Pfは,送信機出力10wより高い値
Pf=13.3wとになります。反射波電力Pr は3.3wとなります。
この3.3wが13.3wの25%であり,送信機出力10wの25%ではありません。
          10wのPfPr
反射波電力Pr(25%)はすべて損失となる訳ではありません。同軸ケーブルのロスがゼロ
なら損失となりません.。
極端ですが同軸が10㎝と短ければSWR=3でも損失は微小です。
 (上図の送端Aが整合状態なので送信機側へもどることもありません)。



はしごフィーダ(600Ω)を使用し, SWR=8の状態で給電した場合を計算してみます。
下図 5-2 ではアンテナインピーダンスZantが75Ωとなる地上高17mにしています。
  b03_はしごフィーダSWR8の図

  b04_ハシゴフィーダSWR8の説明4

下図 5-3 はこれらを絵にしたものです。
   進行波電力の絵2


ここまでのまとめ,
周波数7MHzの場合、
(1) 同軸ケーブル5D2V 20mをSWR= 1.8で使用すると,送信機出力電力100wの88%がアンテナへ
   進む。  (SWR=1.5で計算すると,89%がアンテナへ進む)

(2) 600Ωの「はしごフィーダ 」を使用するとSWR= 8となり,反射率60%となるが,その反射は
   フィーダ上に発生した進行波電力に対するものであり,送信機出力電力に対するものではない。
   はしごフィーダでは送信機出力電力100wをフィーダへ送ると96%がアンテナへ進む。

(3) 以上の(1)(2)より,SWRが高くても「はしごフィーダ」の方が同軸ケーブル5D2Vより多くの電力を
   アンテナへ送り込める
 (同軸ケーブルSWR=1.5で比較しても送込める率が高い)。

このように「はしごフィーダー」は優れた性能があるが,一方で
   ・鉄柱や他のケーブルから離して引き降ろす必要がある
   ・回転させる八木アンテナなどでは鉄柱から離す仕組みが難しい
   ・平行フィーダー用の整合器(アンテナカップラー:アンテナチューナー)の市販品が少ない
   ・フィーダーの平衡度が低いとフィーダーから電波が輻射される(逆に,ノイズを受けやすい)
   ・フィーダ線の間隔が0.1波長を越えるとフィーダから輻射が起きるので30MHz以上で使用
    できる「はしごフィーダ」の自作が難しい。
などから最近はアマチュア無線ではあまり使用されていない。

ですが,「はしごフィーダー」は7.0MHz~7.19MHzなどバンド幅の両端でSWR値が高くなっても損失が
少ないこと,また,1つのアンテナ線で他の周波数のアンテナとしても使用するなどの際に利用できる
ことなどから,一部のアマチュア無線家の間で今も愛用されています。

業務用としては,かってNTT名崎無線送信所などで短波送信アンテナへの給電線として平行フィーダ
が使用されました。
現在でも,NHK国際放送の八俣送信所(300kw)のアンテナ用や,ラジオニッケイの短波放送(50Kw)
の送信アンテナの給電線として平行フィーダが使用されています。
(これらの送信所ではアンテナ給電点のインピーダンスが300Ωとなるフォールデット(折り返し)
 ダイポールアンテナを使用し,フィーダとしても片側2線(計4線)の特性インピーダンス300Ωで
 給電するなどしてSWRを低くしているようです。)

「反射波は最終的にどこへゆくのか,どうなるのか」については,
前ページに書いたように「送信機側の送端A(境界点)へもどった反射波電力は,その境界点における
エネルギ-総和 Pf+(-Pr)=Ptx の役割を担っている。
その境界点における進行波電力と不可分の状態であり,境界点(送端A)の整合が完全であれば,
送端Aを通過して送信機側へもどることも,反射波電力が送端Aからアンテナ方向へ再び進むことも
起きない・・・と整理してよいのではと考えます。
   (どこかへ行くには反射電力のみでなく進行波電力も含めてでなければ境界点の条件を満足しない)


【参考】
下図は,ARRLの「The Radio Amateur's Handbook」1964版に掲載されていた同軸ケーブルと
ハシゴフィーダーの損失グラフです。
はしごフィーダーの損失は同軸ケーブルの10分の1です。
下図右は,SWRが発生時の追加損失分のグラフです。
はしごフィーダーはSWR=8程度で使用されるケースが多いですが,下図左のようにハシゴフィーダーの
損失は14MHz帯で100フィート長でも損失は0.07db程度なので,SWR=8による追加損失増加分を
加えてもも0.2db程度でしょう(下図右の図の左側の外側になります)。
          (図をクリックで拡大して目盛をみてください)
     ARRLハンドブックフィーダーロス
     ARRLハンドブック_フィーダー追加ロス


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
訂正:従前、このページで次の図を示し,
 「反射波はフィーダ上を行ったり来たりしながら,ANT給電点から少しずつアンテナ側へ進む」
と書きましたが,
   (1) 反射波電力を進行波電力でなく送信機出力電力に対するものとした,
   (2) 送信機側の送端Aへもどった反射波が「再びアンテナ方向へ進む」とした,
の点が適切でないとわかりました。
     反射波はフィーダ上を再び進む
仮に「再び進行波電力に加わってアンテナ方向へ進む」としたら,加わった分 進行波電力が
増加します。
増加した進行波電力がANT給電点で反射することとなり,これを繰り返すとフィーダー上の
電力が増大を続けることとなる・・・そのような事はありえないでしょう。


次ページのSWR計の注意事項へ続くは ⇒ こちら


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  1. 2017/04/10(月) 17:11:17|
  2. アンテナと整合
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