皆空の中で...

測定器なしで空芯コイルのインダクタンスを調べる

測定器なしで自作空芯コイルのインダクタンスを調べる方法
     How to measure coils without Inductance measuring instruments ?
     When there is a HF transceiver, you can know the inductance easily.
     This page is the way.

                                  総目次へもどるは ⇒ こちら

21MHz用のアンテナチューナー(整合回路)に使用する空芯コイルを自作しました。
以下は,自作の空芯コイルのインダクタンスを測定器を使用しないで調べる方法です。

次の写真は塩ビパイプを使用して作成した直径23mmφ,巻き数15回,コイル長35mmの空芯コイルです。
              (この空芯コイルの作り方はこのページ末をご覧ください)
線輪の間の半透明の物質はエポキシ接着剤です(100円ショップの製品)。
室温が高かったためか接着剤が広がってしまいました(下手ですね)。
          上手な作り方は ⇒こちらのページ へもどってください。
         1_小型空芯コイル写真


次の写真はサランラップの巻芯を利用して作った直径30mmφ,巻き数22回,コイル長33mmの空芯コイルです。
(サランラップ芯を利用した空芯コイルの作成は ⇒ こちら 
線輪を固定するエポキシ接着剤の使い方が下手で広がってしまいました。(安物の接着剤のせいかも…)。
目的のインダクタンスに近い値を得るためにコイルの途中に端子を作っておきました。
       30φL33T22_1

本題の「自作したコイルのインダクタンス値を調べる」方法です。
mHより大きなインダクタンスであれば高機能デジタルテスターでも測定できそうですが,今回は0.5~10μH レベルのインダクタンスなのでそれらでは測定できません。μH レベルの高周波コイルのインダクタンス把握する計測器は高価なため無銭家には手が出ません。デップメータと精度の高いコンデンサーがあれば,デップ周波数からインダクタンスを計算で求めることができます。

自作コイルはソレノイド型なので,ネットの計算ページを利用してインダクタンスを計算することができます。
私が利用させていただいた計算ページは「RF Design Note 」の「ソレノイド・コイル 設計 ツール」 ⇒ こちら です。
このページへ自作コイルの直径,巻き数,コイルの長さを入れて計算させると,たちどころにインダクタンスを算出してくれます。
          コイルの巻き数とインダクタンス2
この計算ページでは,コイル線の太さを指定することができません。概ねの値が求められれば十分ですが,アマチュア無銭家的に測定器を使用しないで自作コイルのインダクタンスを調べてみることにしました。

以下はデップメータも何も使用しないでコイルのインダクタンスを求める方法です。
方法は次の通りです。How to measure coils without Inductance measuring instruments ?
   (1) 自作した空芯コイルで発信回路を動作させる。
       I install a making coil and make a Clapp oscillator circuit.
   (2) 発信信号を手持ちのHFトランシーバで受信する(発信周波数を知る)。
       Oscillator signal is received by a HF transceiver.
              (ディップメータより精度の良い周波数把握ができる)
   (3) 発信周波数から計算してコイルのインダクタンスを算出する。
       Inductance is calculated from the received frequency.  

次がトランジスタ1個の発信回路(Clapp oscillator circuit)です。Lが自作コイルです。
コンデンサーC1,C2,C3は精度の良い±1%のものがベストですが,安価な±5%のもので妥協しました。
   (0.3μH程度の小さなコイルを調べる場合はC1,C2,C3を330pFにした方が良いでしょう)
トランジスタは高周波特性Ftが高い2SC1906を使用しました(店aitendo:5個で100円)。2SC1815でも大丈夫でしょう。
     クラップ発信回路2

発信周波数はコイルLとC1,C2,C3,で決まります。
HFトランシーバで発信周波数が受信できたら,次の手順でコイルのインダクタンスを算出します。
(1アマ2アマの試験問題に出てきそうですね~)
     発信周波数からLを求める式

次の写真は実際に発信させているところです。発信回路の部品は合計7個です。動作電圧は3Vです。
コイルの直径23mm,巻き数15回,コイル長36mmの全体を使用して発信させています。
     50_23φL36T15
HFトランシーバのアンテナ端子からビニールコードを発信回路の近くへ引いて,受信ダイヤルを回して発信信号を受信します。
この時に,高調波を発信周波数と誤らぬように気をつけます(基本波の方が強い)。
コイル全体を使用した時の発信周波数は12.8MHzとなりました。

          発信周波数が12.8MHz
ネットのページ「RFDN ソレノイド・コイル 設計 ツール」で計算した結果は2.5μHでした。
ネットの計算ページでは配線のインダクタンスなどを含まない算出です。
写真の発信回路では配線や浮遊容量などを含むのでインダクタンスは若干大き目になりますが,両者の差は0.08μHですから発信周波数からの算出値も概ね正しいと評価して良いでしょう。


次の写真はコイルの右から10ターン目に接続した場合です。
       51_23φL26T10
上の時の発信周波数は16.5MHzとなりました。
この周波数で同様にインダクタンスを算出したら 1.5μH となりました。
ネットの「RFDN ソレノイド・コイル 設計 ツール」で計算させた結果は 1.4μH でした。差は0.1μHです。

次の写真は右から7ターン目に接続した時のものです。
       52_23φL17T7
上の時、発信周波数は 20.7MHz となりました。
この周波数で同様に算出したらインダクタンスは 0.98μH となりました。
ネットの「RFDN ソレノイド・コイル 設計 ツール」で計算させた結果は 0.93μH でした。差は0.05μHです。

次の写真は右から5ターン目に接続したものです。
       53_23φL14T5
上の時の発信周波数は25.97MHzでした。
この周波数で同様に算出したら インダクタンスは 0.6μH となりました。
「RFDN ソレノイド・コイル 設計 ツール」で計算させた結果は 0.53μH でした。差は0.07μHです。

次の写真はサランラップの巻芯を利用して自作した直径30mmφ,巻き数22回,コイル長33mmの空芯コイルの全体で発信させているものです。
     54_30φL33T22
上の時の発信周波数は6.38MHzでした。
この周波数で同様に算出したら インダクタンスは 10μH となりました。
このコイルには右から 1.5回目,2.5回目・・・とタップを作っておきました。
それぞれのタップを利用するとさまざまなインダクタンスのコイルとなります。

以上の結果から, 発信回路を用いたインダクタンス算出方法はまずまずの手法と言えます。

アンテナのマッチング(整合回路)用としてピッタリの値のインダクタンスを作るには、コイルのタップを細かく接続替えすれば可能です。あるいは,下図のように2つのコイルを直列にしたり,直角に配置したり,巻方向が打消すように接続したりすることで,インダクタンスを細かく増減する方法もあります。
       インダクタンスの調整方法


次の写真は2つの小さなコイルを互いに90度の角度で接続した例です。
発信周波数31.1MHzだったので,計算した結果,2つのコイルの合成インダクタンスは0.3μHでした。
       2つの直交コイル0.3μH



今回使用した23mmφの空芯コイルの自作手順を示します。

【1】 コイルの巻枠を作る。
  塩ビパイプ(PVC)を2つに割ります。
       2_空芯コイルの作成

【2】 塩ビパイプ(PVC)をガスコンロで温めて,単3電池が楽に入るように広げます。
       3_少し広げる

【3】2つの単3電池をはさむようにして塩ビ管をテープで巻きます。
  中央部はスリットとして空きが見えるようにテープで固定します。
       4_巻枠の完成

【4】 巻枠に銅線を巻きます。1mmφのポリウレタン線でもOKです。
       5_銅線を巻く

【5】 スリット部に2液エポキシ接着剤を塗布し,接着が固まるまで待ちます。
   接着剤が固まったら,電池をぬいて,塩ビパイプを取り外します。
       DSC01383.jpg
   接着剤を多量に使用すると塩ビパイプへ付着するので注意します。
   (巻枠の上にサランラップなどを巻いてコイルを巻くと接着剤が巻枠の塩ビパイプに接着しません)。



総目次へもどるは ⇒ こちら
  1. 2015/05/13(水) 22:03:46|
  2. アンテナと整合
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21MHz 1波長ひし形ループANTをMMANAで設計

21MHz 1波長ひし形ループANTをMMANAで設計
                                  総目次へもどるは ⇒ こちら

前のページで三角形の1λループANTをMMANAで設計したので,今回は「ひし形」の1λループアンテナの設計をしてみましょう。
「ひし形」を取り上げたのはテレビANTのステーを利用して簡単に作ることができるからです。
          MMANAの入手・使用例は ⇒ こちら に戻ってください。


下図はTVアンテナの支線を利用した21MHzひし形1波長ループANTのイメージ図です。
          注意:下図の長さは単純計算値です。最適長はページ末をご覧ください。
     0_ループアンテナイメージ図

単純計算で求めるとループの1辺の長さは上図のように3.52mですが,1波長ループANTは計算上の長さより若干長くしたところに共振点があります。
     01_ひし形1λloop15定義ファイル03

ひし形ループANTの下端から給電する時,「MMANA」における給電設定を「給電点に10cmの線(Wire 5)をもうけ,その中間部から給電する」と設計します。
この方法はすでに述べた「逆三角形ループの手法」と同じです。
   「MMANAで1λデルタループANTのインピーダンスを算出」へもどるは  ⇒ こちら 

     02_No5データ

上記でANTの左右と高さの位置が算出されたので「MMANA」のアンテナ定義の枠へそれらの数値を打込みます。
前のページで書きましたが,数値を打込んだ都度「確定キーEnter」を2度たたかないと確定できません。
   02_アンテナ定義の数値


アンテナ定義の枠への打込みが完了したら,タグ「アンテナ形状」を開いてみます。
次のように「ひし形」になっていない場合はアンテナ定義の打込みに誤りがあります。
   03_ANT形状


縮尺を操作して給電点を拡大すると次のように表示されます。
   03_waiya5.jpg

タグ「計算」画面を開き,左下の「計算」ボタンで計算を実行すると給電点のインピーダンスが枠の中の表示されます。
(下図は地上高15m,リアルグラウンドにしています)
ループの長さを5%長くしたのにリアクタンスの値が -j27.687 とキャパシティブになっています。
これはANTが若干短いことを意味しています。
   04_計算結果1

「計算」ボタンの右にある「周波数特性」ボタンを押すと、次が表示されます。
次の画面の「全点」をクリックして、タグ「SWR」をクリックするとSWR画面が表示されます。
下図は50Ωに対するSWRなので、SWRが高くなっています。
このSWRカーブを見てもANTエレメント単体の共振点は 21.4MHz より高い周波数のように見えます(ANT線が若干短い)。
   05_SWR特性

タグ「パターン」を開くと、ANTの放射パターンが表示されます。
ANTの高さ15m(1波長)としたので、電波の打ち上げ角度が約11度と低くDXへ効率よく飛びそうな感じです。
1波長ループANTはキュビカルクワッドANTの放射エレメントですからダイポールANTよりDX向きと言われています。
09_放射パターン

「計算」画面に戻って、「計算」ボタンの右の「最適化」ボタンをクリックします。
条件選択画面が表示されたら「全エレメント」ボタンをクリックして「実行」を操作します。
次のように最適化の結果のインピーダンスが表示されます。
この例では Z=126.652-j0.268 とリアクタンス分がほぼ±0Ωとなりました。
   6_最適化後

最適化でZ=126.652-j0.268 となった時のアンテナ定義画面を開くと,各アンテナの座標が少し大きくなっています。
ANTの全長が少し長くなったのです。
   08_最適化ごのアンテナ定義


最適化された結果のSWRカーブを見たら,次のようになっています。
このSWR値は同軸ケーブル50Ωに対するものです。
    07_SWR特性


アンテナ形状の画面を開き,各Wareをクリックするとワイヤーの長さが表示されますので、各エレメントのワイヤの最適な長さを知ることができます。
        最適な1波長の長さ

屋根の長さ等の影響で,アンテナ形状が上図のような完全に近い「ひし形」とならない場合があります。
この時は,「ワイヤー編集」ボタンで次の画面を開きます。
「ひし形」の頂点,左右の角をマウスでつかんで上下左右に動かし,実際に建設できる形へ変形します。
変形した「ひし形」の右下のOKボタンをクリックして,「計算」画面へもどります。
計算、最適化をすると変形ひし形の最適インピーダンスが算出されます。
この状態で「アンテナ形状」画面にすると,それぞれのワイヤーの長さを知ることができます。
       08_ワイヤ編集2



【設計値と実際】
以上の設計結果はANTへ影響を及ぼすものが周辺に存在しない条件での数値です。
TV-ANTマストを利用する場合は,最初のイメージ図にあるように中心部のマストや他のステー線,更に屋根頂部のカバー金属(棟板金)などの影響を受けるためインピダンス値は計算値と若干のずれがあるでしょう。また,各辺が等しい「ひし形」とならない場合もあるので,それらによる数値のずれも生じますが,形状の違いが極端でなければANT性能への影響は少ないでしょう。

【同軸ケーブルでの給電】
50Ωの同軸ケーブルを接続する場合は「Qマッチ」などの整合回路を挿入することで簡単に整合できます。
この辺の整合回路は三角形1波長ループの場合と同じなので、そちらのページへもどってください。

Qマッチ整合は ⇒ こちら  のページの文末をご覧ください。

L C整合は ⇒ こちら  のページの文末をご覧ください。



総目次へもどるは ⇒ こちら

  1. 2015/04/03(金) 16:50:41|
  2. アンテナと整合
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続:垂直ANT(4~10m)の7MHzでの給電点インピーダンスと整合回路・放射効率

続:垂直ANT(4m~10m)の7MHzでの給電点インピーダンスと整合回路・放射効率
                                  総目次へもどるは ⇒ こちら

このページは前ページからの続編です。
前ページでは7MHzを2m長の垂直接地ANTへ給電した時のインピーダンス・整合(マッチング)回路,放射効率などを求めました。    前ページへもどるは  ⇒ こちら 

このページは長さを4mへ,更に6m~10mと長くした時のインピーダンス・整合回路の値,放射効率などを調べてみましょう。
垂直接地ANTの給電点のインピーダンスを”MMANA”で計算してみました。周波数は7.05 MHz,ANTワイヤーは直径2mmφの銅線としました。
               MMANAの入手・使用例は ⇒ こちら に戻ってください。
下図の2m長のインピーダンスは前ページと同じです。4mになると Z=3.51-j509.4です。 6mでは Z=8.59-j291.5 とと実数部Rの値が少しずつ大きくなりますが,同軸ケーブルの特性インピダンス50Ωに比べるとまだまだ小さな値です。
計算上の1/4波長=(300÷7.05 MHz)÷4=10.64mですが,その96.8%の長さ10.297mの時に実数部が 36Ω,リアクタンス部がほぼ ±0となり,ANT線単体で7.05MHzに共振している状態となります。

       01.ANTインピーダンス

上図の値をフリーソフト「Smith V3.10」に打込み,整合(マッチング)回路と,そのインダクタンスLとコンデンサCのを求めた結果,次のようになりました。
     フリーソフト「Smith V3.10」の入手と使い方の例は ⇒ こちら に戻ってください。


下図の左は「Smith V3.10」で示された長さ4m@7MHzの時,右は長さ5m時の整合回路のLとCの値です。
     02_4m時のLC値2  04_5mLC値2

下図の左は長さ6m時,右は7m時の整合回路のLとCの値です。
     06_6mLC値 2  08_7mLC値2

長さが10.297mの時,Rの値が36Ω,リアクタンスが±0Ωとなります。この時の「Smith V3.10」における,位置は下図のA点です。36Ωを50Ωへ変換するために直列コイルL:0.49μHを挿入した時がB点です。B点でのリアクタンス分を打ち消すためにC:279pFを並列に挿入した時がC点です。これで Z=50Ω±0 の位置へ移動しました(50Ωへ整合)。

       09_10.297m チャート図

          10_10.297 LC値2

ついでですが,
コイルを全く使用しないでマッチング(整合)させる方法です。
垂直ANTの長さを7.05MHzの1/4波長より少し長い11.5mにしてMMANAで給電点インピーダンスを計算してみてください。
Z=50.5+j90 とリアクタンス分がインダクティブになります。R分は約 50Ωですが,リアクタンス分が+j90 と大きいので50Ωの同軸ケーブルへ接続するとSWR値は大きくなります。

下図のA点は 50.5+j90 の位置です。
この+j90を打ち消すために-j90を挿入するとB点へ移動し,50.5±0 となります。
ソフト「Smith V3.10」は挿入する-j90 をコンデンサの値に変換して表示してくれます(251pF)。

       14_11.5m チャート図

マッチング(整合)回路は下図のようになり,コンデンサ 251pF 1個で済みます。
 (送信電力が50W以上の時は通過高周波電流に余裕をもたせるため100pF+100pF+50pFと3つのコンデンサーを並列使用するとベター)
          12_11.5mLC値2


ここまでをまとめると,次の表のようになります。
   17_ANT長さとLC値16_整合回路
マッチング(整合)回路は,1つのコイルと1つのコンデンサで整合させることができるのです。
上の表にあるように,ANTの長さが11.5mの時は,250pFのコンデンサー1つを直列に挿入するだけでマッチング(整合)がとれ,SWRは1.0になります。究極の安価なANTチューナとなります。

ANTが共振している10.3m長の時は,0.5μHのコイルと280pFのコンデンサーを上図右のように挿入するとマッチング(整合)がとれ,SWRは1.0になります。
 (280pFのコンデンサーは100pFを2個と,同軸ケーブル80cmを並列にして280pFを作ると安価で済みます)
     整合回路のコンデンサーとして同軸ケーブルを利用する具体例は ⇒ こちら です。


マッチング(整合)回路の損失についても調べてみましょう。
2m長のANTの場合は,ANT給電点の放射抵抗Rlの値に比較して,整合コイル内での高周波抵抗などによる抵抗Rcが大きいく,送信機からの電力の大部分は整合コイル内での熱損となりましたが,長さが4mになると,その状態は次のようになります。
次の式のQはコイルの品質(Quality Factor)です。
          22 コイルのQの式
コイルのインダクタンスが11.8μHなので1.4mmφポリウレタン線を直径50mmで空芯巻きすればコイル単体のQ(裸Q)は250以上となるでしょう。これらを代入して計算すると次のようになります。
          24_コイルのRc
ANT給電点の放射抵抗RLとコイル内の損失抵抗Rcの比がかなり改善され,送信機からの電力の半分以上が放射抵抗に加わる(放射される)ことになります。
          前ページの2m長の場合と比較してください。前ページへもどるは  ⇒ こちら 
          26_コイルRc損 

長さが6mになると次のように更に改善され,送信電力の大部分がANT放射抵抗へ加わることになります。
(マッチング(整合)回路=アンテナチューナー内での損失は10%程度となります)
          27_コイルの熱損

長さが8mとなると,整合回路での損失は更に減少します。
言うまでもないことですが,コイル単体のQ(裸Q)が高くなるように線輪の銅線を太くする・コイルを金属板から十分に距離をとって配置する・コイルの一部を短絡しないなどに配意します。詳しくは前ページの文末をご覧ください。



前ページへもどるは  ⇒ こちら 

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  1. 2015/04/03(金) 13:00:45|
  2. アンテナと整合
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長さ2mのアンテナで7MHzを送信する(MMANAとSmith v3.10で計算)

長さ2mのアンテナで7MHzを送信する(MMANAとSmith v3.10で計算)
                                  総目次へもどるは ⇒ こちら

自動車の後部バンパーやトランクリッドを利用して長さ2mの垂直ANT建て,7MHzの電波を送信する時の話です。下図はイメージ図です。
       00_長さ2mモービルANT

まず,アンテナの給電点のインピーダンスをアンテナ解析ソフト”MMANA”で計算してみます。
       フリーソフト”MMANA”のダウンロード,使い方は ⇒ こちら へもどってください。
MMANAのアンテナ定義の下図赤丸に値を打込みます。
ANTロッドの直径を10mmとした場合,R(mm)の値として半径の5mmを打込みます。

       01 アンテナ定義2m長バーチカル

次はMMANAの計算タグの”計算ボタン”で実行した結果です。
       02 2mANTインピーダンス
給電点のインピーダンス Z=0.849Ω-j1021Ωと算出されました。

下図の左は長さ2mのANTと給電点のインピーダンス,右は等価回路です。
等価回路のRLはANTの”放射抵抗”(放射される電力からみなせる等価抵抗)です。
抵抗器の記号で表しますが,電流を流すと熱が発生する抵抗器とは異なるものです。
       04_2mANT等価回路

MMANAの計算結果が,給電点のインピーダンス Z=0.849Ω-j1021Ωと非常に低くく,50Ω同軸ケーブルに接続してもSWR=24612と非常に大きな値なので,送信電力はANTエレメントへ供給されず接続点から送信機側へ全反射されます。

このようなインピダンスの給電点と50Ω同軸ケーブルをマッチングさせる整合回路と具体的な値をフリーソフト”Smith v3.10”で算出します。
          フリーソフト”Smith v3.10の使い方は ⇒ こちら
下図は”Smith v3.10”の画面です。A点は Z=0.849Ω-j1021Ω の位置です。C点は Z=約50Ωの位置です。
              (すべての図はクリックで拡大します)
       06 Smith v3.10図2mANT
下図の左は“Smith v3.10”画面に表示された整合回路とLとCの値です(右図は左右を書き換えたもの)。
    08 2mANTの整合回路の値
     コイル23.2μHは1.4mmφホルマル線を直径40mmの空芯枠に密巻で約30回,直径50mmの巻枠なら約23回です。スペース巻にすると巻数が多くなります。


ここからが、このページのメイン部分です。

送信電力と高周波電流は次の関係にあります(基本的には直流回路と同じ)。
     11_高周波電流_1
送信電力50W,ANT給電点のインピダンスRL=0.849で計算すると,給電点の電流は約8Aとなります。
給電点に接続される23.2μHのコイルは8Aの高周波電流でも発熱しないものが必要です。

コイル23μHは,ベースローディングとしてアンテナ下端に取り付けるか,車のトランク内に取り付けるか,アンテナチューナーとしてケースに入れてもOKですが,ANT給電点に近い場所に取り付けます。
次は整合回路に使用するコイルです(下図はエアーダックスコイルの写真です)。
     10 エアーダックスコイル2

上の写真のような空芯スペース巻コイルは品質が良い方ですが,高周波で使用すると,表皮効果などによる高周波抵抗分が発生します。
下図はコイル単体の等価回路です。Cはコイル線輪間の浮遊容量です。抵抗分Rcは周波数とインダクタンスに比例して増加する抵抗です。テスターなどで計測できるコイル線の抵抗値ではありません。
       14 実際のコイルの等価回路

コイルの品質Q(Quality Factor)は周波数とインダクタンスに比例し,Rcに反比例します。コイルのRcが大きくなるとQの値が低くなります。コイルQの値からRcを逆算してみます。
       15_コイルのRc
ANTの給電点の放射抵抗RLと整合コイル23.2μHの高周波損失抵抗Rcが下図のように直列になります。
先に高周波電流が8Aと大きいと書きましたが,Rc+RLが約6Ωとなるため,幸か不幸かコイルの
高周波抵抗Rcによって電流が2.9Aと小さくなりました(Rcがゼロに近い理想的なコイルを使用すると8Aに近づきます)。
       17_コイル内の高周波抵抗Rcで大部分熱となる
送信電力50Wの86%はコイルの5.1Ωで熱となり,14%がANTへ伝わります。
計算を単純化するため,垂直接地ANTの接地抵抗,整合回路のコンデンサ(バリコン)やコネクタ類の損失をゼロとしていますが,実際はこれらが加わるためANTエレメントへ伝わるのは10%以下ととなるでしょう。)
       (垂直接地ANTにおける接地抵抗の損失は ⇒ こちら  )
市販品に2m長に満たない7MHzベースローディングANTがありますが,ベースローディングコイルとは,上記の整合コイルのことなので,大きな銅線で空芯スペース巻し,車体から10~15cm離した取り付け方をしないと,電力の大部分がローディングコイルの中で熱となります。ANTエレメントへはわずかしか送信電力が伝わりません、

おわかりと思いますが,Q(コイル裸Q)を大きくするとコイル内の損失が減少し、ANTエレメントへ伝わる電力の割合が増加します。
Qを高くするには,
   ・コイル線の表面を大きくする(太い銅線,銅板,銅パイプを使用する。)
   ・コイル線を銀メッキする。
   ・空芯にする,スペース巻にする。
   ・コイルの長さと直径をほぼ同じにする。
   ・コイルを金属板から半径以上はなれるように設置する。
   ・バンド切り替えスイッチなどでコイルの一部を短絡しない。
   ・回転よってLを連続可変するものは,コイルとの接触部の劣化に注意する。
などがあります。
次の写真は,船舶用送信機の整合コイルです。お茶のペットボトルと比べてください。大きな巻枠に銅板でコイルが巻かれています。
     船舶用送信機コイル9
Qの高いコイルにすれば長さ2mのANTでも もう少し効率良く電波を放射できるでしょうが,コイルQが高くなるとコイルとコンデンサによって整合できる周波数の幅が非常に狭くなる(共振点がシャープになる)ため,電波が出せる周波数の幅が非常に狭くなります。

自動車で運用する場合は,周囲に他の車や建物,樹木などがあるとANTのリアクタンス値が変動し整合状態が狂ってしまいます。
おかしな言い方ですが,Qの低いコイルを使用するとクリチカルでなくなるのでチューニング(整合)しやすい状態になります(損失が増えて放射される電力は小さくなりますが・・・)。

(長さ2mANTの中間部にコイルを挿入しセンターローディング式にすると給電点のインピーダンスが少し改善され整合がとりやすくなりますが,挿入するコイルのQが高くないと電波の放射効率は改善されません。)

以上でおわかりと思いますが,7MHzを長さ2mのANTから送信するのは お勧めできる方法ではありません。

この問題を解決する方法はANT長を少しでも長くすることです。
走行中に電波を発信するのは危険なので禁止されています。移動先の駐車場などで運用するのであれば,その都度,5mの釣竿を建ててANTエレメント長を4m以上にして給電すると,もう少し効率がよくなります。

ANTの長さを4m,更に6mとした場合,どのように改善されるか,次のページ続きます。



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  1. 2015/03/27(金) 15:01:34|
  2. アンテナと整合
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MMANAを用いて21MHz 1波長デルタループANT(逆三角形)のインピーダンスを算出

MMANAを用いて21MHz 1波長デルタループANT(逆三角形)のインピーダンスを算出
                                           総目次へもどるは ⇒ こちら

前ページでは正三角形の18MHz 1波長ループANTのインピーダンスをMMANAで算出してみましたので,このページでは逆三角形の場合の算出をしてみます。 前ページへもどるは ⇒ こちら
     (逆三角形の場合,給電点のWire定義に工夫が必要なので,参考にとりあげました)

MMANAのアンテナ定義画面へ打込む数値(ANTの左上の位置と,右上の位置)を手計算で求まます。
                    (MMANAの入手・基本的な操作は ⇒ こちら のページへ戻って下さい。)
   00_逆三角Loop波長2
   高さは一辺の長さ×(√3÷2)ですから 4.08mとなります(高さの算出は前ページを参照ください)。
     02_逆三角Loop形状


給電点は上図の下端とします。下端に全長10cmの短いワイヤを設け給電はそのWireのセンターから行います。
その部分を拡大すると下図のようになります。
Wire 2 は給電点から短いWireの左5cmに接続します。Wire 3 は右-5cmに接続します。
                 04_逆三角Loop給電部

上図のデータをMMANAのアンテナ定義画面の枠に打込みます(下図の赤枠)。
左下の「PULSE」枠へ w4c と打込みます(全長10cmのWire4のセンタから給電の意)。
        06_逆三角Loopアンテナ定義


タグ「アンテナ形状」画面で各Wireの形状に問題が無いか確認します。
下図の右の枠はWire 1 のデータです。Wireの長さが4.72m,左角の位置が2.36と4.08と打込んだ値が表示されています。
     08_逆三角Loopアンテナ形状


タグ「計算」を開き,下部の「計算」ボタンをクリックすると,ANTのインピダンスとSWRなどが表示されます。
R(Ω)の値が 101.690 ,jX(Ω)の値が-206.396 と算出されました。50Ωに対するSWR値は 10.81 です。
     10_逆三角Loop計算結果1


jXの値がマイナス(キャパシチブ)で -206 と大きいのはANT線の全長が短いと言うことです。
アンテナ定義画面に戻って数値を打込み直すのも大変なので,MMANAの便利な機能「最適化」で,最適なWire長を調べます。
上図の「最適化」ボタンをクリックすると、下図の「最適化設定」画面が開くので,「全エレメント」ボタンをクリックして「実行」ボタンで進みます。
     11_逆三角Loop最適化設定画面


下図は「最適化」の画面です。計算結果1の値は最適化前の値です。結果2の値は最適化後のものです。
最適化によって,リアクタンスjXの値が小さくなっています。
          12_最適化前と後の値逆三角Loop


下図は「最適化結果」ボタンで表維された画面です。青に白抜きの行が最適化後の値です。   
     12_最適化結果


周波数特性ボタンを押して,「全点」をクリックし,タグ「SWR」を開くと下図のSWRカーブが表示されます。
50Ωに対するSWRなので 2..6 と高いですが,前ページのような「Qマッチ」を使用するか,L と C の整合回路を挿入することで50Ω同軸ケーブルに整合させることができます(後述) 。
     14_SWR逆三角Loop波長


最適化された状態のアンテナ線の長さを調べてみます。
タグ「アンテナ定義」を開くと,最初に打込んだ数値が修正されています(下図の赤枠)。
     16_最適化後のANT定義_逆三角Loop


タグ「アンテナ形状」を開き、各Wireの長さを調べ合計すると最適な全長がわかります。
        18_逆三角Loop全長
      アンテナの全長が最初の計算値 14.151mでなく15.306mと約 1.08倍となっています。
      (アンテナ建設時、各角に碍子を使用すると,1.06倍程度が最適となる場合があります。)

【 50Ω同軸ケーブルとの接続】
最適化後もインピーダンスはZ=131Ω-j1.3Ω なので,50Ω同軸ケーブルを接続すると大きな反射(SWR:2.6)が生じます。
これでは送信機からの電力がANTへ十分に進まないのでマッチング方法を考えます。
基本的には下図の整合回路を給電点に近い部分に設けます。
フロートバランは平衡ANTへ不平衡な同軸ケーブルを接続する時の不整合を改善するためです(受信時に近傍のノイズが減少するなど効果があります)。
整合回路はコイル0.47μFとコンデンサ73pFの2つでOKです(下図)。
               この値の算出は[Smith V3.10を用いてLとCを求める」 ⇒ こちら のページへ戻ってください。
実際は計算値通りでない場合があるので,コンデンサとしては50pFのバリコンに50pFのコンデンサを並列にして使用するのがベターです。
   (73pFコンデンサは同軸ケーブル5D2Vを73㎝分で代用することもできます.。具体的には  こちらのページ)の文末の図を参照ください。
          19_LC ANT整合部
でも,もっとも低コストで簡単なのは前ページで示した「Qマッチ」です。
     19-2 Qマッチ2



【お遊び:下側の角度を60度から90度にしてみました】
前ページで紹介しましたが「ワイヤ編集」画面を開き、マウスでワイヤ先端を動かし,下図のように開き角度が90°の形にしてみます。同画面の右下の「OK」ボタンで「計算」画面に戻り「最適化」をします。
その結果,インピーダンスが 256+j0.7と算出されました。更に広げると「フォールデットダイポールANT」のように300Ωとなるでしょう。
 逆に,角度を60度より小さくするとインピーダンスは 130Ω→100Ω→ と低くなるでしょう。
        

20_90°逆三角Loop


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フリーソフト「Smith V3.10」 で整合回路のLとCの値を求める ⇒ こちら

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  1. 2015/03/19(木) 16:00:14|
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