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10.アンテナチューナー(アンテナカプラー)

10.アンテナ チューナー(アンテナ カプラー:空中線整合器)    パソコン関係は こちら
                                               総目次は こちら

......................カテゴリ「アンテナと整合」の1~9までのページ
...........1.アンテナと共振周波数
...........2.アンテナとインピーダンス
...........3.アンテナとフィーダ(給電線)
...........4.フィーダー上の高周波電力(進行波と反射波)
...........5.定在波(SWR)とアンテナ電力(試算)
...........6.SWRの測定と問題点
...........7.SWR計と注意点
...........8.同軸ケーブルの長さを調整するとSWRがさがる
...........9.非同調フィーダーと同調フィーダー


これまでの「アンテナと整合4~9」では,アンテナ給電点のインピーダンス(下図のA点)とフィーダーの特性インピーダンスが整合していない場合,送信電力の一部が反射して戻るため「アンテナとフィーダーの整合(A点のマッチング)が重要」と述べてきましたが,送信機出力とフィーダーの接続点(B点)におけるインピーダンス整合も重要です。
 下図では,アンテナとフィーダーの接続点(A点)は75Ωで整合がとれていますが,トランシーバーの出力と同軸ケーブルの接続点(B点)は50Ωと75Ωなので整合がとれていません。(図はクリックで拡大できます。)
        TRX出力と同軸の不整合
かって「はしごフィーダー」が使われた頃,送信機の電力増幅部は真空管でした。真空管の出力インピーダンスが高いため高周波電力は並列共振回路(タンク回路)にリンクコイルを結合させて出力しました(下図左)。
一方で,はしごフィーダーを同調フィーダーとして使用していたため,フィーダー側のインピーダンスは周波数帯によって大きく変化しました。
また「はしごフィーダー」が平衡フィーダーのため,フィーダーと送信機出力を整合(マッチング)させるため下図右の平衡型の整合器(カプラー)が使用されました。フィーダーとの整合はコイルのタップを選択して行いました。(図はクリックで拡大できます。)
 真空管時代のタンク回路出力平衡フィーダー用カップラー

下図は「はしごフィーダー」給電とカップラーの接続図です。「はしごフィーダー」はSWR=8の状態となりますが,損失が少ないので,B点で整合させれば送信機の電力の大部分はアンテナから放射されます。
(図はクリックで拡大できます。)    参考:はしごフィーダーのSWRと損失は → こちら)   
        はしごフィーダーとの整合図
                 参考:はしごフィーダー用アンテナチューナー(カップラー)は →  こちら

同軸ケーブルの価格が安くなりアマチュア無線家(無銭家)にも手に届くようになった頃から75Ωの同軸ケーブルを非同調フィーダーとして,同時に不平衡フィーダーとして給電する例が多くなりました。
併せて,送信機の出力部がタンク回路でなくπ(パイ)マッチ回路を使用したものが多くなり,送信機出力を同軸フィーダーへ直接接続してマッチングできるため,アンテナカプラーを外付けしないで給電する例も多くなりました。

下図は「πマッチ回路(パイマッチ)」の基本図です。
上図のB点における同軸ケーブル側のインピーダンスが送信機の出力インピーダンスに合っていなくても,一定の範囲であればπマッチ回路のバリコン(VC1,VC2)と調節することで整合させることができます。
実行的には,インピーダンス差がSWR値にして2.5以下であればπマッチ回路の操作で整合(マッチング)させることができました。(図はクリックで拡大できます。)
   πマッチ回路 πマッチ回路変形
送信機(トランシーバ)の電力増幅部が真空管から半導体化され,送信機の出力インピーダンスが50Ωに固定化されました。 --- 半導体化によって小型化できたのにπマッチ用の大型バリコンなどを組み込むと,せっかく小型化のメリットが失われるからでしょう。

インピーダンスが50Ωに固定された電力増幅部の出力に,50Ωと異なるインピーダンスの負荷を接続すると,接続点(B点)で反射が生じ,送信電力が負荷側(同軸ケーブル側)へ送り込まれません。
半導体へ加わった動作電力が高周波出力として負荷側へ出力されないと,半導体へ加わった電力の殆どが半導体内部の熱損となり,半導体が熱破壊する虞が生じます。

このため,半導体の電力増幅回路では不整合による熱破壊を防ぐために,反射波が一定の大きさを超えると,電力増幅回路の動作を大きく抑制する機能を備えています。
この抑制機能(保護機能)が働くと送信出力が低下し,アンテナへの電力は急激に小さくなります(電波が飛ばない状態となります)。

以上のように,半導体式の送信機は,送信機出力と接続される負荷のインピーダンスが整合していないと送信電力がアンテナへ送り込まれないため,上図のB点における整合が真空管送信機の場合より重要となります。
(言い換えれば,アンテナチューナーは半導体電力増幅部の保護回路とも言えます)

初期の半導体式トランシーバでは整合器(アンテナチューナー,カップラー)は外付けで使用する方式でしたが,制御ICのコストダウンが進んだこと,より簡便な使い方を求めるユーザへの対応から,トランシーバ内部へアンテナチューナを内蔵した製品が増えてきました。

アンテナチューナー(カップラー:整合器)の回路はLとCを用いたインピーダンス整合回路です。下図は基本的な整合回路です。下図のL型整合器Aは送信機の出力インピーダンスより負荷側のインピーダンスが低い時に使用します。L型整合器Bは負荷側のインピーダンスが高い時に使用します。(図はクリックで拡大できます。)
     L型整合器A2B2
下図の整合器CとDはコイルとコンデンサーの位置が上図と入れ替わっていますが整合器A,Bと同様に整合回路として機能します。図はクリックで拡大できます。
     L型整合器C1C2

下図は整合器AとBを接続したものです。形がギリシャ文字のπに見えることからパイ型整合器(π型アンテナチューナー)と言います。π型整合器の負荷側(右側)のコンデンサー容量がゼロになるとL型整合器Aになり,送信機側のコンデンサーがゼロになるとL型整合器Bとなります。すなわち,両方のコンデンサーを変化させることでインピーダンスの低い負荷から高い負荷までマッチング(整合)させることができます。図はクリックで拡大できます。
 パイ型整合器
下図は,整合器AとBの接続の変形です。形がT文字に見えることからT型カップラー(LCL-T型アンテナチューナー)と言います。送信機側のLをゼロにすると整合器Aとなり,負荷側のLをゼロにすると整合器Bとなります。すなわち,両側のLを変化させることでインピーダンスの低い負荷から高い負荷までマッチング(整合)させることができます。(図はクリックで拡大できます。)
     T型整合器L
下図は上図の変形です。上図はLCL-T型ですが,下図はCLC-T型となっています。CLC-T型カップラーでは,コンデンサーを変化させて負荷インピダンスとマッチングをとります。(図はクリックで拡大できます。)
T型整合器C
これらから発展した様々なアンテナチューナーがあります。
オートチューナ-としてはバリコンを回転させるモーターなどを使用しなくて済むπ型(パイ型)が主流になっています。マニュアルチューナーではシンプル,かつ,調整範囲が広くとれるCLC‐T型のものが多くみられます。
LCL‐T型は調整時にコイルのインダクタンスを変化させると言うやや面倒な点がありますが,コイルが直列になっていることから,ローパスフィルターとしても効果があり,高調波対策としても働く利点があります。

続:アンテナチューナ(オートチューナー)へ続くは → こちら Next page should click here.

はしごフィーダー用アンテナチューナー(カップラー)は →  こちら 

総目次へもどるは →  こちら 

  1. 2012/06/04(月) 23:20:22|
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コメント

勉強になりました。

大変勉強になりました。ありがとうございました。

最後の方の、
> マニュアルチューナーではシンプル,かつ,調整範囲が広くとれるCTC‐T型のものが多くみられます。
は、CLC-T型のことで良いでしょうか?
  1. 2017/04/27(木) 10:45:58 |
  2. URL |
  3. pcook #-
  4. [ 編集 ]

Re: 勉強になりました。

pcook さん

コメントありがとうございます。
ご指摘ありがとうございます。私の誤記でした。

先日,過去のページ(同軸ケーブルと、はしごフィーダをSWR=8で使った時の比較)を書き改めました。次のURLです。
   http://take103.blog.fc2.com/blog-entry-38.html
やや細かい説明ページですが,ページの後半の「ここまでのまとめ」に結果を簡単に記載しました。

誤記の指摘 ありがとうございました。管理人より
  1. 2017/04/28(金) 11:23:45 |
  2. URL |
  3. 管理人 #-
  4. [ 編集 ]

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