皆空の中で...

SE/30修理トライ

2017年4月、Wさんから「Macintosh SE/30の電源ONしてもファンの音がせず,画面も真っ暗なまま動かない」と相談がきました。
                           目次のページへもどるは ⇒ こちら

Macintosh SE/30 は1989年発売のコンパクトMacで,Old Macの中でも多くのMacファンを魅了した名機でした。
1989年から28年経過しているので,定期的なメンテナンス無しでは動かなくなると思います。
最も心配な「3.6V電池の液漏れ」が発生していないか尋ねたところ,「液漏れ無し」とのこと。
電池の液漏れが発生し周辺のICまで及んでいる場合は修理不可能ですが,
それが無ければ復旧する見込み全く無しとは言えないので,修理トライをすることになりました。

当該のSE/30が届きました。
20年前にリワーク新品(新品の部品を集めて組立販売されたMac)として購入したが,
ひと月で起動しなくなったとのこと。
そのまま使用されないで保管されていたようで焼けも少なく外見はきれいです。
      (写真はクリックで拡大します)
   001_SE30前

次は裏側です。なぜか裏側に製品を示すラベルがありません。
純正品は製品のラベルやバーコードなどが貼り付けられているのですがね・・・。
      (写真はクリックで拡大します)
   002‗SE30後
純正品は次のようなラベルが貼り付けられています。
   003 背面の銘板が無い

筐体をあけてカバーの裏側を見ると,次の文字がありました。
この文字から,この筐体は福島県のプラスチック成型メーカで作成されたものです。
純正品でない筐体が福島県で作られたのでしょうか?
当時のSE/30ブームの中で作られたのでしょうか?
      (写真はクリックで拡大します)
   004カバー裏の文字

次はカバーを外した中味です。高圧回路などにほこりが全くありません。
      (写真はクリックで拡大します)
   005カバーを外した

次の写真は取り付けられていたSE/30 ロジックボードです。
心配したリチューム電池(赤色)は液漏れしていませんでした。電池の電圧は完全にゼロでした。
      (写真はクリックで拡大します)
   006ロジックボード


ロジックボードを点検すると,丸く白い電解コンデンサから液漏れがしています。
電解コンデンサC7ははずれて無くなっています。
      (写真はクリックで拡大します)
   007コンデンサーが古い


電解コンデンサC3,C4,C5,C6 の付近は漏れた液でパターンが汚れています。
左上のC7が外れた跡は最も汚れています(早くから液漏れしていたのでしょう)。
      (写真はクリックで拡大します)
   008コンデンサーを拡大1



次の電解コンデンサC8,C9,C10 も液漏れしています。
      (写真はクリックで拡大します)
   009コンデンサ拡大2


次の写真を見てください。電解コンデンサC7がありません。
液漏れでコンデンサの足が腐食して半田が外れてコンデンサがとれてしまったのでしょう。
C7の上側のIC(74LS166)の足が漏れた液で腐食して青錆びが発生しています(嫌な予感)。
これらの写真は無水アルコールを綿棒に付けて漏れた液をふき取った後のものです。
      (写真はクリックで拡大します)
   010コンデンサが無い

次いでアナログボードを点検したら,右上のパターンが茶色変色していました。
(P1コネクターの茶色変色は有名な症状です)
      (写真はクリックで拡大します)
   011パタ-ン焼け

茶色変色部を太い銅線で結びました(熱が銅線を伝わって広がることで焼けが発生しなくなります)。
      (写真はクリックで拡大します)
  012パターン接続


電源ユニットが正常に動作しているか確認します。
次の黄色の部分が電源ユニットからのコネクタです。
      (写真はクリックで拡大します)
   013電圧確認

次は上の黄色部分を拡大したものです。
図に記載のように,電圧が確認できればOKですが,測定した結果,すべて電圧ゼロでした。
電源ユニットの故障です。      (写真はクリックで拡大します)
   014電圧確認2

アナログボードを取り外しました。
      (写真はクリックで拡大します)
   015アナログ基板

アナログボードから電源ユニットを取外しました。
      (写真はクリックで拡大します)
   016電源外したアナログボード

取り外した電源ユニットです。      (写真はクリックで拡大します)
   017電源ユニット

電源ユニットのケースを外して,内部の点検をします。
20年以上経過しているので基盤裏面のパターンと部品の足を新しい半田を追加して再接続します。
この作業は部品の足の数だけ実施するので時間がかかります。
この半田追加作業で電源ユニットが生き返りました(経年で半田クラックが生じていたのです)。
      (写真はクリックで拡大します)
   018電源ユニット内部

上の電源基板にASTEC製造,1986年とある。SE/30用でなくSE用なのかも?
次はSE/30用の純正の電源ユニットです(Appleの銘板があります)。
      (写真はクリックで拡大します)
   18‗純正SE30電源


電源ユニットとアナログボードの修理が終了したので,ロジックボードのコンデンサ交換をします。
次の写真はロジックボードの古い電解コンデンサを取外した後です。
汚く見えますが,これでも無水アルコールで拭いたあとです。
強く削るとパターンが切れるので汚れ落とし作業は細心の注意が必要です。
      (写真はクリックで拡大します)
   019‗C6取外し跡


電解コンデンサC7の上側のIC(74LS166)の足がC7の液漏れで腐食し青錆び状態です(深刻な状態)。
      (写真はクリックで拡大します)
   020‗C2取外し跡 


新品の電解コンデンサを取り付けました。
C6は1μF/50V,他は47μF/35Vです(47μF/16VでもOK)。
足を短くして半田付けする時に基板側のパターンをはがす虞があるため,
やや足を長くして取り付けました。動作的には問題ありません。
IC UB11のPin-7とPin-15を抵抗1kΩでプルアップしました(CPU起動を助ける手法の一つ)。
      (写真はクリックで拡大します)
   021‗C6取付 


全ての電解コンデンサを新品に交換しました。
      (写真はクリックで拡大します)
   024コンデンサ交換終了

電池を単4電池2個で代用して,SE/30の電源をON時したら「ポーン」と起動音がしました。
冷却ファンも回転します。ハードディスクも動作音もします。
正常に起動できなくても「泣きMac (Sad Mac)」の画面が~・・・と期待しましたが,次の画面となりました。
この画面はロジックボードからビデオ信号が出ていない状態と考えます。

筐体側面の再起動ボタンを押すと,アルペジオのメロディが出ます。
アルペジオはハードのエラーが生じたときにMacが奏でる悲しい和音です。

通常ならアルペジオ音と同時に画面上にSad Mac(泣き顔のMac)が表示されますが,
ビデオ信号回路の不良で「泣きMac」が画面に表示されません。
でも,アルペジオのメロディが出るのでロジックボードの一部は正常に動いているとも言えます。
      (写真はクリックで拡大します)
    025‗ラスター画面がでた 

画面が真っ暗の場合は,アナログボードの次の①をテスターの50Vレンジで測定して
マイナス30~40Vの電圧となっているかチェックします。
測定中に画面が明るくなるなら,アナログボードは正常に動作しています。
      (写真はクリックで拡大します)
   026‗画面が暗い時

あるいは,アナログボードの輝度調整用「半固定抵抗器」をドライバーで回転させてみます。
      (写真はクリックで拡大します)
   026明るさ調整 

今回の修理で,次の画面の状態まで回復しましたが,これから先の修理は簡単ではありません。
      (写真はクリックで拡大します)
   027ラスター画面

記載を省略しましたが,RAMの足の清掃なども行いましたが状態は改善できませんでした。
残る修理作業としては,ロジックボードのICの交換,切れているパターンのジャンピングなどが必要でしょう。
この作業にはロジックボードの回路図が必要です。
古いICの動作品を探すこと,部品が入手できてもアナログ基板(積層基板)が非常に古いこと,
スルホールの導通が心配なこと・・・などを考えると大変な作業になります。
そう考えると,ロジックボードの動作品が入手できるまで待つのがベターでしょう。

ロジックボードが正常に動かないため,ハードディスクHDDからOSが読み込めるかどうか不明です。
OS:KT7.1が起動するか確認できません。
また、FDDの書き込み読み出しができるかも未確認です。

内部を点検中に発見したのですが,HDDマウンターとHDDの取付穴が合っていないため,
HDDの固定が片側ビス1つで止められています(本来は片側ビス2つ,計4個で固定)。
リワーク品は,こんな組立で顧客へ販売していたのでしょうかね~。


今回の修理作業はここまでで中止しました。

これから先は,SE/30の修理に詳しい「丸真商店」などへ相談してみる方法があります。
「丸真商店」のSE/30修理のページは ⇒こちら http://www.marushin-web.com/se30_1.html

但し,お店は修理技術と作業時間で生計を立てているのですから,動作する状態へ回復せずとも
相応の技術料がかかると思います。
(病院における末期段階での脳手術のようなもの・・・成功せずとも手術費はかかります)


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  1. 2017/05/03(水) 22:00:05|
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