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Macintosh SE/30 故障(電源編-3)

【Old Mac SE/30の電源ユニットの修理】・・・【電源編-3】

前回のブログ「Macintosh SE/30 故障【電源編-1】」の続きです。
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       SE/30をATX電源で動かす【電源編-2】は ⇒ こちら
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(1)SE/30電源基板の電解コンデンサーを総て新しいものへ交換したが,出力電圧が正常値へ回復しない。
(2)出力電圧を監視しPWM波形をDC140VスイッチングFETへ送る制御IC(SG3525A)の不具合か?
(3)あるいは,その途中にある絶縁パルストランス周辺の不具合か?
と言うところまででした。
下の写真はSE/30電源の基板です。丸印の電解コンデンサーを交換しました。絶縁パルストランスは中央のクリーム色のカバーがされた部分です。中央上の黄色のトランスは左の制御IC(SG3525A)部分へ電源を供給するためのものです。中央下の黒い大きなトランスが電圧変換用のものです。黒い大きな電解コンデンサはDC140V平滑用です。(写真はクリックで拡大します)
     SE30電源基板

SE/30電源の回路図が無いので,電源基板の実装部品と基板のパターンをながめ,この電源基板の基本図を書いてみました。(写真はクリックで拡大します)
スイッチング電源回路(SE/30電源の基本回路)
     SE30電源基本回路

各部の電圧を測定したところPWM制御ICへの電源供給は正常でした。
やはり疑わしいのはPWM制御IC(SG3525A)とその周辺回路ではないか?と調べましたが,それらの回路の正常時の電圧などがわからないので,しばらく棚上げの日が続きました。
その間にATX電源でSE/30を動かし,アナログボード,CRTに異常が無いことを確認しました(ATX電源で動かすは こちら)。
できるなら,内蔵のSE/30電源ユニット(純正品)でSE/30を動かしたくなり,不良箇所の探索を再開しました。

目視でははっきりしなかったのですが,PWM制御IC(SG3525A)とその周辺回路を接写し,拡大して見たら,プリント基板の部品の足の穴の色が,ICの左側と右側で違う色になっていることに気づきました。
下の写真を拡大して見てください。ICの左側の穴は茶色に変色しています。電解コンデンサーから漏れた液体が基板表面を伝わって基板の穴へ侵入しているのです。ICから右側の部品の足の穴は比較的きれいです。(写真はクリックで拡大します)
     SE30基板(SG3525A付近)

電解コンデンサーから漏れた液体は部品の足を腐食させるだけでなく,部品の足と基板のパターンを接続している半田も劣化させているのでは…,部品の足と半田の溶着部,半田とパターンの溶着部に「微細な亀裂が生じているのでは」と考えました。顕微鏡で見ないわからない微細な亀裂でも電気回路にとっては大問題なので,パターンと部品の足の古い半田を半田コテで溶かすとともに,新たな半田を追加してしっかりと溶着させました。

古い半田を溶かすと,基板穴に溜まっていた液体が熱で沸騰し「ジジ」と音がしました。液体が存在しない場合は音がしません。言い換えると,蒸発音がするほど穴に液体が溜まっていたということです。
下の写真の丸印の部分は半田を追加して半田アゲをした箇所です。(写真はクリックで拡大します)
     SE30基板の半田追加

新しく半田を追加し,半田アゲ作業をした結果,SE/30電源の出力電圧が正常に回復しました。
即ち,SE/30電源故障(出力電圧低下と不安定)の原因は,電圧検出部の部品の足の半田接合部の劣化でした。

半田による溶着部は,鉛とスズ等の半田,部品の足,パターン銅と言う,それぞれ異なる3つ金属の溶着ですが,温度係数の異なる金属の熱膨張収縮が10年20年と繰り返すと,疲労が生じ,溶着状態がもろくなるのではと考えます。特に電源回路は温度上昇と低下の繰返しが激しいため,半田溶着部の劣化も早く進むのではと考えます。更に,電解コンデンサーからの漏れた液体がもろくなった半田部ににじみこむと錆による金属の膨張力が加わり,半田溶着部に微細な亀裂が発生するのではと考えます。発生した微細亀裂に液体がしみこむと急速に溶着状態がもろくなると考えます。

今回の半田の劣化による故障が,この電源ユニット単体特有のものかどうかを調べるため,もう1台のSE/30電源(電圧低下故障)について,同様に半田アゲのやりなおしてみました。その結果,1台目と同様に出力電圧が正常にもどりました。
このことから「製造から20年近く経過したプリント基板の半田は劣化していると疑うべし」と考えます。
SE/30電源の出力電圧が低い,不安定という症状の故障は,上記を参考にして古い半田に新しい半田を加えて温めなおしすれば回復する可能性があります。
今回は,電圧検出部周辺の半田を温めなおしましたが,できれば,総ての半田溶着部分を温めなおしておくと良いでしょう。特に,MosFET,整流器など熱が発生する部品の足の半田は新しい半田でしっかりと温めなおしておくと良いでしょう。

これでも,出力電圧が正常値へ戻らない場合は,電圧検出部のトランジスタTR402を交換してみます。TR402は部品に記号が印字されていません。取外して電気的特性を調べた結果,PNP型のトランジスタであると判明しました。下の写真の中央が基盤に実装されていたトランジスタTR402です。左側はTR402と同じNPN型トランジスタです。右側はどこにでもある一般的なNPN型トランジスタです。(写真はクリックで拡大します)
     SE30TR402.jpg
ジャンク基盤から取外したPNP型トランジスタ(2SA1151)と交換してみたところ問題なく動きました。2SA1151でなくても同様のサイズの2SA*****でれば問題なく動くでしょう。試に,右側のNPN型(2SC1815)と交換してみたら出力電圧が正常値になりませんでした(当たり前です)。

言わずもがなですが,以上の作業を行う時は同時に電解コンデンサーも交換しましょう(特に4700μF,1000μF,470μFなど出力部の電解コンデンサは必ず交換しましょう)。
基板を電源ケースに戻す時,出力部のトランジスタと筐体の間に放熱用絶縁フィルムをはさむことを忘れないように!

ついでに,SE/30のアナログボードのコネクタの足の半田部にも半田を追加しておきましょう。CRT画面の一直線表示などの原因はコネクタ足の熱による半田劣化=微少亀裂が原因の1つと知られています

修理完了した電源ユニットを筐体へ入れてSE/30の動作試験をしました。電源ユニットからの電圧は正常な値でした。(電圧測定を負荷無しの状態で行うと,-12Vの電圧が正常な値となりません。ロジックボードに接続し,ロジックボード側のコネクタ足裏で測定します。)
電源が正常に回復しましたが,CRT画面はシマシマMacの状態です。真っ暗な画面の状態からシマシマMac画面まで回復したとも言えます。
下はシマシマMac画面のSE/30です(HDD,FDDは未実装の状態です)。(写真はクリックで拡大します)
     SE30シマシマ (2)

動作の基となる電源部の修理は以上で終了です。
次は,シマシマMac画面の修理です(ロジックボードの電解コンデンサー交換で直ってくれるとうれしいのですが・・・)
この続きは 後日 報告します。

参考文献
ハンダ接合信頼性評価技術(Ricoh Technical Report No.31)
http://www.ricoh.co.jp/about/company/technology/techreport/31/pdf/A3110.pdf
以下は,この論文から抜粋引用
「ハンダ接合における重要な信頼性問題の1つはハンダの熱疲労破壊である.電子部品とプリント基板の熱膨張係数の差に起因する応力が,環境温度等の変化に応じてハンダ接合部には繰返し加わり,やがてFig.1に見られるような,疲労破壊に至ってしまう」

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  1. 2011/12/01(木) 22:32:06|
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