皆空の中で...

ライナー 15BとLiner 15(21MHzSSBトランシーバー)

21MHzSSBトランシーバー「ライナー 15」と「ライナー 15B(Belcom Liner 15B)

                                        総目次へもどるは ⇒ こちら
物置から21MHz専用の小型SSBトランシーバが出てきました。
1975年の沖縄海洋博記念太平洋シングルハンドレースに出廷したヨットオケラ3世に搭載した10Wのトランシーバー「Belcom Liner 15B」の予備機です。
CQ197509月号日本電業PR
 左はCQ誌1975年9月号の
 ページです。
 
 写真の左上から2段目を
 拡大するとヨットオケラ3世
 に設置したLiner15Bが
 見えます。
 ヨット オケラ3世は
 ⇒ こちら  

 (画像をクリックし,
 再度クリックすると拡大します)

 
 ライナー15は日本電業㈱から
 Belcom Liner 15の商品名で
 販売されていました。

 初期はBelcom KAPPA 15の
 名前でした。

 このトランシーバー姉妹機として,
 左の広告の機種の他,
   Liner 2(144MHzSSB機),
   Liner 6(50MHzSSB機),
   Liner 10(28MHzSSB機),
 がありました。



     (画像をクリックすると拡大します)
1_Liner15写真
 左はライナー15です。
 中央のダイヤルを回し,
 10KHzステップで周波数
 を選択します。
 選択した周波数の前後は
 ±5KHzのVXOでカバー
 します。

     (画像はクリックで拡大します)
4_Limer15と15B

 ライナー15Bも保管されていました。
 上がライナー15,
 下がライナー15Bです。

 写真のライナー15Bのツマミは
 純正品から交換されています。
 上のライナー15のツマミが純正の
 ものです。

 純正のメインのツマミは角が鋭く,
 手を切りそうでした。

     (画像はクリックで拡大します)
3_Liner15B.jpg
 Liner 15Bの文字が
 見える角度からの
 写真です。

     (画像はクリックで拡大します)
6_Liner15内部2 Liner 15の内部です。
 しっかりとした作りには
 見えません。
 (安価な部品で組立てた
 CB無線機の感じです)

 中央上のアルミ板の白い
 トランジスタが送信電力用
 の2SC1239です。

 2SC1239で出力10Wを
 得るため,動作電圧を
 24Vへアップしています。

 左上の変圧器H16が
 24Vアップ用DC/DC
 コンバータのものです。

 当時は12Vで効率よく
 増幅できる高周波電力
 増幅用のトランジスタが
 無かったのでしょうね~。

     (画像はクリックで拡大します)
7_Liner15B_1.jpg
 ライナー15Bの内部です。

 ライナー15と比べると,
 右上と左上の部分に
 隙間ができています。

 送信電力増幅用の
 トランジスターが
 高性能の2SC1307へ
 変更されています。

 2SC1307は12Vで
 効率よく動作するため
 24VへアップするDC/DC
 コンバーターは取外され
 ました。

   下はLiner 15Bの部分拡大写真です。  (画像はクリックで拡大します)  
8_Liner15Bの改良部 ピンク枠はDC/DC
 コンバーターが
 有った部分です。

 緑枠の部分は,
 AF電力増幅ICの
 部分です。
 新型のICへ交換
 されています。

 黄色枠の部分が
 送信電力を10Wへ
 増幅する部分です。


   下は送信電力増幅部を拡大したものです。  (画像はクリックで拡大します)
9_Liner15B送信出力部
 10Wへ電力増幅
 する2SC1307付近
 の拡大写真です。
 
 10W出力用として
 こんな小さなコイル
 で大丈夫かなと
 不安です。


Belcom KAPPA

 Liner15,Liner15Bの
 プリント基板裏の中央に
 「KAPPA」の名前があります。

 設計・製造ラインにおける
 品名はKAPPAだったのでしょう。



ライナー15とライナー15Bをテストしてみました。
30年ほど通電していないのに受信動作はほぼ正常でした。
メインダイヤルの接点不良が生じていましたが,回転させているうちに接点の接触不良は少なくなりました。ボリュウムもガリが生じていましたが回転させているうちに安定しました。

Liner15Bは送信電力は10W近く得られましたが,Liner15は送信出力が小さい状態でした。
20年以上,物置で保管状態だったのに,Liner15Bが問題なく動作するのには驚きました。
内部配線にコネクターを使用せず,全てハンダ接続なので,接触不安定などが生じにくいためでしょう。(その点,TS940などはコネクタ接続部の不良が多くて困ります。

【参考1】 Liner15 ,Liner15Bの基本構成図(Basic circuit composition)
Liner15, Liner15Bの基本構成は下図のように2群の水晶発振回路を組み合わせたシンセサイザー式によるシングルコンバージョン方式です。
Liner 15Bではトランジスタが赤文字のように改良されました。送信電力増幅がタフで効率の良いNECの2SC1307へ改良され,ラフな使用にも耐えられるようになりました。また,受信部の初段がFET化されたことで近接通信時の飽和現象が改善されました。
                   Liner15 ,Liner15Bの基本構成図(Basic circuit composition)
                              (画像はクリックで拡大します)
8_Liner15_15B構成図

【参考2】 ライナー15B 回路図( Belcom Liner 15B circuit diagram)
               (回路図はクリックで全画面表示になり,再度クリックで拡大できます)
11_Liner15B回路図2

【参考3】 ライナー15 回路図( Belcom Liner 15 circuit diagram)
                    (回路図はクリックで全画面表示になり,再度クリックで拡大できます)
10_Liner15 回路図3

【雑感】
ライナー15Bの価格は68,000円でした。当時,トリオ(ケンウッド)の本格派オールバンド100WトランシーバーTS520Dが129,800円でした。それと比較すると,CB無線機の材料の流用と言うか安い部品で作られているライナー15Bの価格68,000円は高すぎると思いました。
TS520DやFT101シリーズにはアマチュア無線技術者を魅するモノ作りを感じましたが,ライナー15はそのような感じが少ないモノ作りでした。ライナー15から15Bへの改良時にも,上の写真でわかるように,旧設計のプリント基板をそのまま流用しており,アマチュア無線技術者を魅する工夫が見えませんでした。取扱説明書もTS520DやFT101と比べて貧弱でした(経営者がアマチュア無線への思い入れが少なかったのかも)。
ライナーシリーズのメーカ「Belcom 日本電業株式会社」はアマチュア無線技術者の心をとらえた無線機メーカとして生き残れず,1980年代半ばに富士通(株)による資本参加を経て,やがて社名も富士通ワイヤレスシステムズ(株)に変更となりました。


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  1. 2014/07/23(水) 22:45:44|
  2. アマチュア無線
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コメント

「トランシーバー」という言葉は60年代に日本電業の石川社長が創った造語ですね。
数年前まで富士通ワイヤレスシステムズのホームページにも掲載されていたことでした。
海外ではモトローラのウオーキートーキーがそれに該当します。
いまや世界中で「トランシーバー」が情報分野で使われているので先見の明のある社長さんだったのかなと思いました。



  1. 2018/05/10(木) 21:20:27 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

「日本電業Belcomの社長さんが作った造語」と言うのは誤りと思います。
私の手元の、
日本アマチュア無線連盟が昭和29年に発行したThe radio amateurs handbook を開くと
当時,逓信省電気通信技官の前田光治先輩が高周波真空管955による「トランシーバー」
として回路と制作を発表しています。
ご存じとは思いますが,955は太平洋戦争時のレーダーの受信回路に使用されたエーコン管です。

また,American Radio Relay Leagueが1964年に発行した The radio amateurs handbook
もパラパラめくると、ハリクラフター社などから真空管式の Transceiverとして立派な
商品カタログが掲載されています。
もっと古いARRLのQST誌を調べると1950年代からTransceiverは紹介されていると思います。
日本電業BelcomがCB無線機を北米へ輸出する前から北米の技術誌には、Transceiverの
記事が掲載されています。
太平洋戦争時の米軍のTransceiverとしてGRC-9やBC-1000も有名ですね。

日本電業Belcomは富士通の資本注入によって富士通ワイヤレスシステムズとなりましたが,
昔を忍んでの話の中から「昔、うちの会社の社長が・・」という話が生まれたのではと思います。

以上、参考です。管理人より。




  1. 2018/05/11(金) 00:22:30 |
  2. URL |
  3. 管理人 #-
  4. [ 編集 ]

そうですか。日本電業の石川氏の造語ではないのですか。
トランシーバーという言葉は不思議なことに商標登録されているわけでもないようなので(海外、特にアメリカでは稀有な事ですね)結局、時系列的には前田氏が初めてになるのでしょうか?戦時中の米軍ということになるのでしょうか?
アメリカの方はトランシーバーのことはウオーキートーキーというのだと言われたことがあるのですが、The radio amateurs handbook 、ARRLのQST等の資料等は手元にないので、確証もないのですみません。
できれば、いっそのことトランシーバーのWikipediaに起源など記載していただけるとすっきりします。
世界中の方が(少数かもしれませんが)ひょっとしたら不思議に思っていることかなと思います。
よろしくお願いします。
  1. 2018/05/17(木) 18:36:51 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

Transceiverの呼称は日本人の造語ではありません

トランシーバー:Transceiverは、受信機の機能と送信機の機能を備えた無線機です。
無線機Transmitterの単語と,受信機Receiverの単語を組合わせた単語とです。
Transceiverは無線機の方式上の分類単語です。

Transceiverの単語は,米軍 US Militaryが第二次世界大戦(WWⅡ)で,更に朝鮮戦争,
ベトナム戦争で使用した軍用無線機の方式上の単語として使用されています。
ネット検索へ”US Military radio transceiver”と打込んで検索し,英文のページを開いて見てください。

方式上の単語Transceiverを使い方の分類名称として,
背負型の大きい野戦無線機SCR-300をWalkie-Talkie、片手で持ちながら話せるSCR-536をHandie-Talkie
としていたが,手で持って話せるすべての無線機もWalkie-Talkieと呼称したようです。

次のページに米軍のBC-474-A、AN/PRC-77の英文記事があり,transceiverの単語が使用されています。
http://www.greenradio.de/htm2/e_scr288.htm

前出のSCR-536は通称:Handie-Talkieとしてモトローラ社(前Galvin Manufacturing社)から
1940年に米軍へ大量納入され使用されました。
モトローラ社は現在も「手で持ち運べる小型Transceiver=Handie-Talkieの名称で販売しています)。

米軍の無線機を製造していたコリンズ Collins社は,戦後,
1957年,KWM-1 Transceiverを発売
1959年 KWM-2 Transceiverを発売
1961年 KWM-2A Transceiverを発売

日本では,昭和34年(1959年)三電機からは3.5/7Mc帯トランシーバー QTR-7が
「トランシーバー」文字を印刷した箱にいれて発売。
日本で最初のトランシーバです。次のURLを開くと写真が現れます。
https://www.hamlife.jp/2015/02/15/yafuoku-qtr-7/

昭和35年(1960)江角電波研究所からトランシーバー RT-1 が、
昭和37年(1962)トリオからAM/CW 10WトランシーバーTRH-1が、
昭和41年(1966)八重洲無線からFT-100トランシーバー,50MHz 1Wのポータブル・トランシーバーTR-1000が
昭和42年(1967)日新電子からパナ650MHz帯AMトランシーバーPANASKY MARK6が、
昭和43年(1968)トリオからHF帯トランシーバーTS-510、井上電機製作所からVFO搭載トランシーバーFDAM-3が、
昭和45年(1970)八重洲無線から名器とうたわれたFT-101が,

と続々と商品化されています。

昭和46年(1971)日本電業ベルコムから KAPPA-10、KAPPA-15を発売。
       (名前をライナー10、ライナー15へ変更)
      輸出用CB無線の設計回路と生産ラインを流用してされた機種だった。

以上のように、日本電業Belcomがトランシーバ-を製品化した時期は早くはなかったのです。
日本電業の方がトランシーバ-と言う単語を作ったと言う話はいいかげんな話としか思えません。

北米の技術者が、日本人が作ったカタカナ名称を英語に変換して軍用無線機などで使用するなど
ありえません。
唯一は,東北大学の八木・宇田先生が発明した「YAGIアンテナ」だと思います。

先のコメントで照会した前田光治氏は電電公社総務理事、電気通信学会理事,NTT副社長、
電気通信協会会長、を歴任した技術の専門家です。残念ながら高齢で他界されました。

追記:
最近,日本ではトランシーバー3つの種類に分けて呼称るするケースがあります。
 (1) 手で持ち運びできるもの ハンディトランシーバー
 (2) 車載して使用するもの モービルトランシーバー
 (3) AC電源で使用するもの デスクトップトランシーバー
   http://www.fbnews.jp/201708/musenkyoushitsu/index.html

以上 参考になれば幸いです。
管理人より



  1. 2018/05/19(土) 13:24:25 |
  2. URL |
  3. 管理人 #-
  4. [ 編集 ]

たくさん調べてご教示いただきありがとうございます。
やはりご指摘のように米軍で使用されて名称のようですね。

で、私も少し調べてみた中に日経新聞の「私の履歴書 ボブ・ガルビン(米モトローラ元会長)」の本文中にMotorola社が「SCR536」の試作機を完成させ1941年6月に量産体制が整い、終戦までに4万台(もの凄い数ですよね)を出荷したとあるので、米軍がTransceiberという表現を使用したのは1930年代半ば~後半くらいからではないかと推測します。

また”Collins Collectors Association”のホームページの中の「THE WAR YEARS」の表中に「All/ARC-2  HF Airborn  Autotune Transceiver 1944-1945」という表現が出てくるので米軍が使用した表現なのだろうと思いました。

MIL STD等にTransceiberの言葉の「定義」としてその表記があると完璧だなぁ(ほぼ確定というか)と思いました。

念のために気になる富士通ワイヤレスシステムズのWikipedia中に日本電業が1959年にCBトランシーバーを量産開始とあるのでCB無線で「Transceiber(トランシーバー)」が一般呼称として使用開始されたのではないかと思い調べたところ、(ご存知と思いますが)”History of Citizens Band Radio(日本語)”のホームページにたどり着きました。この中の年表の50年代に登場する表現はWalkie-Talkieの嵐でTransceiberはほとんど登場しないかわりに、なんとWalkie-Talkieの歌(I've Got A Walkie-TalkieやOo-Wee Walkie-Talkie)まで作られていたそうな。Walkie-Talkie世代の大全盛期ですね。

更に、1957年の年表の最下部のところに「CBトランシーバーを本格的にアメリカ市場で成功させた影の立役者は輸出用トランジスターラジオを作っていた日本の小さな町工場企業だった。」
という記述がありました。日本電業はこの中の一社だったんだろうと思います。残念ながらこのホームページ中には個々の企業名の記載を見つけることは出来ませんでした。
ご紹介いただいた三電機(英語名Sun Electronics Co.とか?)は初めて聞く社名ですがこの町工場企業の一つだったかもしれないですね。失礼ながら規模はさほど大きくないんでしょうけど技術者魂が素晴らしいです。Trioとか八重洲がトランシバーを発売するのがやけに遅めに感じてしまいますね。

ご指摘されたように日本電業はアマチュア無線用トランシーバーでは後発の会社には違いないようですが、CB用トランシバーとしては1960年頃にはアメリカに本格的に輸出していたと推測されます。Belcomブランド以外にもCobraやMidLandのOEMとして輸出していたようです。
で、そのカタログや化粧箱にはWalkie-Talkieではなく「Transceiber」と表記された製品が店頭に置かれ、特にクリスマスシーズンには山積み(とまではいかなくても)大量に並べられていたのではないかなと想像したりします。
これら大量の日本製CB Transceiber(トランシーバー)達がWalkie-Talkie世代の方々と代替わりするように徐々に市民権を得てついには現在の無線を越えた情報通信全般で使用される世界の主流の言葉となったのではないかなと思いたいです(あくまで日本が主体的に使用した言葉として)。
で日本電業の方が作った言葉ではなかったですがアメリカで流布させたことに間違いはないように思います。日本電業Belcomブランド(電話開発者のGraham Bellと通信のcomunicationからInspireされた表現なんだろうと思いますが)も現在、なんの違和感もない表現だなって思いました。後に井上電機がicomを使ったりしていますし、なんせ現在は何かと「.com」の社会なので。なにげにネーミングセンスが良いように感じます。

ちなみに手元にある古い英和辞書の三省堂デイリーコンサイス英和辞典(昭和32年2月15日初版、昭和39年4月10日改訂版にはTransceiberの項目はなくWalkie-Talkieはありました。
研究社 新和英大辞典1974年 第4版では無線電話の項目中にWalkie-TalkieはありましtがTransceiberはありませんでした。大修館書店ジーニアス英和辞典 1994年第4版ではTransceiberもWalkie-Talkieも掲載されています。
Transceiber(トランシーバー)が一般的に辞書に掲載され始めるのは80年前後付近と推測します(家にある辞書では該当年のものがないので何ともいえませんが)。

いろいろお騒がせしてすみませんでした。
今後も管理者様のホームページがより一層輝きますようご期待いたします。
とおりすがりの者より。
  1. 2018/05/22(火) 10:59:46 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

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