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Dell Dimension 9150 故障と修理

【Dell Dimension 9150 故障,起動しない】 - - - - Dell9150起動不良
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友人から「デスクトップパソコン Dell Dimension 9150 が故障したのか起動しない」と電話がきた。
実物を確認したところ,電源ボタンを押しても,同ボタンのLEDも,正面のIOパネルの診断LEDライトも全く点灯しない症状です。HDDやファンの動作音もしない。但し,マザーボード上の緑色のLEDは常時点灯しているので,電源ユニットへACは通電している模様です。次の写真はDell Dimension 9150の正面です。
01_9150正面
(写真はクリックで拡大します)

パソコンの起動不良には様々な原因が考えられます。
Dell Dimension 9150には,正面パネルに診断LEDライトが4つあり,4つのLEDの点灯の組合わせで,どの部分で停止したのか判定する仕組みになっています。
今回は診断LEDも全て点灯しないので,BIOS起動までも進まぬ症状と判断しました。


【確認作業の開始】
Dimension 9150のオーナーズマニュアルを準備します。次のURLでも入手可です。
マニュアルはこちら http://support.ap.dell.com/support/edocs/systems/dim9150/ja/om/UD730A03.pdf

【確認1】 キーボード,プリンターなど外部接続しているUSB端子を総て抜いて起動テスト。結果は全く変化なし。

02_9150内部
(写真はDell Dimension 9150の内部です)
(写真はクリックで拡大します)


【確認2】 Dimension 9150のオーナーズマニュアルに沿って,電源ユニットからマザーボードへの20ピン,4ピンコネクタを1度抜いて再度しっかりと差し込む。マザーボードのコイン型電池(CR2032)の交換,CMOSクリアジャンパでCMOSクリアを実行して起動テスト。結果は全く変化なし。


03_コネクタの位置

(左図はクリックで拡大します)

【確認3】 次いで,メモリスロットへ増設したメモリカードも抜き,マザーボードから内臓の各ドライブやIOパネルへのコネクタを抜いて起動テストをしたが全く変化なし。

【確認4】 次いでメモリスロットの総てのメモリカードを抜いてみた。すると,ACコンセントを挿し込んだ時点で(電源ボタンは未操作)「ピー・ピー」と警告ブザーが10秒間ほど鳴る。CPU冷却ファンも回転し数秒間で停止した。



【確認5】 これらのテストで,ACコンセントを挿し込んだ時点で,正面パネルの診断ライト(1234)LEDがランダムに1秒間ほど点灯して消灯することに気づいた。

確認4と5で電源ユニットは完全に故障していないのではと淡い希望を持った。
電源ユニットの動作は,正面の電源ボタンを押すと,スイッチがONし,そのON信号がマザーボードの電源制御回路を経由して電源ユニットへ送られて主電源がオンになる仕組みと考える(ここまでの動作は待機電力で動く)。

この経路の何処かの部分が不良と仮定し,経路に沿って点検することにした。
まず最初に,電源ボタンで接触するスイッチはどのようになっているか,からスタートした。
04_9150 IO基板1
(写真はクリックで拡大します)
正面パネルの,マイク・ヘッドホンのコネクタ,HDD動作表示LED,USBポートの裏に小型のプリント基板(IOパネル基板)が見える。このIOパネル基板へマザーボードからのケーブルが接続されている。

電源ボタンとIOパネル基板の接続を調べるにはIOパネル基板を取り外す必要があるが,Dimension 9150のオーナーズマニュアルにIOパネル基板外し方の説明がない。

日本語版でないDellの公式ページを調べたら,英語版の「Dimension 9150 Service Manual」が見つかった。
英語版のマニュアルはこちら http://support.dell.com/support/edocs/systems/dim9150/en/sm/index.htm
この Service Manualの中に「Removing and Installing Parts I/O Panel」のページがあった。
I/O Panelのページはこちら http://supportapj.dell.com/support/edocs/systems/dim9150/en/sm/parts.htm#wp1061823

これを見て取り外し作業を再開した。
05_IOパネル取外し1

(図はクリックで拡大します) 

左図の①②の手順でレバーをおこします。

06_IOパネル取外し2

左図はヒートシンクケースの外し手順です。
図の2の部分のネジをゆるめる。

(図はクリックで拡大します)


07_IOパネル取外し3

左図はファンユニットの取り外し方。
レバー1を上げてケース全体をCPU側へスライドさせる。

(図はクリックで拡大する)


08_9150 IOケーブル

ファンユニットが外れると下図左の状態となる。

(写真はクリックで拡大する)


IOパネル取外し4



左図のように正面側のネジをはずし,IOパネル基板を取り外す。 



次は取り外したIOパネル基板の写真です。この写真は電源スイッチが良く見えるようにLEDカバーを取り外した状態です。(写真はクリックで拡大する)
11_9150 IO基板

このIOパネル基板を取り外して電源スイッチの構造が判明した。
電源ボタンの裏にスイッチは存在せず,ボタン裏から基板まで伸ばした透明なプラスチックアームでIOパネル基板上のスイッチを押す構造になっていた。(図はクリックで拡大する)
12_9150電源ボタンの構造

強い力が加わるのに,IOパネル基板上の小型スイッチと,その基板への取付け方が貧弱である。
基板の細いパターンの小さな穴へスイッチの足を挿入し,少量の半田で固定している。
1年に数百回も押す力が加わるのに,小型スイッチ部品の取付けが弱い。その結果,スイッチへ加わった力で,スイッチ接点の足とプリント基板との半田付け部に亀裂が入ることとなる。


肉眼では見えないプリント基板の裏表導通部(スルホール)の内部にも亀裂が発生する可能性がある。
このように頻繁に力が加わるスイッチを基板へ半田付けする場合は,少し大きめのスイッチ部品を採用すること,半田付けする部分の基板のパターンの幅も広くして十分な量の半田で固定できるようにすべきである。(本来は,スイッチ部品を基板へネジ止めし,力がスイッチ接点の足へ加わらぬようにすべき)

パソコン使用者の中には,1日に3~4回起動させる人もいるだろう,電源ボタンを強く押す人もいるだろう,と考えれば,もう少ししっかりしたスイッチ部の設計をすると思うが,そこまで考えが及ばないレベルの設計者によるものだろう。IOパネルなど周辺部の設計は若手にさせると思うが,経験を積んだリーダーが「これで大丈夫か」と注意してやれば,このような作りにならないのでは…。

今回,IOパネル基板の裏面からスイッチ部の半田部へ新たに半田を追加して,基板の表面側まで半田が十分に浸透するようにやや長く時間をかけて半田あげをした。
その結果,Dell Dimension 9150は正常に起動できるようになった。修理完了。

今回のDell 9150の起動不良は,上の構造図に示す「電源スイッチ接点の足をIOパネル基板へ貧弱な半田付けしている部分へ起動の都度,加わった力で半田にクラックが入り,基板の裏表パターンとスイッチ足の接続が切れた」ことが原因である。
新しい部品への取替えも不要な修理だった。故障部分は意外とこんな箇所なのだ。

修理後,もしかしたら,今回のような「IOパネルのスイッチ部の半田部の不良・亀裂(クラック)」のごときで,パソコン修理不能としている人がいるのでは,と気になった。
パソコン修理屋へ持ち込むと「電源ユニット不良とか,マザーボード不良とか診断されて,法外な修理費がかかりますよ」と言われ,新しいパソコンを購入した人もいるのではと思う。
(日本経済のためには悪くないかもですが・・・)

海外版のサービスマニュアルには,IOパネルの取外しの他,電源ユニットの取外し,CPUの交換,システムボード(マザーボード)の取外し等も記載されている。日本語版にはなぜかその部分が記載されていない・・・何故だろう。
以上が Dell Dimension 9150を愛用している方の参考になれば幸いです。

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【番外編】
以下は,マニア的と言うか野武士的と言うか,乱暴なやりかたです。
IO基板を取り外すのはめんどうなので,とりあえず,電源ユニットが大丈夫なのか強制的に電源ユニットを動作させてみる手法です。作業の前に電源コンセントを抜きます。
下の写真の矢印部は,電源ユニットからマザーボードへの主力電源線の束です。結束バンドを切って束をほどくと,緑色の線が1本だけあります。(写真はクリックで拡大する)
        電源ユニットから基板への束線
(写真はクリックで拡大する)
主電源コネクタ 電源ピンアサイン
緑線は「PS_ON=電源を起動する」線です。PC電源=ATX電源の主電源コネクタ(20ピン)の14番ピンはPS_ON,色は緑と規格で決められています。詳しくは「PC電源 ピンアサイン」でネット検索すればでてきます。
この緑線の被服を1~2mm程度剥き,内部の銅線が見えるようにします。黒線(15番)も同様に被服をむきます。被服を剥いた部分に,それぞれ手ごろな長さのビニール線を接続します。
       暫定接触
電源コンセントを入れ,ビニール線の先端をワニグチクリップで短絡します(スイッチをつけるとベター)。
これでPCが起動するかどうか確認します。起動すれば,このブログの例のように,IOパネル基板の電源スイッチ部の不良の可能性があります。起動しなければ,電源ユニット本体の故障の可能性があります。
この手法で起動させた場合,PCの停止は,シャットダウン操作後,十分に時間が経過してから短絡線をオープン(スイッチをOFF)にしてください(HDDが動作をしている時に電源を停止させないように)
以上の番外編を実施する時は,被服に傷をつけるので絶縁テープを巻くなどの処置が必要です。ミスをするとPCをジャンク品にする可能性もありますから,その覚悟で実施してみてください。成功を保証するものではありません。
以上

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  1. 2011/09/19(月) 15:35:02|
  2. パソコン Windows
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コメント

助かりました

この記事のおかげで、無事修理できました。
我が家の9150も、まだまだ使えそうです、ありがとう御座います。
  1. 2012/10/08(月) 16:43:55 |
  2. URL |
  3. めりぃ #-
  4. [ 編集 ]

助かりました

コメントありがとうございます。
お役にたてて良かったです。
Dell 9150はまだまだ使えると思います。
それでも経年でHDDが心配ですね(機械ものは劣化しますから)。
重要なデータはバックアップをとっておいたほうがベターですよ。
OSを含めて新しいHDDへ丸ごとコピーし,新HDDにすれば安心して使用できますね。
  1. 2012/10/08(月) 22:16:26 |
  2. URL |
  3. take103 #-
  4. [ 編集 ]

同じ症状が出て、困って検索していたところ、ここにたどり着きました。

さっそく分解し、スイッチのハンダ付け方をやり直したら無事に起動出来ました。

初心者にも解りやすい解説をどうもありがとうございました。
  1. 2013/07/10(水) 23:40:40 |
  2. URL |
  3. pan #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

panさん
コメントありがとうございます。
お役にたつことが出来てうれしく思います。
私のブログ画面の左側の「カテゴリ」の「★★総目次はこちら」をクリックすると
パソコン関係もあれこれ書き残してあります。
暇なときに「総目次」を開いてみてください。
コメントありがとうございました。


> 同じ症状が出て、困って検索していたところ、ここにたどり着きました。
>
> さっそく分解し、スイッチのハンダ付け方をやり直したら無事に起動出来ました。
>
> 初心者にも解りやすい解説をどうもありがとうございました。
  1. 2013/07/11(木) 10:06:26 |
  2. URL |
  3. take103kota2 #-
  4. [ 編集 ]

こんにちは、未だに9150を使っています。
まだこの症状は出ていませんが、毎日電源をオンオフしているので
将来なりえると思い、真に勝手ながらページをプリントさせていただきました。
とても丁寧で分かりやすい文章ですね、参考資料にさせていただきます。
ありがとうございます。
  1. 2014/03/15(土) 08:39:51 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

Re: Dell 9150

コメントありがとうございます。
Dell 9150を長く愛用されているようですね。
私の友人も,電源スイッチを修理した9150を今も愛用しています。
今日,友人からWindowsXPだが4月以降も使って大丈夫かな~と話がきました。
「ま~,怪しいサイトに接続しない,不明な添付ファイルは開かないなど,気を付けて使用すれば当面は大丈夫だろう,次回,9150が故障した時に買い替えすることにしたら~」と答えておきました。
使えるものは使い切るまで愛用ください。
コメントをいただいて,説明用の画像が小さすぎると反省し,写真などを少し大きくしました。
コメントありがとうございました。
  1. 2014/03/15(土) 14:16:47 |
  2. URL |
  3. take103kota2 #-
  4. [ 編集 ]

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