皆空の中で...

ICOM IC726Sの修理

ICOM IC726のPLL修理
     PLLユニットのLoop Filter回路のコンデンサーC29の経年劣化でPLLがロックできない。
       IC721もC29を交換することが望ましい。

                    全体目次へもどるは ⇒ こちら

1987年にICOMから発売されたHF~50MHzトランシーバーIC726Sの修理記録です。
製造から約30年経過しているので「部品劣化」「基板の半田クラック」などが考えられます。
             (写真は修理後のものです)
1_IC726Sフロント

ダイヤルを回しても受信周波数が変わらない症状です。
PLL回路が正常に動いていないと推定して,
 ・PLL基板のCPUの上にまたがって取り付けられているボタン電池の交換。
 ・PLL回路のIC電源5vを作るIC10(13v/5v変換)の交換と同IC入出力コンデンサの交換。
 ・PLL基盤の裏側の半田の温め直し。
をしました。
基盤裏の半田の温め直しは,虫眼鏡で半田の表面を見て怪しそうなものに追加半田をしました。
この結果,AM周波数から50MHzまで正常に受信ができる状態に回復しました。

数か月後に電源を入れたところ,ダイヤルの表示は正常に動くが,AM周波数から
50MHzまで全く受信できない症状となりました。
AFボリュームを回すと,内部雑音が大きくなりますが、アンテナ端子にアンテナを
取付け取外し時の「ガリ雑音」もしません。

BANDを変更しても、ダイヤル回転をさせても雑音に何の音も加わらないので,
VCOが正常に働いていないのではと推測しました。
   (VCOはヘテロダイン受信回路の第一局部発信部です)
下図はIC726のPLLブロック図です。
          (図はクリックで拡大します)
PLLブロック図


下図はVCO付近の回路図です。
図中央の4個のFET 2SK192AがVCO1~VCO4の発信回路です。
この4つのVCOの1つだけが不良なら,そのVCOの周波数を使用する周波数が
受信できない状態になるが,AM周波数から50MHzまですべて受信できないのは
4つのVCOに共通する右側のLoop Filter回路のコンデンサーC29(2.2μF)の
経年劣化かもしれないので交換してみることにしました(赤矢印のC29 )。
BPの表示は無極性コンデンサーなので,+-の極性のあるコンデンサーと交換してはいけません。
          (図はクリックで拡大します)
PLL VCO 1
          IC726 Circuit diagram(回路図)は ⇒ こちら からダウンロードできます。


次の写真はPLL基板です。Main Loop VCOの金属蓋は点検のため外した状態です。
Main Loop VCOの下の橙色の丸の部分にC29コンデンサー(2.2μF)があります。
      (写真はクリックで拡大します)
5_PLL基板

次の写真はC29コンデンサー周辺を拡大したものです。矢印がC29コンデンサーです。
      (写真はクリックで拡大します)
6_BPコンデンサーの位置

次の写真は取り外したC29コンデンサー2.2μFです。
一般的な電解コンデンサーに見えますが,BP型コンデンサーです。
        BPコンデンサー


次の写真は,取り外した BP型コンデンサーと新しく取り付ける
「積層セラミックスコンデンサー 2.2μF/50v」です。225の表示が2.2μFです。
   8_取り付けたコンデンサー

次は「積層セラミックスコンデンサー 2.2μF/50v」を取り付けた写真です。
   C29取付


積層セラミックスコンデンサーへ取り換えたら,全ての周波数が正常に受信できる状態へ回復しました。
電解コンデンサーC29の容量が経年で抜け, Loop Filter回路が正常に働かなくなり,VCOがロックしなくなってしまったのでしょう。

電源経路の電解コンデンサーは容量が半減しても,回路動作への影響は大きくないですが,
フイルター回路の場合は容量が減少するとフイルターの機能が変化するので,
経年で容量が減少しないコンデンサーの使用が望ましいですね。

製造当時は容量の大きい積層セラミックスコンデンサーが高価だったのかな?
今では50円程度なので,IC726,IC721のC29は積層セラミックスに取り換えておくのが良いですね。

基板を取り外した機会をとらえて,基盤と基板相互を接続するコネクタープラグをすべて抜いて,
接触ピンのメス側へ接点復活スプレー FOR-PRO No.1424を微量吹き付けて差し込みました。
次の写真はMAIN基板です。丸印部分にコネクタープラグがあります。
IC726 コネクタ

PLL基板のコネクタープラグも同様に実施しました。
     半田の経年劣化が進んでいる感じなので,PLL基板のコネクターの足,
     CPU(HD63A01Y)の足,IC4の足などへ追加半田をしました。

IC726 PLL基板コネクター

次は使用した接点復活剤です。
       接点復活剤



次の写真は,基板の取付を元に戻す際に基板接続用の信号ケーブルコネクタ
の差込を誤らぬように、基板の取り外し前にコネクター部を写真に残したものです。
     4_防備用に写真


IC726S Circuit diagram(回路図)は⇒ こちら http://pe2bz.philpem.me.uk/hamradio-mods/Service%20Manuals-AmateurTranscievers/Icom/IC-726.PDF からダウンロードできます。


全体目次へもどるは ⇒ こちら



  1. 2017/07/17(月) 10:28:46|
  2. アマチュア無線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ