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夏休みの工作_ゲルマ ラジオの製作

夏休みの工作_ゲルマ ラジオ作りを手伝う
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工作好きな小学生のゲルマニューム ラジオ作りをサポートしました。
少年にとって初めてのラジオ作りなので最もシンプルなものをすすめました。
     1_ゲルマニュームラジオ回路図
検波器は昔から利用されているゲルマニュームダイオード(1N60)です。ダイオードを虫眼鏡でみると点接触型であるとわかります。イヤホンはクリスタルイヤホンと書きましたが,ロッシェル塩のものは少なくなり,今ではセラミックイヤホンになっています。バリコンは昔のエアーギャップ型が入手できないのでポリバリコンを使用します。
          (写真はクリックで拡大します)
          1N60
         2_クリスタルイヤホーン ポリバリコン
これらの部品は秋葉原のラジオデパート3階「シオヤ無線」で購入しました(Tel 03-3251-5839)。
(1N60ゲルマダイオード:30円,セラミックイヤホン:220円,ポリバリコン:200円)
同調コイルもフェライトへ巻いてある「バーアンテナ」を購入すれば簡単ですが,コイルは自分で巻いてみることにしました。

まず,コイルの巻枠を作ります。厚さ5mm~1cmの板に直径10㎝の円を書きます。円周に沿って19個の穴をあけて,焼き鳥の串(竹の丸棒)を差し込みます。今回は19本となっていますが,17本,15本でも良いでしょう(必ず奇数とします)。丸棒のさし込む部分に木工ボンドを塗って差し込むと丸棒がしっかりと固定されます。
   【注意点】
   ・巻枠となる丸棒の数は奇数となるようにします。
   ・丸棒の材質は電気を通さない竹,木,プラスチックはOK。釘など金属はダメです。

        1_コイルの巻枠
コイル線は直径0.4mmφのポリウレタン線を使用しました(10mで70円と安価だったため)。コイルの巻き方は下図の水色線ように丸棒の外側→内側→外側と巻きます。丸棒の数が奇数なので,2回目の巻線は茶色線のようになります。この巻線方法は,巻線と巻線の接触部分が少ないため,巻線間の絶縁抵抗が高く保てます(この巻き方の話はページ末をご覧ください)。
            1_コイルの巻き方
巻き数として何回巻けば良いかは計算で算出できますが,小学生の工作なので計算済みの結果(文末)を使用して50回を巻きます(計算結果の巻き数+2回=52巻いて,後で調整します)。---巻き数の求め方はこのページの末尾の説明を参照ください。
巻き始めは,コイル線を丸棒へほどけないように2回巻してから巻き始めます。巻き終りも丸棒へほどけないように2回巻します。
巻き過ぎると周波数の高い放送が聞こえなくなります。巻き数が少ないと低い周波数の放送が聞こえなくなります。多めに巻いて少しずつ巻き数を減らして受信できる放送の変化を調べるのも勉強になります。

巻いた線をもどして巻き数を変化させる方法の代わりに,コイルの途中へタップを作っておいて,そのタップへ接続することで巻き数を変化させる方法もあります。
下図はコイルの巻線の途中にタップを作る方法です。巻線を丸棒へ一回巻して,コイル線を3cmほどシッカリとよじります。後で,よじった先端をサンドペーパーで磨いて半田あげすれば中間タップの出来上がりです。タップは30回目,35回目,40回目,45回目と4つ作ると,後でいろいろな実験ができます(もっと多く作ってもOKです)。
              1_コイルタップの作り方
下はコイルの完成写真です。板に近い方がコイルの巻は始め,手前が巻き終りです。巻きつけた力で丸棒が内側へ少し曲がってしまいました。コイルが手前にずれて出てこないように,細い糸で奥のコイル側へ引っ張っておきました。
       コイルの完成

【ここまでで,次回は改善したほうが良いと感じた点】
  コイルの巻枠の丸棒として「焼き鳥の串」は少し弱いかなと思いました。丸い割り箸(ハシ)を短く切って使用したほうが丈夫でしょう。
          丸箸
丸箸を使用する時は,取付け板を1cm厚にします。巻枠の本数は15本か,13本,11本でも良いでしょう(奇数の本数とします)。

上の回路図のようにコイルとポリバリコンを接続し,ゲルマニュームダイオードを経由してクリスタルイヤホン(セラミックイヤホン)を接続しました。カーテンレールにビニールコードを接続し,バリコンをゆっくり回してみたら,小さな音で放送が受信できました。
(NHKは埼玉県川口からの放送だから強く聞こえるだろうと思っていましたが,いつの頃からか,岩槻市からの放送に変わっていて距離が遠くなったためか,短いアンテナでは小さな音量でしか受信できませんでした。

長いアンテナの代わりとして「電灯線アンテナ」にしてみました。これは電力線が受けている電波の高周波成分を利用する方法です。感電してはいけないので,容量100pF~1000pFのコンデンサーを経由してラジオへ接続します。コンデンサの耐圧は250V以上のものとします。
        2_電灯線アンテナ
電灯線アンテナにしたら,関東エリアの放送の殆どが聞こえるようになりました。放送が重なって聞こえる混信がありますが,ゲルマラジオの完成です。
少年は,完成したゲルマラジオを持って意気揚々と帰宅しました。

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以上で,少年のゲルマニュームラジオ作りは終わる予定でしたが,数日後,少年が「自宅では聞こえにくい」とゲルマラジオを持ってやってきました。私の家で調べたところ,完成時と変わらない状態で聞こえます。
私の家は古い木造です。少年の自宅はコンクリートのマンションなので,コンクリートの建物では木造住宅のようにと電力配線へ放送電波が重畳していない,重畳していても非常に小さいのかも知れません。

自宅に持ち帰ったら聞こえない…では,少年としてはガッカリなので,もう少し感度をあげられないか考えました。
追加の部品が少なくて感度をあげる方法として「ゲルマニューム検波」から「トランジスタ検波」へ改善してみることにしました。
ゲルマニュームダイオード(1N60)を取り外し,代わりにトランジスタを1つ取付けます。トランジスタが検波動作をするための抵抗2つとコンデンサー1つを取付けます。
     トランジスタ検波回路図
次の写真の黒い部品がトランジスタです。部品がブラブラしないように,プリント基板の廃材で小さな「接続のための島=ランド」を作り,ハンダで部品を固定します。コンデンサー0.1μFからコイルへの線は,コイルの巻き終りから10回~20回のタップに接続します。最も良く聞こえるタップへ接続すると良いでしょう。
     (写真はクリックで拡大します)
     トランジスタ接続図
トランジスタは次の写真ように小さな「2SC・・・・」を使用します。品名文字の面からみて,右はB(ベース),中央がC(コレクタ),左がE(エミッタ)です。
今回は,トランジスタも抵抗もコンデンサーもジャンク基板から取り外して利用しました。取り外したトランジスタは2SC2718でした(小さな2SC型なら何でもOKです)。お店で購入する場合は写真の2SC1815でOKです。
     2SC1815_.jpg
ちなみに,上の写真のトランジスタ2SC1815は1個20円程度です。抵抗は1個10円,コンデンサーは30~40円です。これだけのために電車代を払って時間をかけて買に行くのもばからしいので,壊れた基板(次の写真)から取り外して利用したのです。
     ジャンク基盤
下の写真が「トランジスタ検波」へ改良したラジオです。たまたま古い電池ホルダーがあったので単三電池を使用しましたが,消費電流が非常に小さいので(0.4mA以下)電池は単4でも単5でも,更に小さいボタン電池でもOKです。スイッチもジャンク箱にあったものを取付けました。
乾電池でなく,食塩水に濡らした新聞紙を10円玉と1円玉で挟み,それを4個くらい積み重ねて両端から電気を取り出す手作り電池でもこのラジオは動作するでしょう。
     (写真はクリックで拡大します)
   完成写真

性能は,ゲルマニュームラジオとは比較にならぬほど高感度となりました。電灯線アンテナを使用する必要がありません。2~3mのアンテナ線で十分に聞こえます。
電灯線アンテナや長いアンテナ線を使用する場合は,アンテナ線をタップの位置へ接続してみると混信が少なくなります。

------------ 以下は勉強したい方への補足説明です--------------------------

【1】同調コイルのインダクタンスを計算で求める。
   同調コイルのインダクタンスを計算

【2】算出したコイルで同調できる最高周波数の計算
   最小容量30pFで同調周波数

【3】算出したインダクタンスとするにはコイルを何回巻けば良いかの計算
   コイルの巻き数とインダクタンス
  「ゲルマラジオ設計 GRDS」を利用すれば,コイル線の全長が算出され,何mを購入したら良いかまで,算出してくれます。

【4】このラジオのコイルの巻き方について
  今回のコイル巻き方は,1950年頃の本の中に「綿巻線を使用した鉱石ラジオ制作」に掲載されていました。コイル線として「エナメル線」が普及する以前は「綿巻線」が使用されました。綿巻線は銅線に綿を巻付けて絶縁させたもので,湿度が高くなると巻線間の絶縁度が下がり,コイルの性能Qが低下します。絶縁度の低下を少なくするために巻線相互が密着する部分を最小にする巻き方として考えた方法と思います(昔の人は工夫しているな~と思いました)。

【5】エナメル線とは
 「エナメル線」とは銅線にエナメル塗料を焼き付けた線ですが,エナメルと言う物質はありまません。エナメル線とは合成樹脂塗料を焼き付けたものの総称です。
・ホルマール線(PVF) Polyvinyl Formalを銅線に焼き付けたもの---最も古い
・ポリウレタン線(UEW) ウレタン樹脂のワニスを銅線に焼き付けたもの---(半田の熱で被覆がはがれる)
・ポリエステル線(PEW) ポリエステル系樹脂のワニスを銅線に焼き付けたもの---(150度まではがれない)

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  1. 2013/08/28(水) 16:07:02|
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