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垂直接地アンテナと接地抵抗

垂直接地アンテナと接地抵抗
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     このページは,外洋航海ヨットの垂直ポールアンテナ,自動車モービルアンテナなど
     垂直接地ANTを使用する場合の接地抵抗(アース値)の話です。


前のページ「垂直接地ANTと同軸ケーブルの整合(1/4波長より短いANTの例)」の続きです。
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前ページにおいて,
「1/4波長(0.25λ)より短い0.2λの垂直接地アンテナ(ANT)のインピーダンスはZ=20Ω-j 100Ω程度となるが,整合回路(アンテナチューナ)でマッチングをとれば送信電力が反射なくANTへ送り込まれ,効率よく電波が放射できる」と書きました。

 前ページは,接地が広い金属板など「接地抵抗」が十分に小さい条件での話です。大地へ接地した場合は必ず接地抵抗が生じます。この時の垂直接地ANTへ流れる高周波電流は下図右の等価回路のようになります。
     垂直接地ANTのアース抵抗j
1/4波長(0.25λ)より短い0.2λの垂直接地ANTのインピーダンスZは=20Ω-j 100Ωと前ページで書きましたが,接地抵抗を含むと, Z=(20Ω+接地抵抗Rg)-j 100Ω となります。
放射抵抗Rr(20Ω)は放射される電力からみなせる等価抵抗であり,損失抵抗ではありません。等価回路のコイルとコンデンサーでの損失は生じません。熱となって損失が生ずるのは接地抵抗部分です。
     接地抵抗による損失電力計算
接地抵抗がゼロであれば,0.2λの垂直接地ANT(Z=20Ω-j 100Ω)でも,整合器でマッチングをとれば送信電力の大部分が電波となって放射されますが(整合器のLとCの損失は後日にします),接地抵抗Rgがゼロででなく,30Ωの時は Z=(20+30)Ω-j 100Ω となり,送信電力の60%が接地抵抗で熱損失となるのです。
接地抵抗がある場合の効率は次のようになります。
          η=Rr/(Rr+Rg) ×100 [%]
送信電力の多くを電波として放射するためには Rg/Rr の値をできるだけ小さくする必要があります。

外洋ヨットへの垂直ANT設置のページで「船底船内側へ金属板を張付けてアースをとることが重要」とした理由は接地抵抗による損失を少なくする必要があるからです。
        外洋ヨットの船底内側への金属板の張り付けのページは → こちら

接地抵抗による損失分を減らすためには,垂直接地ANTの長さを0.25λ(1/4波長)より少し長くする方法もあります。
下図を見てください。長さが0.35λの場合,インピーダンスのR分は約150Ωとなります(下図の青線)。
        1_長さと給電点抵抗値_Ka600
この場合は接地抵抗が30Ωだったとしても,接地抵抗による損失は17%で済みます。
R分は150ΩでもリアクタンスjX分は+j500とインダクティブになるので,50Ωの同軸ケーブルと接続する場合は広範囲に整合できる整合器(アンテナチューナ)が必要です。
     (0.35λのリアクタンスjX部分は前ページの図3をご覧ください)
 更に,0.5λ=1/2波長付近まで長くすると,インピーダンス(R分)が2000~3000Ωと非常に高くなり,市販のアンテナチューナーでは整合できなくなります。

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     アンテナ チューナー(アンテナ カプラー)10~24項へもどるは ⇒ こちら

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  1. 2013/07/31(水) 15:54:45|
  2. アンテナと整合
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