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6.SWRの測定と注意点

【6.SWRの測定と注意点】         総目次へもどるは ⇒ こちら

    ................このページは次の1~8の中の「6」です。
    ..........1.アンテナと共振周波数
    ..........2.アンテナとインピーダンス
    ..........3.アンテナとフィーダ(給電線)
    ..........4.フィーダー上の高周波電力(進行波と反射波)
    ..........5.定在波(SWR)とアンテナ電力(試算)
    ..........6.SWRの測定と問題点
    ..........7.アマチュア用SWR計と注意点
    ..........8.同軸ケーブルの長さを調整するとSWRが下がる?

前5章の試算値でも明らかなように,SWRの値が大きくなるとアンテナへ送り込まれる電力が減少するので,SWR値を把握しておくことが大切です。前5章の試算値は こちら
(但し,はしごフィーダーを3.5MHzや7MHzで使用する場合は,前5章で示したように,フィーダーの損失が非常に小さいのでSWR=8でも気にしなくても良いでしょう)

4章の繰返しになりますが,進行波ともどる反射波が重なり合ってフィーダ上に発生する電圧分布波形,電流分布波形を定在波(Standing Wave)と言います。このStanding Waveの電圧の高い点と低い点の比(Ratio)をVoltage Standing Wave Ratio=VSWR,略してSWRと言います。
     定在波比SWR式
はしごフィーダーのような構造であれば,高周波電圧計を導線に接触させて電圧を測定することが可能ですが,同軸ケーブルの場合は中心導体の任意の点へ電圧計を接触させることはできません。
定在波は,もともと,進行波と反射波によってできるものなので,アマチュア無線では進行波と反射波の比率を計って定在波(SWR)の値を知るのが一般的です。次の写真はSWRを把握する「SWR計」の例です。左は50MHzより低い周波数用,右は144~430MHz用のSWR計です。(写真はクリックで拡大します)
    SWRメーターオスカーブロック2 SWR計2

次は,SWRをフィーダー上の,どの位置で計測するかです。SWRは進行波と反射波によって生じた定在波を計るものですから,フィーダーの損失が皆無であれば,どの位置で測定してもSWRは同じ値となります。即ち,下図の測定点A,測定点Bでも同じ値になりますが,現実には,フィーダーの損失が皆無のフィーダーは存在しません。
フィーダーに損失があると,反射波は整合器方向へもどる過程で減衰します。反射波が減衰で小さくなる,即ち,整合器との接続点(図の測定点B)のSWR値は,アンテナとの接続点(図の測定点A)のSWR値より小さくなります。従って,SWRを正しく把握するためには,下図の測定点Aで測定する必要があります。
なお,測定点Cは送信機(トランシーバ)と整合器(アンテナチューナー)の整合を把握する時の測定点です。
    ------ 図6.1 ----- (図はクリックで拡大します)
SWR測定箇所

下図はフィーダー(同軸ケーブル)の損失によってSWRの値がどのように変わるか示したものです。同軸ケーブルの損失が皆無で,かつ,SWR=1.0の場合は,アンテナ側も送信機側もSWR値は同じです(損失皆無のフィーダーは存在しないですが)。
同軸ケーブル損失が1dbの状態は50MHzや144MHzでは普通にある状態です。この時,送信機側でSWR=1.5と示していても,アンテナ側ではSWR=1.7程度なのです。144MHzで同軸ケーブル5D2Vを30m使用すると損失は3dbを越えます。同軸ケーブルの損失が3dbある場合,送信機側でSWR=2.0でもアンテナ側ではSWR=5.0となっているのです。
7MHzで同軸ケーブル5D2Vを20m使用すると損失は約1dbですから,下図の2段目の絵をイメージすると良いでしょう。
    ------ 図6.2 ----- (図はクリックで拡大します)
   フィーダー損失によってSWRが変わる

図6.1の測定点Aから測定点Bへ移動するとフィーダー損失によってSWRの値が少しずつ小さく表示されます。測定点BでSWRを測定した場合は,本来の測定点Aの値はもっと高い(悪い)ととらえてください。

フィーダー(固有)の特性インピーダンスと負荷(アンテナ)のインピーダンスが合っていないと,フィーダー上に定在波が生ずるため,フィーダー上の任意の位置のインピーダンスは一定ではありません(3章の図3.6~3.8図を参照ください)。3章の図3.6~3.8図は こちら

リアクタンス成分を含めてインピダンスが大きく変化するフィーダー上の任意の点にSWRを挿入するのですからフィーダー(同軸ケーブル)の特性インピーダンスに影響を与えないSWR計を使用しないといけません。上の写真の左のSWR計は入力から出力までの長さが25cmもあります。このようなSWR計を145MHzで使用すると,SWR計の長さがは1/4波長の50%となります。このようなSWR計では正確に計測することはできません。入出力端子のコネクタ,内部配線,検出回路部分で同軸ケーブルの特性インピーダンスに乱れが生じないように精密に仕上げないと,SWR計そのものによる反射が生じます。周波数が28MHz以下であれば25cmのSWR計でも計測は可能でしょう。

今週はここまでにします。次回は,
(1)「アマチュア無線用SWR計の問題点,誤差,SWRを正しく計測する方法」です。
(2) 更に「同軸ケーブルの長さを若干長くしたり短くするとSWRが下がる?」などについて話は続きます。

おことわり
1/2波長水平ダイポールは大地に対して平衡状態です。同軸ケーブルは中心導体と外部導体が大地に対して均等な静電容量とならない構造(不平衡)なので,平衡アンテナと不平衡ケーブルの接続にあたっては平衡/不平衡変換を行う変換器(バラン)を接続点で使用するのが正しい方法ですが,図6.1では説明を簡素化するためにバランについては省略しています。

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  1. 2012/01/24(火) 21:25:26|
  2. 無線アンテナと整合
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