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TVアンテナの支線を利用した21MHzループアンテナ

TVアンテナのステー線を利用した21MHz1波長ループアンテナ
                                      総目次へもどるは ⇒ こちら

無線アンテナは,地上より高く,エレメントの多いものが性能が高いため,狭い敷地に無理をして建てている例がありますが,ご近所から見れば,地震や台風などの際に気になる存在と思います。以下は,ご近所へ違和感を与えないアンテナの紹介です。「無線アンテナです」と言われなければ気付かないでしょう。

構造的には,テレビアンテナの支線を利用したアンテナですが,1波長(1λ)のループアンテナなので性能的にはダブレット(ダイポール)アンテナより優れています。このアンテナの特徴は,電波の打上角度が低い,帯域幅が広い,耐久性があり,何よりローコストが特徴です。ハワイやオーストラリアあたりとは十分に通信ができます。

1995年,このアンテナを ex.7N3NVT(故:白石鋼造OM)宅に建てました。
白石OMは,当時,ヨットで最年少単独世界一周をした白石康次郎さんのお父さんです。OMは,このアンテナでオケラネットとシーガルネットへ毎日参加し,息子の世界一周航海を見守りました。


次の資料は,このアンテナを1995年のCQ誌へ掲載したものです。
写真1は,説明のために支線の写真を太く修正しています。資料の後に【補足説明】が続きます。
                    (資料はクリックすると拡大します)
ステーANT_1
                    (資料はクリックすると拡大します)
ステーANT_2
                    (資料はクリックすると拡大します)
ステーANT_3
      Qマッチでの整合をとる場合は,ANT給電部にフロートバランを挿入すると,平衡ANTと
      不平衡フィーダの接続状態が改善され,市街地ノイズの減少が期待できます。

      (その後,ループの全長を 1波長×1.02 より更に長めの1波長×1.04~1.06とした方が
       SWRが低くなる場合があることが判りました。) 


                  (資料はクリックすると拡大します)
ステーANT_4

【補足説明】
【1.マスト長とループの形状】

菱型ループを正方形にするためにはマストは4.9mとなります(下図左)。マスト長が3m程度で,かつ,ステー線が広げられない場合は下図右のような三角形のデルタループとなります。基本的には左がベストですが,右の三角形型でも性能の低下は大きくないでしょう。(資料はクリックすると拡大します)
   マストの長さと形

マスト長が3.6m程度でもステー線が広げられる場合は下図左のように菱型ループとなります。ループの形は下図右のように左右非対称でも大きな問題はありません。(資料はクリックすると拡大します)
   変形ループ

ステー線が広く広げられない場合は,下図のようにループの一部に折り返し部を作って全体の長さを1波長(14m)にすると良いでしょう。ループの途中に短縮コイルを入れるより,下図の方法がロスも少なく,強度も優れています。(資料はクリックすると拡大します)
   ループの折り返し

上図の線a'の長さは,線(a+a')の30%未満がベターです。線b'も同様です。線aと線bの長さは同じ程度が上下対称となりベターです。線eは線a'とb'のセパレート用です。セパレート部へタマゴ碍子を使用したのは安価で紫外線に強いためです。紫外線に強い樹脂でも良いでしょう。線b,b'へは大きな力が加わらないので,線a,a'より少し細いステンレス線でも良いでしょう。

1波長ループアンテナの指向性は1/2波長ダイポールアンテナとほぼ同じですが,資料の第2図のように1/2波長ダイポールをスタックにした形なので,打上角度は低くなると言われています。

【2】頂上部の絶縁方法
資料の図1では,左右のタマゴ碍子とは別に,他の支線へタマゴ碍子を2つ挿入してエレメント(アンテナ線)がマストなどへ接触しないようにしていますが,この部分は,アンテナ動作としては「電流腹」の部分なので左右のエレメントをつなぐ線の表面へ同軸ケーブルの外皮などを巻いて,自己融着テープを巻いて絶縁する方法でも大丈夫です(他のエレメントを利用して50MHzループアンテナを作る場合は,この方法で行います)。

【3】アンテナと同軸の整合方法の比較
資料の第五図「1/2λ迂回ライン4:1バラン」は,平衡アンテナであるループアンテナを不平衡の同軸へ変換し,併せて,アンテナのインピーダンスを4対1変換して接続する方法なので理論的には良い方法です(資料では第1図のようにこの方法を使用しました)。
その後,同様のループアンテナを建てた際に,第7図の「Qマッチ整合」を使用しました。「Qマッチ整合」は平衡→不平衡変換はされませんが,使用した感じでは前者と後者の性能差はほとんどみられません。「1/2λ迂回ライン」は同軸ケーブルを多く使用しますが,一方,Qマッチ整合は75Ωの同軸が必要です。
両者とも注意すべきは,防水処理です。Qマッチの同軸ケーブル接続のコツは中心導体を半田付けした部分へ「紙」を巻くことです(紙を巻くのは半田の熱で内部のポリエチレンが溶け,中心導体と網線の短絡を防ぐため)。紙を巻き,双方の網線を相互に重ね,その上に細い銅線を巻きつけ,最後に重ねた相互の網線へ半田をしみこませる方法でもOKです。自己融着テープでしっかり防水処理をして,接続部へ曲げの力が加わらぬように「あて木」をします。

【4】同軸ケーブルの防水
同軸ケーブルの防水は,自己融着テープを使用します。ビニールテープなどを巻くなどでは防水できません。自己融着テープを十分に引張りながら巻きつけることが大切です。自己融着テープは各社から販売されています(次は一例です)。(資料はクリックすると拡大します)
          エフコテープ

【5】エレメントの接続
エレメント(アンテナ線)は,基本的には,途中で接続点のない14m長のステンレス線を使用します。やむを得ず線を接続して使用する場合は,ステンレス線を「よじり接続」し,ステンレス半田を流仕込み,自己融着テープを巻いて接続部を防水します。給電部におけるエレメントと同軸ケーブルとの接続も同様にします。(資料はクリックすると拡大します)
          電線の接続

【6】エレメント長の調整
エレメントとなるループ線の長さは,資料3枚目のように14.36mとなります。ダイポールアンテナのように短縮率は掛けず,逆に,1.02を掛け算した値となります。この14.36mのうち,14.2mでループを作り,残りは給電部で長さが調整できるようにします(資料の写真2参照)。資料の作成例の場合,タマゴ碍子部で短くなることを考慮しなかったためか,アンテナ建設後にSWRを測定してみたら,資料第8図のような結果となりました。
第8図を見ると,SWRの最も低い周波数は21.5MHz付近と見えます。波長は300÷周波数MHzですから,21.5MHzの波長は13.965m,21.3MHzの波長は14.085mとなり。その差は,14.085-13.965=13.2cmですから,現在のアンテナの中心点を21.300MHzにするには,調整用余長部で+13.2cm長くすれば良いことになります。
(その後の実験結果:ループの長さは,1波長×1.02よりも,1波長×1.04~1.07の範囲で調整するとSWRが良好になることがわかりました。)

【7】残りのステー線の扱い
4方向への支線(ステー)のうち,残りの2方向のステー線の影響を少なくするためタマゴ碍子を挿入するなら,そのステー線で1辺が1.5mの菱型ループを作ると50MHzの1波長ループアンテナになります。

【その他】
このアンテナの耐久性はテレビアンテナと同じく,①マスト,②屋根馬,③支線を四隅に固定する「アンテナ支線止め金具」で決まります。私の経験から,TVアンテナメーカが提供しているマストは軽くて丈夫であり,10年経過しても錆びないなど耐久性があると評価しています。(資料はクリックすると拡大します)
TVANTマスト マストジョイント 屋根馬

マスト長が3.6m程度であれば直径25mmのマストでも大丈夫でしょう。先端に遠距離用の大型地デジアンテナを載せる場合は,マスト直径が31mmのものが安心です。屋根馬もしっかりしていればテレビ用でも大丈夫でしょう。ステーの張力はゆったりとした力の範囲にとどめます。ターンバックルなど使用してピンピン張ると屋根へ力が加わり屋根材がいたみます。

注意事項:
マストとして「ステンレス巻」パイプの利用は要注意です。ステンレス巻パイプは鉄管にステンレスを巻いたもので,表面はきれいですが,雨や潮風があたる場所で使用すると,「異種金属接合による腐食=電気分解」が生じるため,内部の鉄管が短時間で腐食します(錆びます)。外から見たらピカピカなので大丈夫と思っていたら,何年もたたないのにボッキリ折れたなどと聞きました。
鉄管にウレタン塗装を施したパイプがまだマシです。ステンレスパイプを使用する場合は,巻パイプでなく,全体がステンレスのものを選ぶべきです。
鉄とアルミとか,鉄とステンレスとか,異なる金属が接触する部分は,雨の水で電池状態が発生し,それによって電気分解=電食=錆が発生します。異なる金属が接触する部分だけでもウレタン塗装をすると腐食を防ぐことができます。例:マストとマストジョイント,マストと屋根馬,マストと地デジアンテナのU金具などなど・・・

メーカ品のTVアンテナ用のマストが丈夫で軽く耐久性があります。マスプロのウエッブカタログにマストなどが掲載されています(65ページ)。
実際に購入する時は,ネット検索へ「マスト M182Z」などと入れて検索し,購入するのが安価かもです。

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【給電ケーブルの技術 】同軸ケーブルの長さ
ANT給電部から無線機までの同軸ケーブルは任意の長さでOKと考えている方が多いと思います。
ANT給電部のインピーダンスが同軸ケーブルの特性インピーダンスにピッタリ合っていれば定在波が発生しないので任意の長さでOKです。
周波数が少しでも動けばANT給電部のインピーダンスは変化するので,バンド幅全域において同軸ケーブルの特性インピーダンスに合うことはありません。
中心周波数でSWRが1.5程度であれば周波数が2%変化するとSWR=2以上となります。
すなわち,SWRが1でないので同軸ケーブル上にそれなりの大きさの定在波が発生しています。
定在波が発生しても同軸ケーブルの電気長を「1/2波長×n(n=整数)」で使用すれば,ANT給電部のインピーダンスが無線機側の同軸ケーブル端に同じ値で現れます。

---同軸ケーブルが入手できない頃,600Ωのハシゴフィーダーを使用していた時代には,フィーダーを1/2波長の長さで使用しました。
「1/4波長×奇数」の長さで使用すると,アンテナの給電部のインピーダンスと大きく異なる値が現れます。インピーダンス75Ωのアンテナへ50Ωの同軸ケーブルを1/4波長接続すると約33Ωとなってしまいます。この記事のループアンテナのように,インピーダンス110Ωのアンテナへ75Ωの同軸ケーブルを1/4波長接続すると51Ωとなり,その部分に50Ωの同軸を接続することができます。これがQマッチ整合(Quarter-wave Transformer)です。
話をもとにもどして,同軸ケーブルを「1/2波長×n(n=整数)」の長さで使用する場合,実際の同軸ケーブル長はケーブルの速度係数を割り掛けして算出します。5D2Vケーブルはポリエチレン絶縁なので,1/2波長のケーブル長は「1/2波長×0.67」となります。

1/2波長×nの長さの点ではリアクタンス分が小さくなるため,送信機出力と同軸ケーブルのマッチング(整合)が簡単となります。
できれば「1/2波長×nの長さで使用するのが良い」と言われるのは,送信機出力側でのマッチングが簡便になる利点があるからです。
21MHzでは,同軸ケーブル長を4.72m,9.46m,14.15m,18.87mの長さで使用すると無線機の送信部にとってストレスが少なくベターと言えます。
無線機出力にチューナー(カプラー)を設置し整合する場合は「1/2波長×n」にこだわる必要はありません。


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  1. 2011/10/04(火) 09:58:51|
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