皆空の中で...

SE/30修理トライ

2017年4月、Wさんから「Macintosh SE/30の電源ONしてもファンの音がせず,画面も真っ暗なまま動かない」と相談がきました。
                           目次のページへもどるは ⇒ こちら

Macintosh SE/30 は1989年発売のコンパクトMacで,Old Macの中でも多くのMacファンを魅了した名機でした。
1989年から28年経過しているので,定期的なメンテナンス無しでは動かなくなると思います。
最も心配な「3.6V電池の液漏れ」が発生していないか尋ねたところ,「液漏れ無し」とのこと。
電池の液漏れが発生し周辺のICまで及んでいる場合は修理不可能ですが,
それが無ければ復旧する見込み全く無しとは言えないので,修理トライをすることになりました。

当該のSE/30が届きました。
20年前にリワーク新品(新品の部品を集めて組立販売されたMac)として購入したが,
ひと月で起動しなくなったとのこと。
そのまま使用されないで保管されていたようで焼けも少なく外見はきれいです。
      (写真はクリックで拡大します)
   001_SE30前

次は裏側です。なぜか裏側に製品を示すラベルがありません。
純正品は製品のラベルやバーコードなどが貼り付けられているのですがね・・・。
      (写真はクリックで拡大します)
   002‗SE30後
純正品は次のようなラベルが貼り付けられています。
   003 背面の銘板が無い

筐体をあけてカバーの裏側を見ると,次の文字がありました。
この文字から,この筐体は福島県のプラスチック成型メーカで作成されたものです。
純正品でない筐体が福島県で作られたのでしょうか?
当時のSE/30ブームの中で作られたのでしょうか?
      (写真はクリックで拡大します)
   004カバー裏の文字

次はカバーを外した中味です。高圧回路などにほこりが全くありません。
      (写真はクリックで拡大します)
   005カバーを外した

次の写真は取り付けられていたSE/30 ロジックボードです。
心配したリチューム電池(赤色)は液漏れしていませんでした。電池の電圧は完全にゼロでした。
      (写真はクリックで拡大します)
   006ロジックボード


ロジックボードを点検すると,丸く白い電解コンデンサから液漏れがしています。
電解コンデンサC7ははずれて無くなっています。
      (写真はクリックで拡大します)
   007コンデンサーが古い


電解コンデンサC3,C4,C5,C6 の付近は漏れた液でパターンが汚れています。
左上のC7が外れた跡は最も汚れています(早くから液漏れしていたのでしょう)。
      (写真はクリックで拡大します)
   008コンデンサーを拡大1



次の電解コンデンサC8,C9,C10 も液漏れしています。
      (写真はクリックで拡大します)
   009コンデンサ拡大2


次の写真を見てください。電解コンデンサC7がありません。
液漏れでコンデンサの足が腐食して半田が外れてコンデンサがとれてしまったのでしょう。
C7の上側のIC(74LS166)の足が漏れた液で腐食して青錆びが発生しています(嫌な予感)。
これらの写真は無水アルコールを綿棒に付けて漏れた液をふき取った後のものです。
      (写真はクリックで拡大します)
   010コンデンサが無い

次いでアナログボードを点検したら,右上のパターンが茶色変色していました。
(P1コネクターの茶色変色は有名な症状です)
      (写真はクリックで拡大します)
   011パタ-ン焼け

茶色変色部を太い銅線で結びました(熱が銅線を伝わって広がることで焼けが発生しなくなります)。
      (写真はクリックで拡大します)
  012パターン接続


電源ユニットが正常に動作しているか確認します。
次の黄色の部分が電源ユニットからのコネクタです。
      (写真はクリックで拡大します)
   013電圧確認

次は上の黄色部分を拡大したものです。
図に記載のように,電圧が確認できればOKですが,測定した結果,すべて電圧ゼロでした。
電源ユニットの故障です。      (写真はクリックで拡大します)
   014電圧確認2

アナログボードを取り外しました。
      (写真はクリックで拡大します)
   015アナログ基板

アナログボードから電源ユニットを取外しました。
      (写真はクリックで拡大します)
   016電源外したアナログボード

取り外した電源ユニットです。      (写真はクリックで拡大します)
   017電源ユニット

電源ユニットのケースを外して,内部の点検をします。
20年以上経過しているので基盤裏面のパターンと部品の足を新しい半田を追加して再接続します。
この作業は部品の足の数だけ実施するので時間がかかります。
この半田追加作業で電源ユニットが生き返りました(経年で半田クラックが生じていたのです)。
      (写真はクリックで拡大します)
   018電源ユニット内部

上の電源基板にASTEC製造,1986年とある。SE/30用でなくSE用なのかも?
次はSE/30用の純正の電源ユニットです(Appleの銘板があります)。
      (写真はクリックで拡大します)
   18‗純正SE30電源


電源ユニットとアナログボードの修理が終了したので,ロジックボードのコンデンサ交換をします。
次の写真はロジックボードの古い電解コンデンサを取外した後です。
汚く見えますが,これでも無水アルコールで拭いたあとです。
強く削るとパターンが切れるので汚れ落とし作業は細心の注意が必要です。
      (写真はクリックで拡大します)
   019‗C6取外し跡


電解コンデンサC7の上側のIC(74LS166)の足がC7の液漏れで腐食し青錆び状態です(深刻な状態)。
      (写真はクリックで拡大します)
   020‗C2取外し跡 


新品の電解コンデンサを取り付けました。
C6は1μF/50V,他は47μF/35Vです(47μF/16VでもOK)。
足を短くして半田付けする時に基板側のパターンをはがす虞があるため,
やや足を長くして取り付けました。動作的には問題ありません。
IC UB11のPin-7とPin-15を抵抗1kΩでプルアップしました(CPU起動を助ける手法の一つ)。
      (写真はクリックで拡大します)
   021‗C6取付 


全ての電解コンデンサを新品に交換しました。
      (写真はクリックで拡大します)
   024コンデンサ交換終了

電池を単4電池2個で代用して,SE/30の電源をON時したら「ポーン」と起動音がしました。
冷却ファンも回転します。ハードディスクも動作音もします。
正常に起動できなくても「泣きMac (Sad Mac)」の画面が~・・・と期待しましたが,次の画面となりました。
この画面はロジックボードからビデオ信号が出ていない状態と考えます。

筐体側面の再起動ボタンを押すと,アルペジオのメロディが出ます。
アルペジオはハードのエラーが生じたときにMacが奏でる悲しい和音です。

通常ならアルペジオ音と同時に画面上にSad Mac(泣き顔のMac)が表示されますが,
ビデオ信号回路の不良で「泣きMac」が画面に表示されません。
でも,アルペジオのメロディが出るのでロジックボードの一部は正常に動いているとも言えます。
      (写真はクリックで拡大します)
    025‗ラスター画面がでた 

画面が真っ暗の場合は,アナログボードの次の①をテスターの50Vレンジで測定して
マイナス30~40Vの電圧となっているかチェックします。
測定中に画面が明るくなるなら,アナログボードは正常に動作しています。
      (写真はクリックで拡大します)
   026‗画面が暗い時

あるいは,アナログボードの輝度調整用「半固定抵抗器」をドライバーで回転させてみます。
      (写真はクリックで拡大します)
   026明るさ調整 

今回の修理で,次の画面の状態まで回復しましたが,これから先の修理は簡単ではありません。
      (写真はクリックで拡大します)
   027ラスター画面

記載を省略しましたが,RAMの足の清掃なども行いましたが状態は改善できませんでした。
残る修理作業としては,ロジックボードのICの交換,切れているパターンのジャンピングなどが必要でしょう。
この作業にはロジックボードの回路図が必要です。
古いICの動作品を探すこと,部品が入手できてもアナログ基板(積層基板)が非常に古いこと,
スルホールの導通が心配なこと・・・などを考えると大変な作業になります。
そう考えると,ロジックボードの動作品が入手できるまで待つのがベターでしょう。

ロジックボードが正常に動かないため,ハードディスクHDDからOSが読み込めるかどうか不明です。
OS:KT7.1が起動するか確認できません。
また、FDDの書き込み読み出しができるかも未確認です。

内部を点検中に発見したのですが,HDDマウンターとHDDの取付穴が合っていないため,
HDDの固定が片側ビス1つで止められています(本来は片側ビス2つ,計4個で固定)。
リワーク品は,こんな組立で顧客へ販売していたのでしょうかね~。


今回の修理作業はここまでで中止しました。

これから先は,SE/30の修理に詳しい「丸真商店」などへ相談してみる方法があります。
「丸真商店」のSE/30修理のページは ⇒こちら http://www.marushin-web.com/se30_1.html

但し,お店は修理技術と作業時間で生計を立てているのですから,動作する状態へ回復せずとも
相応の技術料がかかると思います。
(病院における末期段階での脳手術のようなもの・・・成功せずとも手術費はかかります)


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  1. 2017/05/03(水) 22:00:05|
  2. Old Mac
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Old Mac Color Classic Ⅱを動かしてみました

Old Mac Color Classic Ⅱを動かしてみました
                                  総目次へもどるは ⇒ こちら

物置で保管状態のOld Mac「Color Classic Ⅱ」の点検しました。
保管時にビニール袋をかぶせていたためか,予想よりきれいです。カラークラシック2は前面の曲線と足が好きです。子犬が座っているようにも見えますね~。
左のカラクラ2は画面にFDアイコンが表示されています。これはOSが見つからない(HDDからOSが読めない=HDD起動不良)の状態です。右のものは電源未投入です。
               (写真はクリックで拡大します)
          1_カラクラ2 2台

   下の写真左は側面です。     下の写真右はうしろからの写真です。(写真はクリックで拡大します)
     2_カラクラ2横 3_カラクラ2後

後ろの入出力部です。SCSIインターフェイスが見えます。(写真はクリックで拡大します)
          4_カラクラ後拡大

起動させてみました(下図)。
OSは漢字トーク7.6で動いています。RAMメモリ合計36.8MB,システムsoft使用量4.6MBです。
(現在のPCにくらべると非常に小さいですね)
ランチャー画面に「クラリスドロー」「Microsoft Excel」「Microsoft PowerPoint」,画面には表示されていないが,ランチャーの「文書の作成」には「Microsoft Word」なども入っています。
               (写真はクリックで拡大します)
          6_エクセルとパワーポイント

当時,電子メールとNiftyフォーラムに愛用していた「ComNifty」が残っています。コムニフティは小さいながら快適に動く通信ソフトで,そのソフトで読み取ったデータを切り分ける「魔法のナイフ」,切り分けたものを読みやすく表示するブラウザ「なすR」などにお世話になりました。これらを順序良く起動させる「まな板」も便利に利用させていただきました。その他「しなちゃん」「ぞーさん」なども使用した記憶があります。
              (写真はクリックで拡大します)
          7_まな板なすR

しばらく放置していたらスクリーンセーバーの1つ「フライングトースター」の画面になりました。
               (写真はクリックで拡大します)
          8_フライングトースター

次の写真はColor Classic Ⅱと一緒に保管しているMacintosh Performa 575(LC575)のロジックボードです。このロジックボードをそのままColor Classic Ⅱで使用すると漢字Talk7.5以降でシステムエラーが生じます。その改善策として,(1)ロジックボードの高解像度化改造,(2)VGA化改造,(3)ロジックボードの抵抗撤去と追加・・・のいずれかが必要です。
               (写真はクリックで拡大します)
          9_LC575 LB 2

HDD不良で起動できなかったColor Classic Ⅱは外付けHDD(SCSI)で起動できました。
2台とも動作が確認できたので,再び,物置へ眠らせることにしました。

保管時の注意点は,Color Classic Ⅱもロジックボードも電池をボードからはずして保管することです。
ロジックボードに電池を乗せたまま保管すると電池の液漏れで基板のパターンが壊れます。

参考: Macintosh Color Classic Ⅱ の概要
     発売は1993年,価格;228000円
     主な仕様 CPU;MC68030 /33MHz ,FEU;MC68882 ,RAM;最大36MB,
            OS;漢字Talk7.1, HDD;160MB,



総目次へもどるは ⇒ こちら


  1. 2014/09/30(火) 11:50:05|
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Macintosh PowerBook 170の修理

【Macintosh PowerBook 170 修理】
                            総目次へもどるは ⇒ こちら
---【Old Mac関係の目次】---
     ・Old Mac Classic II
     ・Old Mac SE/30修理(電源編-1)⇒ こちら
     ・Old Mac SE/30修理 ATX電源で動かす【電源編-2】⇒ こちら
     ・Old MacSE/30電源修理(続:純正電源の修理)【電源編-3】⇒ こちら
     ・Old Mac SE/30修理【ロジックボード電解コンデンサー交換】⇒ こちら
     ・Macintosh PowerBook170の修理⇒ こちら
-----このページは上記の6番目です--------
Macintoshのポータブル型モデルとして「Macintosh Portable」が1989年に生まれました。重さが7.2Kgと重いものでした。1991年にノート型モデルとして,PowerBook100,PowerBook140,PowerBook 170 が登場しました。
同時発表された3機種の中でPower Book 170(以下PB170)はハイエンドモデルでした。PB170はミドルレンジモデルのPB140に比べ,PEFを搭載し,かつディスプレイの高速描画処理も実現した機種で,発売当初の価格が70万円を超え非常に高価な機種でした。
そのようなPB170も,次々と生まれた後発のPowerBookに追い越されました。現役を引退したPB170を処分すると言うので我家へ引き取り,老後を過ごさせています。
今や戦力外のPB170ですが,ゲームなどで定期的に動作確認をしてきました。しかし,寄る年波には勝てず,ディスプレイの画像処理機能が故障し,しばらく保管状態のままになっていました。
このPB170とは別のロジックボードが不調のPB170を入手したので,2台のPB170を組み合わせて1台にしました。
下の写真は不調になったディスプレイ部を取外したPB170です。ディスプレイ部と本体とはヒンジのネジ4本で取付けられています。左の茶色のフイルム状のものはフラットケーブルです。右の白い2本線はディスプレイへの電源です。(写真はクリックで拡大します)
     PB170B.jpg
上の写真に4つのネジ穴のあるヒンジの白い金具が写っています。この金具はディスプレイをどのような角度で開いた場合でも,その角度で止まるように,ヒンジの回転部にはスプリングバネで強い制動力(摩擦力)がかかっています。ディスプレイ側でヒンジ金具の4本のネジを受けるナットは樹脂で固定されています。頻繁に開け閉めしていると,わずか数年でディスプレイ側の受けナットが樹脂からはずれ,ディスプレイの取り付けがフラフラになる症状が頻発しました。(その後のPowerBookでもヒンジのトラブルが続きました)。
下はディスプレイ部を取付けた写真です。(写真はクリックで拡大します)
     PB170銘板
上の写真の中央と右のネジが取付ネジです。このネジはヒンジの金具の穴を通過して突き抜けています。前述のように,ディスプレイの固定は,ディスプレイ側の内側に埋め込まれているナットへヒンジ金具を締め付ける仕組みですが,樹脂に埋め込まれていたナットが開閉時に加わる力で樹脂からはずれたため,背面まで貫通穴をあけて,長いボルトとナットでヒンジ金具を挟むように締め付けているのです。
みっともないですが,この方法しか方法がありません。本体側の皿のようなくぼみはディスプレイを閉じたときにナットの頭が当たるのでくぼみを設けました。下は貫通したボルトを受けているナットです。(写真はクリックで拡大します)
     PB170-SCSI.jpg
上の写真の4つのナットがヒンジ金具を締め付けているボルトの受け側です。このようにサンドイッチ式に締めても樹脂が弱くひびが入りやすいので,ヒンジのスプリングバネをガスコンロで焼いてゆるくしてあります。下がディスプレイ部を取りつけた写真です。ヒンジのスプリングバネをゆるくし過ぎたので,ディスプレイが向う側へ倒れないように本体との間を細いテトロン糸で結んでいます(写真では見えにくいですが,左側の紫の糸です)。(写真はクリックで拡大します)
     PB170A.jpg
上の写真では問題なく起動した状態に見えますが,内臓HDDから起動できませんでした。内臓のHDDを交換したいのですが,SCSIの2.5インチHDD(終端抵抗付き)が入手困難なので,外付けHDDで起動させました。下はPB170からSCSIで外付けHDDと接続している写真です。(写真はクリックで拡大します)
     PBとSCSI
PB170のSCSIはHDI30Pメスなので,PowerBook SCSI変換アダプタ(アクロス製 HDI30Pオス-D-Sub 25Pメス)を使用して接続しました。下はSCSI変換アダプタの写真です。ケーブル側がD-Sub 25Pでないタイプもありますから注意が必要です。(写真はクリックで拡大します)
     PB用SCSI
下は漢字Talk7.5.1で起動した画面です。PB170のシステムは本来はKT6.0.2ではなかったかと思います。この写真の左側に青糸がありますが,これがディスプレイの保護用のストッパー糸です。(写真はクリックで拡大します)
PB170 751
下は,昔懐かしいテトリスの画面です。(写真はクリックで拡大します)
     PB170テトリス
しばらく動かしていたら,下の写真のように画面の四隅が黒くなってきました。これは液晶のバックライトの劣化ではないかと思います。(写真はクリックで拡大します)
     PB170四隅暗く
この PowerBook170は製造から20年経過しています。今となっては役にたつことはありませんが,時々,動かしてあげようと思います。これからいつまで動くかわかりませんが…
(省略しましたが,本体の中のボタン電池は撤去してあります)

総目次へもどるは ⇒ こちら

  1. 2011/12/11(日) 19:00:51|
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Macintosh SE/30 ロジックボード修理(コンデンサ取替)

【Macintosh SE/30 ロジックボードの修理(電解コンデンサー交換)】

前回からの続きです(前回までは次をクリックしてください)。
 (1) 「SE/30電源編-1」 こちら
 (2) SE/30をATX電源で動かす【電源編-2】は こちら
 (3) SE/30純正電源修理【電源編-3】は こちら
 
SE/30電源の修理が終了し,シマシママック画面が表示される状態まで回復しました。
これからロジックボード(LB)の修理にかかります… と言ってもユーザーレベルで実施できるのは,劣化したコンデンサの取替,RAMメモリソケット清掃などまでしょう。

下の写真は Macintosh SE/30のロジックボードの取替前の電解コンデンサC8,C9,C10です。下右は電解コンC6,C7を交換した時点の写真です。(写真はクリックで拡大します)
SE30取外し前の電解コン SE30古いコンデンサ

C6,C7を交換すれば動くかなと期待しましたが,シマシマMac状態のままでした。
肉眼ではわからなかったのですが,接写して画像を拡大すると,ICの足や,パターンのスルホール箇所の半田が経年でかなり劣化している感じです。画像を見て不安は生じましたが,ロジックボードの全ての電解コンを交換することにしました。

まずは,古い電解コンデンサの取外しをします。この作業で注意すべきは電解コンを取外す工程で基盤のパターンを浮上らせないようにすることです。
電解コンの取外す方法として様々な手法があります。一般的には電解コンと基盤のパターンが半田で溶着されている部分を細い半田コテで温めて半田を溶かし電解コンを取外す方法がありますが,実施してみると経年劣化で溶着部の半田がスムースに溶けないことがあります。溶けないからと熱を加えすぎると基盤の細いパターンまで浮上る状態となることがあります。

いろいろ試した結果,電解コンの筒の中央部をニッパーで切取る方法が簡便で失敗が少ないと思います。この方法でのポイントは切れるニッパーを使用することです。切りながら上へ引張らず,完全に切れてから電解コンの筒の部分を取外します。
下の写真の左はニッパーで電解コンの筒の部分を切取っているところです。下右は切取った電解コンの筒の部分です。(写真はクリックで拡大します)
SE30電解コンを切取る 切取ったコンデンサ

下の写真は電解コンの筒を切取ったあとです。右は拡大写真です。液漏れしたのか汚いですね。黒い丸板は電解コンのハカマの部分です。ハカマを取ると電解コンの足が残ります。
(写真はクリックで拡大します)
SE30電解コンを切取った後 SE30電解コン切り取り後

残った足をニッパーの先で切取ります。ニッパーで切りながら上に引くとパターンが剥がれる場合がありますので切味の良いニッパーを使用します。
足を切取っても,古い電解コンの足の先がパターンの上に半田付けされた状態で残っていますが,それはそのままで作業を続けます。

電解コンを取外した部分を無水アルコールで清掃します。清掃しただけでは,古い半田の表面の被膜がはがれないため,古い半田の上部表面を細いマイナスドライバーの先で軽くこすります。古い半田の表面が部分的にでも光って見える状態になればOKです。それ以上こするとパターンをはがしてしまうおそれがあります。

古い半田の表面に新しい半田を少し加えて古い半田を溶かします。新しい電解コンはあらかじめ足に半田メッキしておいてから,パターンに半田付けすると半田付けの時間が短くなります。下は新しい電解コンを半田付けした写真です(写真が手振れしています)。(写真はクリックで拡大します)
IMG_1167.jpg 

下の写真は電解コンを取替えた後のSE/30ロジックボードです。写真の右上の電解コンも写真撮影のあとで交換しました。C6(青色)は積層コンデンサー(1μF)へ交換してみました。電池からの液漏れで電池ホルダーの足が腐食していたので,電池ホルダをロジックボードから取外しました。外部の電池か赤白の線で基盤の電池のパターンへ接続しました。(写真はクリックで拡大します)
SE30LB電解コン交換後2

全ての電解コンデンサの交換して,SE/30の動作確認をしました。「OSが見つからない」画面まで進むかと期待しましたが,残念ながらシマシマMac画面から進展がありませんでした。

それならと,メモリ基盤とVLSI基盤をソケットから取外して,基盤の足を無水アルコールで清掃しました。下の左はメモリです。右はVLSIです。(写真はクリックで拡大します)
SE30 RAM VLSI2.jpg

メモリカードとVLSIカードの足とソケットを清掃して装着し,再度,SE/30の起動を試みました。
残念ながら,シマシマMac画面の状態のまま進展がありません。(写真はクリックで拡大します)
SE30縞々3

これまでの作業で接写した画像を拡大してみると,多くのICの足が変色しています。このようなロジックボードの何処が不良なのか,全体に劣化が進んでいるため,これから先の探索は難解です。
このSE/30はロジックボードに電池を入れたまま保管していました。リチュウム電池は液漏れしにくいと思っていましたが,電池ホルダーの金具が腐食する状態まで液漏れが進んでいました。

この頃のOld Mac用リチュウム電池には赤色のもの,紫色のもの,白色のものなど様々なメーカのものがありました。たまたまかもしれませんが,液漏れしたのは赤色のマクセルの電池でした。他のSE/30でも赤色の電池を入れていたもので電池の液漏れが起きています(末尾の参考の写真をご覧ください)。

このSE/30のロジックボードの故障は電解コンデンサーの劣化だけでなく,液漏れした液が基盤の表面に薄く広がり,ICの足や,スルホール半田など広く劣化させて感じです。

このSE/30を再び動かすには,中古のロジックボードを見つけて嫁にもらうか,このSE/30を婿にだすかしなないと考え,しばらく再度の眠りにつかせてあげることにします。

----------参考-------
下は他のSE/30で発生した電池の液漏れの写真です。
このように大量に液漏れしたら修理不可能です。電池は定期的に交換し,Macを長期保管する場合は電池を抜いておくべきです。あるいは,基盤の電池ホルダーに入れず,フイルムケースなどに入れて液漏れが発生しても基盤に流れないように基盤と離れた場所へ電池を配置するべきです。(写真はクリックで拡大します)
SE30LB(電池液漏) SE30LB(電池液漏)2

   (1) 「SE/30電源編-1」はこちら
   (2) SE/30をATX電源で動かす【電源編-2】は こちら
   (3) SE/30純正電源修理【電源編-3】は こちら

総目次へもどるは こちら


  1. 2011/12/07(水) 22:49:55|
  2. Old Mac
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Macintosh SE/30 故障(電源編-3)

【Old Mac SE/30の電源ユニットの修理】・・・【電源編-3】

前回のブログ「Macintosh SE/30 故障【電源編-1】」の続きです。
       前回のブログ「SE/30【電源編-1】」は ⇒ こちら
       SE/30をATX電源で動かす【電源編-2】は ⇒ こちら
       SE/30のロジックボードのコンデンサ交換は ⇒ こちら 
                                  総目次へもどるは ⇒ こちら
前回のページは
(1)SE/30電源基板の電解コンデンサーを総て新しいものへ交換したが,出力電圧が正常値へ回復しない。
(2)出力電圧を監視しPWM波形をDC140VスイッチングFETへ送る制御IC(SG3525A)の不具合か?
(3)あるいは,その途中にある絶縁パルストランス周辺の不具合か?
と言うところまででした。
下の写真はSE/30電源の基板です。丸印の電解コンデンサーを交換しました。絶縁パルストランスは中央のクリーム色のカバーがされた部分です。中央上の黄色のトランスは左の制御IC(SG3525A)部分へ電源を供給するためのものです。中央下の黒い大きなトランスが電圧変換用のものです。黒い大きな電解コンデンサはDC140V平滑用です。(写真はクリックで拡大します)
     SE30電源基板

SE/30電源の回路図が無いので,電源基板の実装部品と基板のパターンをながめ,この電源基板の基本図を書いてみました。(写真はクリックで拡大します)
スイッチング電源回路(SE/30電源の基本回路)
     SE30電源基本回路

各部の電圧を測定したところPWM制御ICへの電源供給は正常でした。
やはり疑わしいのはPWM制御IC(SG3525A)とその周辺回路ではないか?と調べましたが,それらの回路の正常時の電圧などがわからないので,しばらく棚上げの日が続きました。
その間にATX電源でSE/30を動かし,アナログボード,CRTに異常が無いことを確認しました(ATX電源で動かすは こちら)。
できるなら,内蔵のSE/30電源ユニット(純正品)でSE/30を動かしたくなり,不良箇所の探索を再開しました。

目視でははっきりしなかったのですが,PWM制御IC(SG3525A)とその周辺回路を接写し,拡大して見たら,プリント基板の部品の足の穴の色が,ICの左側と右側で違う色になっていることに気づきました。
下の写真を拡大して見てください。ICの左側の穴は茶色に変色しています。電解コンデンサーから漏れた液体が基板表面を伝わって基板の穴へ侵入しているのです。ICから右側の部品の足の穴は比較的きれいです。(写真はクリックで拡大します)
     SE30基板(SG3525A付近)

電解コンデンサーから漏れた液体は部品の足を腐食させるだけでなく,部品の足と基板のパターンを接続している半田も劣化させているのでは…,部品の足と半田の溶着部,半田とパターンの溶着部に「微細な亀裂が生じているのでは」と考えました。顕微鏡で見ないわからない微細な亀裂でも電気回路にとっては大問題なので,パターンと部品の足の古い半田を半田コテで溶かすとともに,新たな半田を追加してしっかりと溶着させました。

古い半田を溶かすと,基板穴に溜まっていた液体が熱で沸騰し「ジジ」と音がしました。液体が存在しない場合は音がしません。言い換えると,蒸発音がするほど穴に液体が溜まっていたということです。
下の写真の丸印の部分は半田を追加して半田アゲをした箇所です。(写真はクリックで拡大します)
     SE30基板の半田追加

新しく半田を追加し,半田アゲ作業をした結果,SE/30電源の出力電圧が正常に回復しました。
即ち,SE/30電源故障(出力電圧低下と不安定)の原因は,電圧検出部の部品の足の半田接合部の劣化でした。

半田による溶着部は,鉛とスズ等の半田,部品の足,パターン銅と言う,それぞれ異なる3つ金属の溶着ですが,温度係数の異なる金属の熱膨張収縮が10年20年と繰り返すと,疲労が生じ,溶着状態がもろくなるのではと考えます。特に電源回路は温度上昇と低下の繰返しが激しいため,半田溶着部の劣化も早く進むのではと考えます。更に,電解コンデンサーからの漏れた液体がもろくなった半田部ににじみこむと錆による金属の膨張力が加わり,半田溶着部に微細な亀裂が発生するのではと考えます。発生した微細亀裂に液体がしみこむと急速に溶着状態がもろくなると考えます。

今回の半田の劣化による故障が,この電源ユニット単体特有のものかどうかを調べるため,もう1台のSE/30電源(電圧低下故障)について,同様に半田アゲのやりなおしてみました。その結果,1台目と同様に出力電圧が正常にもどりました。
このことから「製造から20年近く経過したプリント基板の半田は劣化していると疑うべし」と考えます。
SE/30電源の出力電圧が低い,不安定という症状の故障は,上記を参考にして古い半田に新しい半田を加えて温めなおしすれば回復する可能性があります。
今回は,電圧検出部周辺の半田を温めなおしましたが,できれば,総ての半田溶着部分を温めなおしておくと良いでしょう。特に,MosFET,整流器など熱が発生する部品の足の半田は新しい半田でしっかりと温めなおしておくと良いでしょう。

これでも,出力電圧が正常値へ戻らない場合は,電圧検出部のトランジスタTR402を交換してみます。TR402は部品に記号が印字されていません。取外して電気的特性を調べた結果,PNP型のトランジスタであると判明しました。下の写真の中央が基盤に実装されていたトランジスタTR402です。左側はTR402と同じNPN型トランジスタです。右側はどこにでもある一般的なNPN型トランジスタです。(写真はクリックで拡大します)
     SE30TR402.jpg
ジャンク基盤から取外したPNP型トランジスタ(2SA1151)と交換してみたところ問題なく動きました。2SA1151でなくても同様のサイズの2SA*****でれば問題なく動くでしょう。試に,右側のNPN型(2SC1815)と交換してみたら出力電圧が正常値になりませんでした(当たり前です)。

言わずもがなですが,以上の作業を行う時は同時に電解コンデンサーも交換しましょう(特に4700μF,1000μF,470μFなど出力部の電解コンデンサは必ず交換しましょう)。
基板を電源ケースに戻す時,出力部のトランジスタと筐体の間に放熱用絶縁フィルムをはさむことを忘れないように!

ついでに,SE/30のアナログボードのコネクタの足の半田部にも半田を追加しておきましょう。CRT画面の一直線表示などの原因はコネクタ足の熱による半田劣化=微少亀裂が原因の1つと知られています

修理完了した電源ユニットを筐体へ入れてSE/30の動作試験をしました。電源ユニットからの電圧は正常な値でした。(電圧測定を負荷無しの状態で行うと,-12Vの電圧が正常な値となりません。ロジックボードに接続し,ロジックボード側のコネクタ足裏で測定します。)
電源が正常に回復しましたが,CRT画面はシマシマMacの状態です。真っ暗な画面の状態からシマシマMac画面まで回復したとも言えます。
下はシマシマMac画面のSE/30です(HDD,FDDは未実装の状態です)。(写真はクリックで拡大します)
     SE30シマシマ (2)

動作の基となる電源部の修理は以上で終了です。
次は,シマシマMac画面の修理です(ロジックボードの電解コンデンサー交換で直ってくれるとうれしいのですが・・・)
この続きは 後日 報告します。

参考文献
ハンダ接合信頼性評価技術(Ricoh Technical Report No.31)
http://www.ricoh.co.jp/about/company/technology/techreport/31/pdf/A3110.pdf
以下は,この論文から抜粋引用
「ハンダ接合における重要な信頼性問題の1つはハンダの熱疲労破壊である.電子部品とプリント基板の熱膨張係数の差に起因する応力が,環境温度等の変化に応じてハンダ接合部には繰返し加わり,やがてFig.1に見られるような,疲労破壊に至ってしまう」

  次ページ「 SE/30のロジックボードのコンデンサ交換は ⇒ こちら 

  前回のブログ「SE/30【電源編-1】」は ⇒ こちら

  SE/30をATX電源で動かす【電源編-2】は ⇒ こちら

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  1. 2011/12/01(木) 22:32:06|
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