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7MHz 逆L ANTのインピーダンスと整合回路

7MHz 逆L ANTのインピーダンスと整合回路
                                   総目次へもどるは ⇒ こちら

Oさんから「移動運用時に垂直部5m,横6.5m(全長11.5m)のANTを計画しているが,コンデンサー250pFを直列に挿入するだけでマッチングがとれますか」と質問がありました。
結論を先に言えば答えは「NO」です。

先のページ こちら ⇒ 続:垂直ANT(4m~10m)の7MHzでの給電点インピーダンスと整合回路 で,
「ANTの長さを,共振長より少し長い11.5mにすると,250pFのコンデンサー1個を直列に挿入するだけで整合がとれる)」と説明しました。

それは,ANTの先端まで垂直に伸びている場合であって,同じ11.5m長でもANTエレメントの一部が水平になったりするとインピーダンスが大きく変わるのでコンデンサー1個で整合はできません。


でも,次のような条件の7MHz逆L型ANTを張ると,計算上,コンデンサー1個で整合ができそうです。
       (下図はMMANAの形状画面の抜すいです。) MMANAの使い方は ⇒ こちらへ戻ってください

     高さ5m横10.35m逆LANT形状
上の図のANTのインピーダンスを計算すると次の値となりました(MMANA計算結果から抜すいです)。
          15.35mANT Z
インピーダンスのR分は約50.1Ωですが,リアクタンス分が + j422Ωと非常に大きな値です。
SWRは73と非常に大きな値です。

この給電点のインピーダンスを「Smith v3.10」で表示させると次のようになります。
     Smith V3.10の使い方は ⇒ こちらへもどってください
下図のDP1の点がANTのインピーダンス Z=50.1+j422 です。
このリアクタンス+j422(Ω)を打ち消せば Z=50±0となり,50Ωの同軸ケーブルと整合できます(下図のTP2)。
     キャプチャ001

+j422(Ω)を打ち消す-j422のリアクタンスとなるコンデンサーの値は53.2pF / 7MHz と表示されました。
     15m逆LANTシンプル整合回路

以上から,垂直部5m水平部10.35mの逆L型ANTにするとコンデンサー1つで整合できそうです。
しかし,
移動運用先で,10m超の水平部ワイヤの中央部が垂れ下がらないように張るのは簡単ではありません。
また,周囲の構造物・樹木・車などの影響を受けるとインピーダンスは大きく変化します。
低い接地抵抗のアースでないと計算値のようになりません。

これらのことから,実際の移動運用においては,垂直部5m、水平部5~6mの逆L型ANTを建て,ANTチューナー(カップラ)で整合をとるのが良いと考えます。

では,実際に,5m釣竿を2本使用した垂直部5m+水平部5.7m=全長10.9mの逆L型ANTの場合のインピーダンスとマッチングを計算してみましょう。

       垂直部5m+水平部5.7m=全長10.9mの逆L型ANT インピーダンス
   7MHz 逆L ANT
上記のインピーダンスを50Ωに整合させるマッチング回路が必要です。

次の2つはコイルとコンデンサーが各1個で整合できますが,周囲の構造物などでインピダンスが計算通りとならない場合があるので,コンデンサーは可変コンデンサー(バリコン)と固定コンデンサを並列にして使用すると良いでしょう。
(回路はシンプルですが,ANTの高さ長さに合わせてLとCの値を変更が必要です)
     整合回路(A)


次の2つはT型チューナです。CLC型の2つのコンデンサをバリコンにすると整合できる範囲が広くなり,短時間でマッチングできます。
     整合回路(B)

次の2つは市販のアンテナチューナなどに見られるマッチング回路です。
     整合回路(c)

これらの中で,簡単に作製できて整合範囲も広くとれるマッチング回路は CLC型かなと思います。
高調波を抑制する性能はLCL型・パイ型・パイC型が優れています。


移動運用などに便利なアンテナチューナの自作については こちら ⇒ 7~28MHz Antenna Tuner アンテナチューナーの自作のページを参照ください。

総目次へもどるは ⇒ こちら


  1. 2015/07/23(木) 15:40:21|
  2. アンテナと整合
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7~28MHz アンテナチューナーの自作

7~28MHz Antenna Tuner アンテナチューナーの自作
Homebrew antenna tuner,Homemade antenna coupler.
                                   総目次へもどるは ⇒ こちら

防水機能がありそうな樹脂ケースを100円ショップで見つけたので(200円),
ヨットなど移動用にCLCアンテナチューナ(CLC Type Antenna Tuner)を自作しました。
回路はシンプルですが,簡単に製作できて整合範囲の広いチューナーです。
 (Antenna Coupler アンテナカップラー,空中線整合器とも言います)。
     01_CLC ANT tuner基本回路

下は,200円の樹脂箱の中に部品を並べてみた写真です。
     DSC00700.jpg

下の写真は,半透明のアクリル板にバリコンを取り付け,7~10MHz用のコイルを取り付けた完成写真です。
コイルは2mmφのPEW線を単2電池へ10回巻きしたものを取り付けました。
線の直径が2mmφなので巻き枠なしの空芯でも大丈夫です。
バリコンは手持ちの200pF/1kvを使用しました。14MHz~28MHz用なら100pF/1kvでよいでしょう。
          (写真はクリックで拡大します)
     01_CLC_ANTチューナー

下の写真は,横から見たものです。コイルは500Wでも耐えられる太さです。
配線は同軸ケーブルの網線を使用して高周波抵抗を少なくしています。
入力用コネクタ端子などを取り付けず,30~50cmの同軸ケーブルを直接半田で接続します。
同軸ケーブルの先にコネクターを取り付けます。
          (写真はクリックで拡大します)
     02_CLC_ANTチューナ横写真

下の写真は,うしろ側から見たものです。左側がANT側です(左右対称ですが・・・)。
          (写真はクリックで拡大します)
     03_CLC_ANTチューナ後写真


上の写真のコイルで6MHz~11MHz用アンテナチューナ(カップラ)として動作します。
3.5MHzで使用する場合は,コイルの巻き数を20回巻きにします(巻き枠が必要)。

コイルに端子を作り,14MHz~28MHz用のインダクタンスとなるように工夫します。
1つのコイルの途中に端子を設け,切替スイッチでコイルを部分的に短絡する方法には次のような欠点があります。
高いバンドの時に,低いバンドで使用していたコイルLbをスイッチで短絡し,小さなインダクタンスLaとしますが,
Laの磁力線によって短絡した部分Lbに起電力が生じます(下図)。
Lb部分に生じた電力が短絡電流となり,コイルLaのQを下げてしまいます。
   02_CLC ANT tuner2

送信電力が小さい(QRP)時は次のように低いバンドで使用するコイル部分を短絡しない方法もあります。
ですが送信電力が10W以上になると開放端の高周波電圧が高くなるので危険です。
     03_CTC ANTtuner coil

低いバンドのコイル部が負荷となって高いバンドのコイルのQの低下を防ぐため,
コイルを分割し,次のように配置します。
        04_コイルのQ低下を防ぐ


次の写真は,以上に基づいて高いバンド用のコイルを90度ずらせて配置したものです。
          (写真はクリックで拡大します)
     04_CLC_ANTチューナ 多バンド用

バンド切替は次の写真のように圧着端子をビスとナットで締める方法で実施します。
長所は,ロータリースイッチ接点よりしっかり接触するため信頼性が高い点です。
短所は,バンド切替に手間がかかる点です。
          (写真はクリックで拡大します)
     05_CLC_ANTチューナ 多バンド用横2

次は端子部分の拡大写真です。  (写真はクリックで更に拡大します)
     06_CLC_ANTチューナ 多バンド用拡大

以上は7MHzから28MHzまで使用できるように2個のコイルを使用しましたが,14MHz~21MHz、あるいは18MHz~28MHzの範囲で使用できればよい場合は、1つのコイルで,かつ中間端子なしのシンプルなコイルでもよいでしょう。

【CLC型ANTチューナー(カップラー)のチューニング操作方法】
 (1)下図のように送信機とANTチューナーを接続します。
   (送信機(トランシーバ)にSWRを表示する機能があれば,SWR計は省略してよい)
     送信機からの接続図
 (2)送信機(トランシーバ)の周波数を21MHz,CWに設定します。
 (3)送信機出力を最小にします(キャリア出力を最小にする)。
 (4)アンテナチューナの出力へ疑似負荷(50Ω~100Ωの10W以上の抵抗器、40~60Wの電球でも代用可能)
 (5)コイル端子6~9へ短絡端子を締めつけます(調整時なのでワニグチクリップでも良い)。
 (6)送信機を送信にし,CWキーをONにします(CWプラグの端子をワニグチクリップで短絡させてもOK)
  ----ここからがコツ----
 (7)VC2をゆっくり動かしてSWR計の針がピクっと低く下がる点で止めます。
 (8)VC1をゆっくり動かしてSWR計の針がより低く下がる点で止めます。
 (9)再び,VC2をゆっくり動かしてSWR計が更に低く下がる点で止めます。
 (10)以上の(7)~(9)を繰り返し,SWR計の針がゼロになればチューニング終了です。


次の写真は,60W電球をダミー負荷とし,21MHz出力60Wを加えてチューニングをとった状態です。
(60W電球が定格で点灯した時の抵抗値は約170Ωです)
     08_電球負荷でテスト2

ヨットに取り付けて長距離航海をする場合は,胴の腐食防止のために網線部分にミシンオイルを塗ると良いでしょう。
(バリコンのローター軸にオイルを付着させてはいけません・・・ローター接点部の接触不良が生じます)。

総目次へもどるは ⇒ こちら

このページは編集中です。


  1. 2015/07/22(水) 11:25:02|
  2. アンテナと整合
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測定器なしで空芯コイルのインダクタンスを調べる

測定器なしで自作空芯コイルのインダクタンスを調べる方法
     How to measure coils without Inductance measuring instruments ?
     When there is a HF transceiver, you can know the inductance easily.
     This page is the way.

                                  総目次へもどるは ⇒ こちら

21MHz用のアンテナチューナー(整合回路)に使用する空芯コイルを自作しました。
以下は,自作の空芯コイルのインダクタンスを測定器を使用しないで調べる方法です。

次の写真は塩ビパイプを使用して作成した直径23mmφ,巻き数15回,コイル長35mmの空芯コイルです。
              (この空芯コイルの作り方はこのページ末をご覧ください)
線輪の間の半透明の物質はエポキシ接着剤です(100円ショップの製品)。
室温が高かったためか接着剤が広がってしまいました(下手ですね)。
          上手な作り方は ⇒こちらのページ へもどってください。
         1_小型空芯コイル写真


次の写真はサランラップの巻芯を利用して作った直径30mmφ,巻き数22回,コイル長33mmの空芯コイルです。
(サランラップ芯を利用した空芯コイルの作成は ⇒ こちら 
線輪を固定するエポキシ接着剤の使い方が下手で広がってしまいました。(安物の接着剤のせいかも…)。
目的のインダクタンスに近い値を得るためにコイルの途中に端子を作っておきました。
       30φL33T22_1

本題の「自作したコイルのインダクタンス値を調べる」方法です。
mHより大きなインダクタンスであれば高機能デジタルテスターでも測定できそうですが,今回は0.5~10μH レベルのインダクタンスなのでそれらでは測定できません。μH レベルの高周波コイルのインダクタンス把握する計測器は高価なため無銭家には手が出ません。デップメータと精度の高いコンデンサーがあれば,デップ周波数からインダクタンスを計算で求めることができます。

自作コイルはソレノイド型なので,ネットの計算ページを利用してインダクタンスを計算することができます。
私が利用させていただいた計算ページは「RF Design Note 」の「ソレノイド・コイル 設計 ツール」 ⇒ こちら です。
このページへ自作コイルの直径,巻き数,コイルの長さを入れて計算させると,たちどころにインダクタンスを算出してくれます。
          コイルの巻き数とインダクタンス2
この計算ページでは,コイル線の太さを指定することができません。概ねの値が求められれば十分ですが,アマチュア無銭家的に測定器を使用しないで自作コイルのインダクタンスを調べてみることにしました。

以下はデップメータも何も使用しないでコイルのインダクタンスを求める方法です。
方法は次の通りです。How to measure coils without Inductance measuring instruments ?
   (1) 自作した空芯コイルで発信回路を動作させる。
       I install a making coil and make a Clapp oscillator circuit.
   (2) 発信信号を手持ちのHFトランシーバで受信する(発信周波数を知る)。
       Oscillator signal is received by a HF transceiver.
              (ディップメータより精度の良い周波数把握ができる)
   (3) 発信周波数から計算してコイルのインダクタンスを算出する。
       Inductance is calculated from the received frequency.  

次がトランジスタ1個の発信回路(Clapp oscillator circuit)です。Lが自作コイルです。
コンデンサーC1,C2,C3は精度の良い±1%のものがベストですが,安価な±5%のもので妥協しました。
   (0.3μH程度の小さなコイルを調べる場合はC1,C2,C3を330pFにした方が良いでしょう)
トランジスタは高周波特性Ftが高い2SC1906を使用しました(店aitendo:5個で100円)。2SC1815でも大丈夫でしょう。
     クラップ発信回路2

発信周波数はコイルLとC1,C2,C3,で決まります。
HFトランシーバで発信周波数が受信できたら,次の手順でコイルのインダクタンスを算出します。
(1アマ2アマの試験問題に出てきそうですね~)
     発信周波数からLを求める式

次の写真は実際に発信させているところです。発信回路の部品は合計7個です。動作電圧は3Vです。
コイルの直径23mm,巻き数15回,コイル長36mmの全体を使用して発信させています。
     50_23φL36T15
HFトランシーバのアンテナ端子からビニールコードを発信回路の近くへ引いて,受信ダイヤルを回して発信信号を受信します。
この時に,高調波を発信周波数と誤らぬように気をつけます(基本波の方が強い)。
コイル全体を使用した時の発信周波数は12.8MHzとなりました。

          発信周波数が12.8MHz
ネットのページ「RFDN ソレノイド・コイル 設計 ツール」で計算した結果は2.5μHでした。
ネットの計算ページでは配線のインダクタンスなどを含まない算出です。
写真の発信回路では配線や浮遊容量などを含むのでインダクタンスは若干大き目になりますが,両者の差は0.08μHですから発信周波数からの算出値も概ね正しいと評価して良いでしょう。


次の写真はコイルの右から10ターン目に接続した場合です。
       51_23φL26T10
上の時の発信周波数は16.5MHzとなりました。
この周波数で同様にインダクタンスを算出したら 1.5μH となりました。
ネットの「RFDN ソレノイド・コイル 設計 ツール」で計算させた結果は 1.4μH でした。差は0.1μHです。

次の写真は右から7ターン目に接続した時のものです。
       52_23φL17T7
上の時、発信周波数は 20.7MHz となりました。
この周波数で同様に算出したらインダクタンスは 0.98μH となりました。
ネットの「RFDN ソレノイド・コイル 設計 ツール」で計算させた結果は 0.93μH でした。差は0.05μHです。

次の写真は右から5ターン目に接続したものです。
       53_23φL14T5
上の時の発信周波数は25.97MHzでした。
この周波数で同様に算出したら インダクタンスは 0.6μH となりました。
「RFDN ソレノイド・コイル 設計 ツール」で計算させた結果は 0.53μH でした。差は0.07μHです。

次の写真はサランラップの巻芯を利用して自作した直径30mmφ,巻き数22回,コイル長33mmの空芯コイルの全体で発信させているものです。
     54_30φL33T22
上の時の発信周波数は6.38MHzでした。
この周波数で同様に算出したら インダクタンスは 10μH となりました。
このコイルには右から 1.5回目,2.5回目・・・とタップを作っておきました。
それぞれのタップを利用するとさまざまなインダクタンスのコイルとなります。

以上の結果から, 発信回路を用いたインダクタンス算出方法はまずまずの手法と言えます。

アンテナのマッチング(整合回路)用としてピッタリの値のインダクタンスを作るには、コイルのタップを細かく接続替えすれば可能です。あるいは,下図のように2つのコイルを直列にしたり,直角に配置したり,巻方向が打消すように接続したりすることで,インダクタンスを細かく増減する方法もあります。
       インダクタンスの調整方法


次の写真は2つの小さなコイルを互いに90度の角度で接続した例です。
発信周波数31.1MHzだったので,計算した結果,2つのコイルの合成インダクタンスは0.3μHでした。
       2つの直交コイル0.3μH



今回使用した23mmφの空芯コイルの自作手順を示します。

【1】 コイルの巻枠を作る。
  塩ビパイプ(PVC)を2つに割ります。
       2_空芯コイルの作成

【2】 塩ビパイプ(PVC)をガスコンロで温めて,単3電池が楽に入るように広げます。
       3_少し広げる

【3】2つの単3電池をはさむようにして塩ビ管をテープで巻きます。
  中央部はスリットとして空きが見えるようにテープで固定します。
       4_巻枠の完成

【4】 巻枠に銅線を巻きます。1mmφのポリウレタン線でもOKです。
       5_銅線を巻く

【5】 スリット部に2液エポキシ接着剤を塗布し,接着が固まるまで待ちます。
   接着剤が固まったら,電池をぬいて,塩ビパイプを取り外します。
       DSC01383.jpg
   接着剤を多量に使用すると塩ビパイプへ付着するので注意します。
   (巻枠の上にサランラップなどを巻いてコイルを巻くと接着剤が巻枠の塩ビパイプに接着しません)。



総目次へもどるは ⇒ こちら
  1. 2015/05/13(水) 22:03:46|
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21MHz 1波長ひし形ループANTをMMANAで設計

21MHz 1波長ひし形ループANTをMMANAで設計
                                  総目次へもどるは ⇒ こちら

前のページで三角形の1λループANTをMMANAで設計したので,今回は「ひし形」の1λループアンテナの設計をしてみましょう。
「ひし形」を取り上げたのはテレビANTのステーを利用して簡単に作ることができるからです。
          MMANAの入手・使用例は ⇒ こちら に戻ってください。


下図はTVアンテナの支線を利用した21MHzひし形1波長ループANTのイメージ図です。
          注意:下図の長さは単純計算値です。最適長はページ末をご覧ください。
     0_ループアンテナイメージ図

単純計算で求めるとループの1辺の長さは上図のように3.52mですが,1波長ループANTは計算上の長さより若干長くしたところに共振点があります。
     01_ひし形1λloop15定義ファイル03

ひし形ループANTの下端から給電する時,「MMANA」における給電設定を「給電点に10cmの線(Wire 5)をもうけ,その中間部から給電する」と設計します。
この方法はすでに述べた「逆三角形ループの手法」と同じです。
   「MMANAで1λデルタループANTのインピーダンスを算出」へもどるは  ⇒ こちら 

     02_No5データ

上記でANTの左右と高さの位置が算出されたので「MMANA」のアンテナ定義の枠へそれらの数値を打込みます。
前のページで書きましたが,数値を打込んだ都度「確定キーEnter」を2度たたかないと確定できません。
   02_アンテナ定義の数値


アンテナ定義の枠への打込みが完了したら,タグ「アンテナ形状」を開いてみます。
次のように「ひし形」になっていない場合はアンテナ定義の打込みに誤りがあります。
   03_ANT形状


縮尺を操作して給電点を拡大すると次のように表示されます。
   03_waiya5.jpg

タグ「計算」画面を開き,左下の「計算」ボタンで計算を実行すると給電点のインピーダンスが枠の中の表示されます。
(下図は地上高15m,リアルグラウンドにしています)
ループの長さを5%長くしたのにリアクタンスの値が -j27.687 とキャパシティブになっています。
これはANTが若干短いことを意味しています。
   04_計算結果1

「計算」ボタンの右にある「周波数特性」ボタンを押すと、次が表示されます。
次の画面の「全点」をクリックして、タグ「SWR」をクリックするとSWR画面が表示されます。
下図は50Ωに対するSWRなので、SWRが高くなっています。
このSWRカーブを見てもANTエレメント単体の共振点は 21.4MHz より高い周波数のように見えます(ANT線が若干短い)。
   05_SWR特性

タグ「パターン」を開くと、ANTの放射パターンが表示されます。
ANTの高さ15m(1波長)としたので、電波の打ち上げ角度が約11度と低くDXへ効率よく飛びそうな感じです。
1波長ループANTはキュビカルクワッドANTの放射エレメントですからダイポールANTよりDX向きと言われています。
09_放射パターン

「計算」画面に戻って、「計算」ボタンの右の「最適化」ボタンをクリックします。
条件選択画面が表示されたら「全エレメント」ボタンをクリックして「実行」を操作します。
次のように最適化の結果のインピーダンスが表示されます。
この例では Z=126.652-j0.268 とリアクタンス分がほぼ±0Ωとなりました。
   6_最適化後

最適化でZ=126.652-j0.268 となった時のアンテナ定義画面を開くと,各アンテナの座標が少し大きくなっています。
ANTの全長が少し長くなったのです。
   08_最適化ごのアンテナ定義


最適化された結果のSWRカーブを見たら,次のようになっています。
このSWR値は同軸ケーブル50Ωに対するものです。
    07_SWR特性


アンテナ形状の画面を開き,各Wareをクリックするとワイヤーの長さが表示されますので、各エレメントのワイヤの最適な長さを知ることができます。
        最適な1波長の長さ

屋根の長さ等の影響で,アンテナ形状が上図のような完全に近い「ひし形」とならない場合があります。
この時は,「ワイヤー編集」ボタンで次の画面を開きます。
「ひし形」の頂点,左右の角をマウスでつかんで上下左右に動かし,実際に建設できる形へ変形します。
変形した「ひし形」の右下のOKボタンをクリックして,「計算」画面へもどります。
計算、最適化をすると変形ひし形の最適インピーダンスが算出されます。
この状態で「アンテナ形状」画面にすると,それぞれのワイヤーの長さを知ることができます。
       08_ワイヤ編集2



【設計値と実際】
以上の設計結果はANTへ影響を及ぼすものが周辺に存在しない条件での数値です。
TV-ANTマストを利用する場合は,最初のイメージ図にあるように中心部のマストや他のステー線,更に屋根頂部のカバー金属(棟板金)などの影響を受けるためインピダンス値は計算値と若干のずれがあるでしょう。また,各辺が等しい「ひし形」とならない場合もあるので,それらによる数値のずれも生じますが,形状の違いが極端でなければANT性能への影響は少ないでしょう。

【同軸ケーブルでの給電】
50Ωの同軸ケーブルを接続する場合は「Qマッチ」などの整合回路を挿入することで簡単に整合できます。
この辺の整合回路は三角形1波長ループの場合と同じなので、そちらのページへもどってください。

Qマッチ整合は ⇒ こちら  のページの文末をご覧ください。

L C整合は ⇒ こちら  のページの文末をご覧ください。



総目次へもどるは ⇒ こちら

  1. 2015/04/03(金) 16:50:41|
  2. アンテナと整合
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続:垂直ANT(4~10m)の7MHzでの給電点インピーダンスと整合回路・放射効率

続:垂直ANT(4m~10m)の7MHzでの給電点インピーダンスと整合回路・放射効率
                                  総目次へもどるは ⇒ こちら

このページは前ページからの続編です。
前ページでは7MHzを2m長の垂直接地ANTへ給電した時のインピーダンス・整合(マッチング)回路,放射効率などを求めました。    前ページへもどるは  ⇒ こちら 

このページは長さを4mへ,更に6m~10mと長くした時のインピーダンス・整合回路の値,放射効率などを調べてみましょう。
垂直接地ANTの給電点のインピーダンスを”MMANA”で計算してみました。周波数は7.05 MHz,ANTワイヤーは直径2mmφの銅線としました。
               MMANAの入手・使用例は ⇒ こちら に戻ってください。
下図の2m長のインピーダンスは前ページと同じです。4mになると Z=3.51-j509.4です。 6mでは Z=8.59-j291.5 とと実数部Rの値が少しずつ大きくなりますが,同軸ケーブルの特性インピダンス50Ωに比べるとまだまだ小さな値です。
計算上の1/4波長=(300÷7.05 MHz)÷4=10.64mですが,その96.8%の長さ10.297mの時に実数部が 36Ω,リアクタンス部がほぼ ±0となり,ANT線単体で7.05MHzに共振している状態となります。

       01.ANTインピーダンス

上図の値をフリーソフト「Smith V3.10」に打込み,整合(マッチング)回路と,そのインダクタンスLとコンデンサCのを求めた結果,次のようになりました。
     フリーソフト「Smith V3.10」の入手と使い方の例は ⇒ こちら に戻ってください。


下図の左は「Smith V3.10」で示された長さ4m@7MHzの時,右は長さ5m時の整合回路のLとCの値です。
     02_4m時のLC値2  04_5mLC値2

下図の左は長さ6m時,右は7m時の整合回路のLとCの値です。
     06_6mLC値 2  08_7mLC値2

長さが10.297mの時,Rの値が36Ω,リアクタンスが±0Ωとなります。この時の「Smith V3.10」における,位置は下図のA点です。36Ωを50Ωへ変換するために直列コイルL:0.49μHを挿入した時がB点です。B点でのリアクタンス分を打ち消すためにC:279pFを並列に挿入した時がC点です。これで Z=50Ω±0 の位置へ移動しました(50Ωへ整合)。

       09_10.297m チャート図

          10_10.297 LC値2

ついでですが,
コイルを全く使用しないでマッチング(整合)させる方法です。
垂直ANTの長さを7.05MHzの1/4波長より少し長い11.5mにしてMMANAで給電点インピーダンスを計算してみてください。
Z=50.5+j90 とリアクタンス分がインダクティブになります。R分は約 50Ωですが,リアクタンス分が+j90 と大きいので50Ωの同軸ケーブルへ接続するとSWR値は大きくなります。

下図のA点は 50.5+j90 の位置です。
この+j90を打ち消すために-j90を挿入するとB点へ移動し,50.5±0 となります。
ソフト「Smith V3.10」は挿入する-j90 をコンデンサの値に変換して表示してくれます(251pF)。

       14_11.5m チャート図

マッチング(整合)回路は下図のようになり,コンデンサ 251pF 1個で済みます。
 (送信電力が50W以上の時は通過高周波電流に余裕をもたせるため100pF+100pF+50pFと3つのコンデンサーを並列使用するとベター)
          12_11.5mLC値2


ここまでをまとめると,次の表のようになります。
   17_ANT長さとLC値16_整合回路
マッチング(整合)回路は,1つのコイルと1つのコンデンサで整合させることができるのです。
上の表にあるように,ANTの長さが11.5mの時は,250pFのコンデンサー1つを直列に挿入するだけでマッチング(整合)がとれ,SWRは1.0になります。究極の安価なANTチューナとなります。

ANTが共振している10.3m長の時は,0.5μHのコイルと280pFのコンデンサーを上図右のように挿入するとマッチング(整合)がとれ,SWRは1.0になります。
 (280pFのコンデンサーは100pFを2個と,同軸ケーブル80cmを並列にして280pFを作ると安価で済みます)
     整合回路のコンデンサーとして同軸ケーブルを利用する具体例は ⇒ こちら です。


マッチング(整合)回路の損失についても調べてみましょう。
2m長のANTの場合は,ANT給電点の放射抵抗Rlの値に比較して,整合コイル内での高周波抵抗などによる抵抗Rcが大きいく,送信機からの電力の大部分は整合コイル内での熱損となりましたが,長さが4mになると,その状態は次のようになります。
次の式のQはコイルの品質(Quality Factor)です。
          22 コイルのQの式
コイルのインダクタンスが11.8μHなので1.4mmφポリウレタン線を直径50mmで空芯巻きすればコイル単体のQ(裸Q)は250以上となるでしょう。これらを代入して計算すると次のようになります。
          24_コイルのRc
ANT給電点の放射抵抗RLとコイル内の損失抵抗Rcの比がかなり改善され,送信機からの電力の半分以上が放射抵抗に加わる(放射される)ことになります。
          前ページの2m長の場合と比較してください。前ページへもどるは  ⇒ こちら 
          26_コイルRc損 

長さが6mになると次のように更に改善され,送信電力の大部分がANT放射抵抗へ加わることになります。
(マッチング(整合)回路=アンテナチューナー内での損失は10%程度となります)
          27_コイルの熱損

長さが8mとなると,整合回路での損失は更に減少します。
言うまでもないことですが,コイル単体のQ(裸Q)が高くなるように線輪の銅線を太くする・コイルを金属板から十分に距離をとって配置する・コイルの一部を短絡しないなどに配意します。詳しくは前ページの文末をご覧ください。



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  1. 2015/04/03(金) 13:00:45|
  2. アンテナと整合
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